目覚めたら、婚約破棄をされた公爵令嬢になっていた

ねむ太朗

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46 剣の大会当日

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 今日は騎士団主催の剣の大会の日。
 ローサ達は寮の前で集まり、馬車に乗って一緒に会場に向かった。

 ローサはレティシアの隣に座り、エミールはケネスの隣に座る。

 馬車が大競技場の近くに止まると、四人は馬車から降りて競技場入口に向かった。

「エミールって、ケネスが好きだったのね」

 レティシアが前を歩く二人を見て言った。

「ええ、そうみたい。全然知らなかったから驚いたわ」

「ふふ、そうね。先を越されてしまったわ」

「ええ、本当に。けれど、恋愛ごっこはしなくて良くなったから、私は気楽なの」

「恋愛ごっこ……?」

 戸惑った顔をしたレティシア。

「あっ、いや、何でもないの。一緒に婚活を頑張りましょうね」

「そうね。それにしても……ローサって、本当に婚活をする気あるの?」

「え! あるわよ。将来、弟のジョンウィルに迷惑をかける訳にはいかないもの」

「あー、なるほど。そう、頑張ってね。けれど、今のローサを見ていると……恋愛とか結婚とかから、どんどん遠ざかっている気がするのだけれども……」

 レティシアは少し困った顔をした。

「うーん、そうかなー? 恋愛とか良く分からないのよね。ドキドキってやつがねー」

「そう……そうね。ドキドキとかしなくても、好きな人が意外と近くにいるかもよ?」

「好きか……レティシアもエミールも好きよ」

「ありがとう! 私も好きよ。って、そうじゃなくて男性の話よ」

「男性だったら、お父様もジョンウィルもケネスもルーカスも……それから、フレデリク殿下とあーくんも好きよ」

 ローサは考えながら、自分の周りにいる男性の名前を片っ端から上げた。

「あーくん?」

「あっ、遠い親戚のアリストロさんよ」

「へぇー。変わった名前ね」

 最近お寿司が食べたくて、あ……が付く名前にトロを付けたなどと言えないローサは、苦笑いをした。

「えへへ、良く言われるみたい。あはは」

「分かった事が一つあるわ」

「な、何?」

 まさか、あーくんが悪魔だとバレた? と、ローサは少しひやひやする。

「ローサがおこちゃまって事ね」

「えー、何処がよ!」

 ローサはむすっとした。

「ローサはね、気づいていないのよ。ローサの事を大事にしてくれている男性が近くにいる事に」

「ちゃんと分かっているわよ」

「えっ、そうなの?」

「ええ。お父様は私の事を大事に大事にしてくれて、何でも買ってくれるわ」

「あっ……うん。それは、ローサのお父様だからで」

「そうよ。お父様に愛されているの。たくさん買ってくれるのよ。この間は、私が気に入ったデザインの靴を色違いで十足買ってくれたわ」

「えっと、それは良かったわね……ローサは物を買って貰えると愛されているって感じるのね」

 ローサはきょとんとした顔をした。

「うーん。そうなのかも……?」

「ローサの周りには、プレゼントをくれる男性はオルブライト公爵だけなの?」

「うん。そうよ」

「ふーん、そうなの。ふふふ」

 レティシアは楽しそうに笑った。

「私の話よりレティシアは、どうなのよ」

「今、アブレビア商会のご長男といい感じなのよ」

「えっ! 今一番儲けていそうな、あのアブレビア商会? 確か、一つ上の学年にいたような」

「そうそう。あら、ローサも知っていたのね」

 ローサは自分だけ取り残されたようで、ちょっぴり寂しくなった。

「そう。お付き合いをするの?」

「うーん、どうしようかしらねー。とりあえず、考え中かな。もっと、素敵な人が現れるかもしれないし」

「そう。レティシアはその人の事を好きなの?」

「好きか嫌いか聞かれたら、好きかな」

「ドキドキとかキュンとかするの?」

「しないわよ」

 ローサは驚いた顔をした。

「しなくても、付き合えるの?」

「ええ、そうよ。私達は婚活をしているんでしょ? 恋をしなくても結婚は出来るのよ」

「あっ! そうか! 恋をしていない相手でも、仲良くなるとプレゼントをくれるものね」

「ローサ……なんの話?」

「ううん。何でもない。なんか私、結婚出来そうな気がする!」

 急に元気になったローサに、レティシアは少し驚いた顔をした。

「それは良かったわ。お互いに頑張りましょう」

「ええ。お互いにお金持ちと結婚をして幸せになりましょうね」

 レティシアは、ローサの周りにいるローサの事を好きな人について伝えたかったのだが、話がおかしな方向にいってしまったような気がして戸惑った。

「え、ええ。まあ、お互いに頑張りましょう」

「うん! あっ、エミール達とだいぶ離れてしまったわ。急ぎましょう」

「ええ、そうね」

 二人はエミールとケネスに追いつく為、急いで大競技場の中を歩いた。
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