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1 杏奈、黄泉で目覚める
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杏奈が目を覚ますと、目の前には暗闇が広がっていた。
身体が縛られ逆さまに吊るされている。
「随分無様な姿だな」
杏奈が視線を上げると目の前には、角が二つ生えた綺麗な顔立ちの男が立っていた。
「……あなたは?」
「私の名前は無い。人間は、私の事を悪魔と呼ぶ」
「……悪魔?」
杏奈は男を観察した。
確かに角が生えている。服はボロボロだが、あまり不潔な感じはしない。
人間離れをした顔立ちをした男だった。
「そう。あなたは悪魔なのね。では、ここはどこ?」
「ここは黄泉だ」
「黄泉……ああ、私死んだのね。……そうか、あの女に殺されたんだ」
「少し思い出して来たようだな。そして、生前の行いが悪いお前は、ここから逃げ出さぬように縛られている」
「……そう」
「あまり驚かないようだな」
悪魔は不満そうな顔をした。
「まあ、日頃の行いが悪いのは覚えているし。そのせいで、私……殺されたのよ」
杏奈は悪魔に自分の話しを聞かせた。
杏奈は貧しい家に生まれた。幼い頃から何でも買って貰える家に生まれた、回りの子ども達が羨ましかった。そして、人よりも物欲が強くなったように思う。
杏奈はお金は無かったが、美しい顔とほっそりとした身体を持っていた。
年頃になった杏奈は欲しい物は自分で買うのではなく、男に買ってもらえばいいことに気づいた。
杏奈は既婚、未婚、彼女持ち関係なく色々な男に貢がせた。
時々杏奈の所に怒鳴り込んでくる女が居たが、杏奈は立場を弁えすぐに身を引いたので大きなトラブルになる事なく終わっていた。
しかし、あの女だけは違った。家に怒鳴り込んで来た女で、真っ赤な口紅をしていた。あまりの赤さにあの色を今でも覚えている。
口紅の女は、杏奈を見ると罵倒した。興奮している女から、どの男の知り会いなのかをなんとか聞き出す事が出来たが、杏奈が手を引くと伝えても落ち着かずどんどん興奮をしていった。
口紅の女からすると、あっさりと身を引いた杏奈が許せなかったらしい。
杏奈には理解出来ないが、その程度の気持ちで私の男に近づいたのか。といった感じなのだろうか。
興奮をした口紅女は、杏奈の家に上がり込むとキッチンから包丁を見つけて手に取り、襲いかかって来た。
杏奈は数か所刺され命を落とした。
「くっくっくッ。愉快、愉快。人間とは実に面白い」
杏奈は楽しそうに笑う悪魔を睨んだ。
「まあ、そう怒るでない。イイ話を一つ持ってきた」
杏奈は疑わしげに悪魔を見た。
「お前にもう一度生きるチャンスをやろう。丁度今亡くなったばかりの少女の身体が空いている。彼女の続きの人生をやろう」
「……その子は、可愛い?」
「もちろんだ。しかもお金持ちの娘だ。中々良い話だろう?」
杏奈は少し考え、悪魔を信じる事にした。
「そうね。私がその子の身体に入って好きに生きていいって事?」
「そうだ。しかし、条件が一つある」
「何よ」
「私を楽しませる事だ」
杏奈は不安げに悪魔を見た。
「簡単な事だ。お前は自由に好き勝手に生きればいい。あの少女はもともと死ぬ運命だった。それにお前が入って生きると言うことは、本来死ぬはずだった人間が生き、その人間が結婚をし、子を成せば、生まれなかった命が生まれる。そして……生まれるはずだった命が生まれなくなる事もある。実に面白い」
悪魔は不気味な笑みで笑った。
「……そう。私は自由にしていいのか。なら生まれ変わってもいいよ」
「よし。契約成立だ」
悪魔はそう言うと杏奈に右手をかざした。すると杏奈は黒い煙に包まれて、意識を失った。
身体が縛られ逆さまに吊るされている。
「随分無様な姿だな」
杏奈が視線を上げると目の前には、角が二つ生えた綺麗な顔立ちの男が立っていた。
「……あなたは?」
「私の名前は無い。人間は、私の事を悪魔と呼ぶ」
「……悪魔?」
杏奈は男を観察した。
確かに角が生えている。服はボロボロだが、あまり不潔な感じはしない。
人間離れをした顔立ちをした男だった。
「そう。あなたは悪魔なのね。では、ここはどこ?」
「ここは黄泉だ」
「黄泉……ああ、私死んだのね。……そうか、あの女に殺されたんだ」
「少し思い出して来たようだな。そして、生前の行いが悪いお前は、ここから逃げ出さぬように縛られている」
「……そう」
「あまり驚かないようだな」
悪魔は不満そうな顔をした。
「まあ、日頃の行いが悪いのは覚えているし。そのせいで、私……殺されたのよ」
杏奈は悪魔に自分の話しを聞かせた。
杏奈は貧しい家に生まれた。幼い頃から何でも買って貰える家に生まれた、回りの子ども達が羨ましかった。そして、人よりも物欲が強くなったように思う。
杏奈はお金は無かったが、美しい顔とほっそりとした身体を持っていた。
年頃になった杏奈は欲しい物は自分で買うのではなく、男に買ってもらえばいいことに気づいた。
杏奈は既婚、未婚、彼女持ち関係なく色々な男に貢がせた。
時々杏奈の所に怒鳴り込んでくる女が居たが、杏奈は立場を弁えすぐに身を引いたので大きなトラブルになる事なく終わっていた。
しかし、あの女だけは違った。家に怒鳴り込んで来た女で、真っ赤な口紅をしていた。あまりの赤さにあの色を今でも覚えている。
口紅の女は、杏奈を見ると罵倒した。興奮している女から、どの男の知り会いなのかをなんとか聞き出す事が出来たが、杏奈が手を引くと伝えても落ち着かずどんどん興奮をしていった。
口紅の女からすると、あっさりと身を引いた杏奈が許せなかったらしい。
杏奈には理解出来ないが、その程度の気持ちで私の男に近づいたのか。といった感じなのだろうか。
興奮をした口紅女は、杏奈の家に上がり込むとキッチンから包丁を見つけて手に取り、襲いかかって来た。
杏奈は数か所刺され命を落とした。
「くっくっくッ。愉快、愉快。人間とは実に面白い」
杏奈は楽しそうに笑う悪魔を睨んだ。
「まあ、そう怒るでない。イイ話を一つ持ってきた」
杏奈は疑わしげに悪魔を見た。
「お前にもう一度生きるチャンスをやろう。丁度今亡くなったばかりの少女の身体が空いている。彼女の続きの人生をやろう」
「……その子は、可愛い?」
「もちろんだ。しかもお金持ちの娘だ。中々良い話だろう?」
杏奈は少し考え、悪魔を信じる事にした。
「そうね。私がその子の身体に入って好きに生きていいって事?」
「そうだ。しかし、条件が一つある」
「何よ」
「私を楽しませる事だ」
杏奈は不安げに悪魔を見た。
「簡単な事だ。お前は自由に好き勝手に生きればいい。あの少女はもともと死ぬ運命だった。それにお前が入って生きると言うことは、本来死ぬはずだった人間が生き、その人間が結婚をし、子を成せば、生まれなかった命が生まれる。そして……生まれるはずだった命が生まれなくなる事もある。実に面白い」
悪魔は不気味な笑みで笑った。
「……そう。私は自由にしていいのか。なら生まれ変わってもいいよ」
「よし。契約成立だ」
悪魔はそう言うと杏奈に右手をかざした。すると杏奈は黒い煙に包まれて、意識を失った。
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