治療と称していただきます

茜菫

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第二部

私のかわいい旦那さま(4)*

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 エレノーラが浴室の壁に手をつくと、レイモンドは彼女の腰を引いた。少し尻を突き出すような状態で、レイモンドは秘裂に先を押し当て、そのままぐっと中に突き入れる。がまんできないのか、性急だ。

「あ……っ」

 エレノーラは入ってきた熱に体がよろこびに震えるのを感じた。中がきゅっと締まり、レイモンドは大きく息を吐いて快感をこらえる。レイモンドは腰をつかんでゆっくりと抽送し始め、次第にその動きを速くした。

「んっ、あ、は……っ、レイモンド、すごく、いい……っ」

「っ……」

 肌がぶつかる音が浴室内に響く。エレノーラは奥深くを突かれ、気持ちよさに声をもらしながらうつむいた。

 髪が肩から前に流れ落ちる。顕になったエレノーラの項にレイモンドが触れ、次に唇を寄せた。

「あ……っ」

 エレノーラは後ろ手に、腰をつかむレイモンドの手に自分の手を重ねた。エレノーラよりも大きな手、強靭な体。レイモンドに捕食されているような錯覚がして、ぞくぞくとした。

「う……っ、エレノーラ、もう……っ」

 限界が近づいてきたのか、レイモンドは小さくうめいた。エレノーラが受け入れるように腰を揺らすと、レイモンドは彼女の体を両腕で後ろから抱きしめ、腰をぐっと押しつけて最奥まで深く挿入する。

「あっ……ぁ……」

 レイモンドの快楽に酔った小さな声が耳に届く。中で熱い剛直がびくびくと震え、最奥に吐精した。エレノーラは中に注がれるのを感じ、体が、心がよろこぶ。レイモンドは最後の一滴まで吐き出し終えても、しばらくエレノーラを抱きしめたままだった。

「ん……っ」

 レイモンドがゆっくりと腰を引き、中に収まっていた陰茎が引き抜かれる。エレノーラは体を反転させてレイモンドに向かい合った。レイモンドは惚けながらも、どこか満足気な表情だ。

「レイモンド……」

 レイモンドの頬に手を添え、軽く口づける。息がかかるほど近くに顔を寄せたまま、エレノーラが目を細めてにやりと笑うと、レイモンドはまずいと思ったのか目をそらした。

「先に一人でいっちゃうなんて、悪い子ね」

「う……っ」

 レイモンドは満足かもしれないが、エレノーラはまだ一度も達していなかった。力をなくした、精と愛液に塗れたレイモンドの陰茎を片手でつかむと、彼はひっと小さく声を上げる。

「次は、私がいいって言うまで……いっちゃだめよ?」

 エレノーラはそのままレイモンドの返事を待たずに、その場に膝立つ。先端に唇をよせて吸いつくと、レイモンドは喘いだ。

「うぁ……っ」

 そのまま陰茎を咥え込み、舌でなめながら吸いつく。舌で裏筋を攻めるとレイモンドは体を震わせ、声をもらした。陰嚢をなでながら反対の手で根元をつかみ、ゆるゆると扱く。それを繰り返しているうちに、レイモンドの陰茎は立派に力を取り戻した。気持ちいいのか、腰が揺れている。

「うぅ……エレノーラ……」

 レイモンドが顔を真っ赤にしてエレノーラを見る。レイモンドと目が合うと、目だけ細めて笑ってみせ、そのまま口で奥まで咥え込んだ。

「あぁ……っ、む、むりだっ」

 レイモンドは悲鳴のように声を上げ、片手でエレノーラの頭をつかんだ。レイモンドはそのまま吐精してしまうかと思ったが。

「っぁ、う……っ、ぐぅ……」

 声をもらしながら、レイモンドは耐えた。搾り取るつもりでやったが、言いつけ通りに耐えたようだ。エレノーラが口を離して手をはなすと、レイモンドはその場に座り込む。

「レイモンド」

「エレノーラ、も、たのむから……っ」

 泣きそうな顔で懇願され、エレノーラは先ほどよりもぞくぞくした。じぶんよりも強靱な体を持ち、この国の英雄とまで呼ばれているレイモンドが、こんなにも情けない顔を見せている。ほしいと、切実に望んでいる。

(かわいい……っ)

 エレノーラは胸がきゅんとして、下半身がうずいてたまらなかった。がまんできなくなったのは、エレノーラも同じかもしれない。

「うん、もう、いいわよ」

 エレノーラはそう言いながらレイモンドに跨り、彼のものに手を添えて自分の秘裂に当てがった。先から伝わってくる熱に、中が期待してきゅうきゅうとうずいている。

(このまま挿れただけで、いっちゃうかも……)

 エレノーラがそう思っていると、レイモンドが彼女の腰をつかんで落とし、一気に突き入れる。一瞬息が止まり、強烈な快感に頭の中が真っ白になった。

「あっ……ぇ……」

 エレノーラは本当に、挿れただけで達してしまった。びくんと体を震わせ、中を搾り取るかのように締めつける。

「うぁ……っ」

 それにレイモンドも挿れただけで達してしまったようで、中でびくびくと震えながら精を吐き出した。エレノーラがしがみつくように抱きつくと、レイモンドも彼女を抱きしめる。ぴったりと体を寄せ合いながら、ただ二人でこの快楽を共有し合った。

 おたがいに落ち着くと、顔を見合わせて笑い合う。まさか、挿れただけで二人とも達してしまうとはおもわなかった。

「また、汗かいちゃったわね」

「そうだな……」

「また、洗いなおす?」

 洗いあったのに、また汗だくだ。エレノーラは提案したが、レイモンドはそれに首を横に振る。

「それより、ベッドで仕切り直さないか」

「うんうん!」

 レイモンドからのお誘いに、エレノーラは一も二もなくうなずいた。うれしくて抱きつくと、中に収まったままの彼のものが、少し元気になる。

「レイモンド……」

「だから、ベッドで、だ!」

 エレノーラは思わずそのまま食いつきそうになったが、レイモンドに制止されて思い留まった。今度は、エレノーラの方がお預けされる番だ。

「それに、次は、僕の好きなようにさせてもらうからな」

「うんうん、してみせて?」

 エレノーラは息巻いているレイモンドを眺めながら、どうやって好きなようにさせてもらおうかなと、ほくそ笑む。今夜は、まだまだ長そうだ。
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