治療と称していただきます

茜菫

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第二部

私のかわいい旦那さま(3)*

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 部屋に戻るとすぐに、ワゴンが運び込まれた。食事の用意はエレノーラ担当のメイドが行っている。王宮の隅に住んでいるが、王侯貴族でもなんでもないので、食事の内容は使用人たちと変わらない。

 用意された食事をテーブルに並べ、二人で囲む。今日はレイモンドのお望み通りのシチューだったが、人参はきっちり入っていた。レイモンドはしれっとした顔をして人参を食べていたが、ほぼ丸呑みだ。

「残さず食べて、偉いわね」

「……子ども扱いするな」

 食事を終えると、食器をワゴンに乗せて廊下に出しておく。後は二人きりの時間だ。エレノーラがにんまりと笑ってレイモンドに抱きつくと、レイモンドは受け入れるかのように彼女を抱きしめる。

「レイモンド、一緒にお風呂に入りましょう? 今日は全部、私がお世話しちゃうわ」

「え? 別に……」

「いいから、いいから。させて、ね?」

 エレノーラが上目遣いで甘えた声を出すと、レイモンドは少し視線をさ迷わせてから、小さくうなずいた。それに満足しながら、手を引いて浴室へと向かう。エレノーラは浴室前にたどり着いて早々にレイモンドの上の服を脱がせようとしたが、彼は自分の服をつかんで阻止した。

「自分で脱ぐ」

「全部って言ったじゃない」

「脱ぐところからなのか?」

「うんうん! レイモンドはさっき、了承したでしょう?」

「それはそうだけど……って、うわ!」

 レイモンドが手を離さないので、仕方がなく先に下から脱がせようとベルトをつかんだ。レイモンドは悲鳴のように声を上げるが、それを無視してベルトを外し、ズボンを一気に引きずり下ろす。下着が少しテントを張っているのが見えて、エレノーラは目を細め、口元に笑みを浮かべて見上げた。

「あら、もういやらしいこと考えているの?」

「っ……そ、りゃあ、そうだろ!」

 顔を真っ赤にして喚くレイモンドを、エレノーラはかわいく思った。一緒にお風呂に入るのははじめてではないし、浴室でのあんなことからそんなことまではすでに経験済みだ。どうやら、レイモンドはその時の記憶が蘇っているらしい。エレノーラが下着の上からよしよしとそこをなでると、レイモンドが抗議の声を上げる。

「ちょっ、エレノーラ……!」

「大丈夫。私もとってもいやらしいこと、考えているから。ね?」

 エレノーラがわざと舌を少し見えるようにして笑うと、レイモンドはうめいた。

「くそ……っ」

 レイモンドは小さくぼやいてから、エレノーラの背に腕を回してその体を引き寄せる。それに従うと、レイモンドはエレノーラの頬に手を添え、口づけた。

「ん……」

 舌が中に入り込み、絡められる。エレノーラは腰をぐいぐいと押しつけられ、お腹に熱いものがこすりつけられて下半身をうずかせた。

「んぅ……っ」

 何度も唇を重ね、舌を交えて息を荒くする。エレノーラはこうして口づけあうと、なにもかもがどうでもよくなって、このままレイモンドに溺れてしまいたくなる。

「っ、はぁ……」

 唇が離れてしまうと物足りなさを感じ、息を吐き、うるんだ目でレイモンドを見上げた。レイモンドも同じ気持ちなのか、もうほしいと顔に書いてある。

「っ、入る前から、こんな状態になったじゃないか……」

 レイモンドは上の服を自分で脱いでしまった。エレノーラは全部脱がせるつもりだったので残念に思いつつも、自分も服を脱いで身一つになる。

「エレノーラ、もういいだろ……」

「だーめ」

「そんな……」

「ちゃんと、体を洗いましょうね!」

「そんなことより……」

「大丈夫、私が全部してあげるから、ね?」

 レイモンドはぎんぎんに勃たせながら、悲痛な表情をした。エレノーラはにっこりとほほ笑みながら、レイモンドの手をとって浴室へと誘う。レイモンドは諦めたのか、大人しく従った。そこでちょっと強引にことを進めたとしても、エレノーラは大歓迎だったが。

 エレノーラはレイモンドの背中からお湯をかけ、泡立てた石鹸で腕から手を洗い、背中を洗う。しっかりと筋肉がついていて逞しいその背中を見ていると、抱きつきたくなった。

(お尻も小さくて、引き締まっているわ……)

 泡をのせて、尻をなでるように洗う。普段はなかなか触ることがないので、新鮮だ。

「エレノーラ」

「あ、ごめんね、つい」

 執拗に尻をなで回していると、レイモンドは肩越しに振り返ってにらんだ。反射的に謝ってしまったが、よく考えれば尻を触るくらい、いいじゃないかと思う。

「レイモンドだって、私のお尻よくもむじゃない」

「う」

 エレノーラの言葉に、レイモンドは気まずそうに目をそらした。

「それは……仕方がないだろ、男なんだから」

「女だってもむわよ、こうやって」

「うわっ」

 エレノーラがきゅっと尻をもむと、レイモンドは小さく声を上げた。

「あら、硬い」

「そんな感想はいらない……ほら、洗うんだろ」

「うんうん」

 泡を手に乗せて、レイモンドの脇の下から手を回す。そのまま背中に胸を押しつけると、レイモンドは息を呑んだ。

「ちゃんと、洗わないとね」

 エレノーラは首元から鎖骨の辺へ、そのまま胸へと手をはわせる。その頂きを泡のついた指で弄ると、レイモンドがふっと息を吐いた。片手はそのまま、反対の手は腹を洗ってそのまま下へとはわせていく。

「エレノーラ……」

 ねだるように名を呼ばれ、エレノーラは意地悪せずにそこへと手を伸ばした。すでに勃ち上がっている陰茎を包み、先端をやさしくなでる。レイモンドは深く息を吸って、ゆっくり吐き出した。

「ぅ……っ」

 エレノーラが括れたところをやさしく洗い、陰茎を片手で包み込んで扱くように洗うと、レイモンドはうめいた。その様子がかわいくて、そのまま手でゆるゆると扱く。胸を弄っていた手を離し、陰嚢をなでやさしくもむように洗うと、こらえるようにレイモンドがうつむいた。

「気持ちいい?」

「……っ」

 レイモンドは答えなかったが、腰が揺れている。声をもらさないよう唇を引き締めて、うつむきこらえる姿がかわいくてたまらない。エレノーラは少し調子に乗ってそのまま攻めようとしたが、レイモンドが彼女の腕を軽くつかんだので動きを止めた。

「っ、エレノーラ、もういいだろ……!」

「えっ、なにが?」

「洗うの……交代だ、交代!」

「まだ足を洗っていないわ」

「いいから……!」

 エレノーラはレイモンドの勢いにのまれてうなずいた。その勢いで押し倒してくれたら、最高だと思う。

 体を反転させたレイモンドは、手に石鹸を泡立てると、向かい合った状態でエレノーラの体を洗い始めた。最初は腕を、次は手を、そして上半身へと移り、胸へとたどり着く。

(レイモンドって、本当に胸……好きよね)

 両手で胸をもんで、いや、一応洗っているレイモンドを眺めつつ、エレノーラは小さく笑った。それに気づいたのか、レイモンドは向かい合ったままで抱きしめるように背に腕をまわし、手をはわせる。

 先ほどの仕返しなのか、レイモンドは両手でエレノーラの尻をやわやわともみはじめた。エレノーラはにやりと笑ってレイモンドを見上げる。

「もう、レイモンドったら。やっぱりお尻もんでいるじゃない」

「もむだろ」

 エレノーラはレイモンドが当然のような顔をしているから、つい笑ってしまった。

「レイモンド、キスして?」

「ん」

 エレノーラは口づけをせがんで目を閉じる。レイモンドはエレノーラの望むとおりに口づけた。軽く音をたてながら何度も口づけを交わす。エ

「もう、いいだろ」

 レイモンドはじっとエレノーラを見つめていた。そろそろ、がまんも限界らしい。エレノーラが小さくうなずくと、おたがいにお湯をかけ合って泡を流した。
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