目覚めたら、婚約破棄をされた公爵令嬢になっていた

ねむ太朗

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プロローグ

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 ローサは寮の前に立っている人物に気づいた。

「殿下。お久しぶりでございます。あの日以来ですね」

 ローサは心の中で、本当ははじめましてですけどね。と言うのを忘れない。

「あの日は申し訳なかった。少し時間をくれないか? 改めて謝罪と弁解を聞いて欲しい」

「いいですわよ。どのようなお話が聞けるのか、楽しみですわ」

 フレデリクは頷くと、学院に戻り空いている教室を探して入って行った。

 ローサは教室にたどり着くまでの間に、人の視線をいつもより感じ、俯いて歩いた。

 ローサはフレデリクに続いて教室に入る。
 空いている椅子に向かい合って、二人は座った。

 座ってから中々話出さないフレデリクにローサは話し掛けた。

「どのようなお話ですか?」

「……まず初めに、この間の婚約破棄の件を謝らせて欲しい。本当に申し訳なかった」

「もう、終わった事ですので気になさらないで下さい。ですが、次同じ事をされる時には、関係者しかいない所でされるのをおすすめしますわ。私恥ずかしゅうございました」

「……分かった。ファウスト伯爵令嬢の時には人目が無い所で伝えるよ」

「はっ!?」

 ローサは驚き過ぎて杏奈が出てきてしまった。
 ローサの雰囲気が急に変わり、目をひそめてフレデリクはローサを見た。

「今の、どういう事ですか?」

「そのままの意味だ。ファウスト伯爵令嬢とは別れる。そもそも何故私が、ファウスト伯爵令嬢と付き合っているのかが分からない」

「えっ? どういう事ですか?」

「そのままの意味だ。自分が何故あのような行動を取ったのか……理解出来ないんだ」

「あのようなとは、ファウスト伯爵令嬢とお付き合いされて、私と婚約破棄をした事ですか?」

「……そうだ」

 ローサは混乱した。目の前の男は何を言っているのだろうか? と。
 自分はフレデリクの演技に騙されかけているのだろうか? いや、ローサちゃんの為にも決して騙されてはいけない。
 ローサは自分を奮い立たせた。

「殿下は、面白い冗談をおっしゃるのですね」

「冗談ではない。ファウスト伯爵令嬢と仲良くした記憶があるが、どうして自分がそのような行動を取ったのか分からないんだ」

「まあ、そうなんですの」

「……信じて貰えないかもしれないが……私が好きなのは今でも君だけなんだ」

「到底信じられません」

 ローサはピシャリと言い放った。
 フレデリクは項垂れた。

「分かっている。……私に少しチャンスをくれないか?」

 ローサは、私関係ないんで本人同士で話し合ってもらえませんか? と思ったが、本人はもう亡くなっているんだった……。と頭を抱えたのだった。
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