目覚めたら、婚約破棄をされた公爵令嬢になっていた

ねむ太朗

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108 疑心暗鬼

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 自室に戻ったフレデリクは一人頭を抱えていた。

 兄上が犯人?
 いや、兄上はそんな事をする人ではない。
 幼少の頃から仲良く過ごしてきたし、それに私は王位に興味がないと言っていた。

 それは父上も知っている事で、兄上が立太子するのは時間の問題だった。
 しかし、父は中々決断をされなかった。

 まさか王位欲しさに兄上は私を殺そうとしたのか?
 あんなに仲良く過ごしたのに?
 いや、兄上は私を殺せなかったのだ。だからローサフェミリアを狙ったのか?

 ローサフェミリアは自殺をした。それも原因は、私がした婚約破棄だ。
 ローサフェミリアの中にローサさんが入ったから、殺されたかもしれないと言う真実が見えて来たが、もし、悪魔さんが介入する事がなく、そのままローサフェミリアが亡くなっていたら……私は、オルブライト公爵に婚約破棄が原因で、ローサフェミリアは自殺をしたと聞かされていただろう。

 もし、そうなっていたら……私はきっとローサフェミリアの後追っていたに違いない。

 あの時ローサさんに「しっかりなさい!」と活を入れてもらわなければ、私はどうなっていただろうか……ローサさんには、助けてもらってばかりだな。

 そして、兄上は自分の手を汚す事なく王位を手に入れる事が出来ただろう。
 兄上が悪魔に依頼をしたのか?
 左頬に傷がある男も悪魔なのか?

 仮に私がローサフェミリアの跡を追って亡くなっていなかったとしても、公務をする意欲などなくなっていたに違いない。

 それに、婚約破棄の件で私の評価はかなり下がっている。
 王太子は兄上でほぼ確定だとみんな思っているだろう。

 犯人はオルブライト公爵を狙っているのだと思っていたが、私だったのか?

 兄上に直接聞くか?
 いや、誤魔化されて終わるだろう。
 それに、違った場合兄弟関係に亀裂が入る。

 そう言えば……兄上は嘘をついたり、自分にとって都合が悪い事が起こると左眉がピクリと動くのだった。

 当たり障りなく聞き出すしかないな。

 私は兄上を疑っているのではない。兄上が犯人ではないと確信を得たいだけなんだ。

 決心をしたフレデリクは、アルカインがいる執務室に向かった。

「兄上。今大丈夫ですか」

「ああ。フレデリクか。どうかしたのか」

「久しぶりに兄上とお茶でもと思って。今忙しい?」

「いや、丁度休憩にしようとした所だ」

「良かった」

 フレデリクがソファに腰掛けると、目の前にアルカインが座った。
 アルカインの従者がお茶を入れると、気を利かせて退出をした。
 室内に二人きりとなった。

「兄上と二人だけでお茶をするのは久しぶりだな」

「そうだな。いつもは家族かルチアナやオルブライト公爵令嬢がいるからな」

「そうだね。それに兄上が留学している間は寂しかったな。だが、私を心配して帰って来てくれたのは嬉しかった」

「ああ。知らせを聞いて急いで手続きをしたのだが、手続きに時間が掛かってしまった」

 フレデリクは注意深くアルカインの顔を見るが、今の所左眉が動く事はなかった。

「そうだったのか。謹慎をしている間は本当に落ち込んだよ。あの時に兄上が側に居てくれたらどんなに心強かった事か……」

「ああ。私もすぐに帰りたかったのだが、手続きに時間が掛かってしまってな」

「そんなに私の事を心配してくれたんだね」

「ああ」

 アルカインの左眉は動かない。
 フレデリクは、やはり兄上は犯人ではないのだろうか? と思い始めた。
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