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第二部
私の可愛い旦那様(2)
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「…よしっ、できたわ。間に合ってよかった」
日が傾き、空が赤く染まり始めた頃に作業が終わった。エレノーラは完成させた薬を、いくつかの瓶に詰めていく。今日試作したのは疲労回復の薬で、訓練を終えた騎士たちに試してもらう予定だ。彼女が騎士たちの訓練場に行く訳にはいかないため、夕方に取りに来てもらうことになっている。
「汗で体がべとついているわね。ああ、さっぱりしたいわ」
「そうだな…」
レイモンドは汗で張り付いた服が気持ち悪らしく、服を指で掴んで肌から離そうとしていた。エレノーラはその様子を眺めながら、制服を脱がせてしまって舐め回したいな、なんてことを考えていた。
「そうだ。今日は、一緒に入っちゃう?」
彼女の言葉にレイモンドは手を離し、顔を真っ赤にして慌てた様子を見せた。
「っそ、そういう話は仕事が終わってからだ!」
結婚して数ヶ月、結婚する前からやることはやっているのに、レイモンドは未だにこうして赤くなる。そんな所が、エレノーラにはたまらなく可愛いかった。
(今夜はどうしてくれようかしら!)
エレノーラは機嫌よく、鼻歌を歌いながら袋に瓶を詰める。それがちょうど終わったところで、研究室の扉がノックされた。レイモンドが扉に向かい、慎重に開くと、そこには一人の年若い騎士が立っていた。エレノーラはその顔には見覚えがあり、気さくに声をかける。
「あ、いつもありがとうございます」
「エレノーラさん、今回もよろしくお願いします」
薬を取りに来る騎士の中で、一番よく見る顔だ。恐らく、彼女を恐れない、恨まない騎士の中で若い方だからか、こういった雑用を任されやすいのだろう。
「今日は暑かったですよね。皆さん、倒れたりしていないですか?」
「はい、こまめに水分を取るようにしていますから」
「それはよかったです」
エレノーラの言葉に少し顔を赤くしたその騎士は、珍しいことに彼女に好意を持っているらしい。レイモンドもそれに気づいているからか、その騎士の背に冷ややかな視線を送っている。当の本人は、全く気づかれていなかったが。
「はい、今回の分です。使い方はこの前の疲労回復の薬と同じですが、念の為、使い方を書いた紙を一緒にいれています」
「ありがとうございます!あ、前回の分の報告書を持ってきました」
彼は薬をつめた袋を受け取ると、彼女に紙の束を手渡す。これは前回の薬、打撲や傷に塗るものの使用感などを纏めたものだ。本当なら、使用しているところやその経過を直接確認するのが一番だが、彼女の立場上難しい。しかし、騎士たちは協力的で、こうして使用感や経過を観察し記録している。
日が傾き、空が赤く染まり始めた頃に作業が終わった。エレノーラは完成させた薬を、いくつかの瓶に詰めていく。今日試作したのは疲労回復の薬で、訓練を終えた騎士たちに試してもらう予定だ。彼女が騎士たちの訓練場に行く訳にはいかないため、夕方に取りに来てもらうことになっている。
「汗で体がべとついているわね。ああ、さっぱりしたいわ」
「そうだな…」
レイモンドは汗で張り付いた服が気持ち悪らしく、服を指で掴んで肌から離そうとしていた。エレノーラはその様子を眺めながら、制服を脱がせてしまって舐め回したいな、なんてことを考えていた。
「そうだ。今日は、一緒に入っちゃう?」
彼女の言葉にレイモンドは手を離し、顔を真っ赤にして慌てた様子を見せた。
「っそ、そういう話は仕事が終わってからだ!」
結婚して数ヶ月、結婚する前からやることはやっているのに、レイモンドは未だにこうして赤くなる。そんな所が、エレノーラにはたまらなく可愛いかった。
(今夜はどうしてくれようかしら!)
エレノーラは機嫌よく、鼻歌を歌いながら袋に瓶を詰める。それがちょうど終わったところで、研究室の扉がノックされた。レイモンドが扉に向かい、慎重に開くと、そこには一人の年若い騎士が立っていた。エレノーラはその顔には見覚えがあり、気さくに声をかける。
「あ、いつもありがとうございます」
「エレノーラさん、今回もよろしくお願いします」
薬を取りに来る騎士の中で、一番よく見る顔だ。恐らく、彼女を恐れない、恨まない騎士の中で若い方だからか、こういった雑用を任されやすいのだろう。
「今日は暑かったですよね。皆さん、倒れたりしていないですか?」
「はい、こまめに水分を取るようにしていますから」
「それはよかったです」
エレノーラの言葉に少し顔を赤くしたその騎士は、珍しいことに彼女に好意を持っているらしい。レイモンドもそれに気づいているからか、その騎士の背に冷ややかな視線を送っている。当の本人は、全く気づかれていなかったが。
「はい、今回の分です。使い方はこの前の疲労回復の薬と同じですが、念の為、使い方を書いた紙を一緒にいれています」
「ありがとうございます!あ、前回の分の報告書を持ってきました」
彼は薬をつめた袋を受け取ると、彼女に紙の束を手渡す。これは前回の薬、打撲や傷に塗るものの使用感などを纏めたものだ。本当なら、使用しているところやその経過を直接確認するのが一番だが、彼女の立場上難しい。しかし、騎士たちは協力的で、こうして使用感や経過を観察し記録している。
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