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町を抜けると馬が速く走りはじめた。
景色がどんどん後ろに流れて行き、楽しくなった。
私達は今ライングドール王国とフォンダーン王国の国境の近くの町に着いた。そこで一旦昼食を取り、また馬に乗って進んで行く。
関所は変な格好をしていた私もすんなりと通る事が出来た。たぶん、ディリック様の側仕えとしてだからかもしれない。
私達は、無事にフォンダーン王国に入る事が出来た。
フォンダーン王国に入ってすぐは、草原が続いていた。
やっと、一つ目の町が見えた。
町の中をゆっくりと進んで行く。
建物の作りがライングドール王国よりも少し質素だった。
服装はさほど変わらないが、町の中から重たい雰囲気を感じる。
私は今までどんなに平和な国で暮らしていたのかを感じはじめた。
「この町は戦争には巻き込まれていない。一番被害が大きかった領地は、ここから南東にある領地だ。国境あたりで戦っていたからな」
「そう……ですか」
私達は南東方向に向かって行く。
どのくらい進んだろうか、しばらくすると大きな都市が見えて来た。
もう、日もだいぶ傾いている。
都市は大きかったが、プラメル領の中心街の方が活気で溢れているような気がした。
国民性もあるのかもしれないが……
「今日はこの町に泊まるぞ」
「分かりました」
宿屋に入る。ディリック様は二部屋とっていた。
私達は二階に向かった。
「この部屋は、エルーシアが使え」
「えっ、ディリック様が一人部屋なのでは?」
「俺は、ベルノーといつも泊まっている」
「さすがに申し訳無いのですが」
「申し訳無いと思うなら役に立て」
「ありがとうございます……」
それから私達は、夕食を食べに出掛けた。
外はもう暗くなっていた。
飲食店は人で賑わっていた。
肉料理や魚料理もあった。
「美味しい」
「ここの都市は、潤っているからな」
「そうなんですね」
外に出ると酔っぱらいが路上に座り込んでいた。それも一人だけではない。
私はこの町の公園で寝ていたら、誘拐をされていたかもしれないと思った。
私は宿屋に戻りぐっすり眠った。
それから二日程馬で南東方向に移動をした。
朝になった。
「おはようございます」
「おはよう」
「おはようございます」
ベルノーさんは、朝からさわやかな笑顔を見せてくれた。
ディリック様に関しては、言うまでもない……
朝食を済ませ私達は南東を目指す。途中の町で昼食も済ませた。
ずっと馬を走らせていると、大きな湖が見えて来た。
「わあ、綺麗! 大きいですね」
「ああ。少し寄って行くか」
「いいのですか」
「馬も疲れてきただろうと思ってな」
私は馬から降りて湖に近づく。のぞき込むと水が透き通っていて綺麗だった。
隣を見ると馬は、水を飲んでいた。
私達は池の周りを歩いて行く。
「本当に綺麗な湖ですね」
「ライングドール王国には無いのか?」
「湖はいくつかありますよ」
「そうか」
「フォンダーン王国に来てまだ二日ですが……ライングドール王国の国民はみんな、ぽわわんとしているように思えます」
「なんだ、そのぽわわんと言うのは」
私は説明に困り、ベルノーさんに話を振った。
「ベルノーさんは、ぽわわんが分かりますか?」
「いや、分からないですね」
「とにかくライングドール王国の国民は、ぽわわんとしているんです」
「エルーシアも含めてか」
「わ、私は違いますよ」
「何も考えずに家を出た小娘が良く言えたもんだな」
「私は小娘ではありません。もう、十四歳です!」
デリック様が驚いた顔をしていた。
「十四歳? もっと、幼いかと思っていた」
「十四歳ですよ。デリック様とベルノーさんはおいくつですか」
「俺は十七歳だ」
「私は二十歳です」
「二十歳? ベルノーさんの落ち着きは、大人の余裕なのですね」
ベルノーさんは、困ったように微笑んでいた。
「ということは、エルーシアの落ち着きの無さは、子どもならではなのだな」
この男……本当に一言余計だな。
「たったの三つしか違いませんよ」
「確かに年齢はな。まあいい、そろそろ先に進むぞ」
私達は馬に乗って先に進んだ。
景色がどんどん後ろに流れて行き、楽しくなった。
私達は今ライングドール王国とフォンダーン王国の国境の近くの町に着いた。そこで一旦昼食を取り、また馬に乗って進んで行く。
関所は変な格好をしていた私もすんなりと通る事が出来た。たぶん、ディリック様の側仕えとしてだからかもしれない。
私達は、無事にフォンダーン王国に入る事が出来た。
フォンダーン王国に入ってすぐは、草原が続いていた。
やっと、一つ目の町が見えた。
町の中をゆっくりと進んで行く。
建物の作りがライングドール王国よりも少し質素だった。
服装はさほど変わらないが、町の中から重たい雰囲気を感じる。
私は今までどんなに平和な国で暮らしていたのかを感じはじめた。
「この町は戦争には巻き込まれていない。一番被害が大きかった領地は、ここから南東にある領地だ。国境あたりで戦っていたからな」
「そう……ですか」
私達は南東方向に向かって行く。
どのくらい進んだろうか、しばらくすると大きな都市が見えて来た。
もう、日もだいぶ傾いている。
都市は大きかったが、プラメル領の中心街の方が活気で溢れているような気がした。
国民性もあるのかもしれないが……
「今日はこの町に泊まるぞ」
「分かりました」
宿屋に入る。ディリック様は二部屋とっていた。
私達は二階に向かった。
「この部屋は、エルーシアが使え」
「えっ、ディリック様が一人部屋なのでは?」
「俺は、ベルノーといつも泊まっている」
「さすがに申し訳無いのですが」
「申し訳無いと思うなら役に立て」
「ありがとうございます……」
それから私達は、夕食を食べに出掛けた。
外はもう暗くなっていた。
飲食店は人で賑わっていた。
肉料理や魚料理もあった。
「美味しい」
「ここの都市は、潤っているからな」
「そうなんですね」
外に出ると酔っぱらいが路上に座り込んでいた。それも一人だけではない。
私はこの町の公園で寝ていたら、誘拐をされていたかもしれないと思った。
私は宿屋に戻りぐっすり眠った。
それから二日程馬で南東方向に移動をした。
朝になった。
「おはようございます」
「おはよう」
「おはようございます」
ベルノーさんは、朝からさわやかな笑顔を見せてくれた。
ディリック様に関しては、言うまでもない……
朝食を済ませ私達は南東を目指す。途中の町で昼食も済ませた。
ずっと馬を走らせていると、大きな湖が見えて来た。
「わあ、綺麗! 大きいですね」
「ああ。少し寄って行くか」
「いいのですか」
「馬も疲れてきただろうと思ってな」
私は馬から降りて湖に近づく。のぞき込むと水が透き通っていて綺麗だった。
隣を見ると馬は、水を飲んでいた。
私達は池の周りを歩いて行く。
「本当に綺麗な湖ですね」
「ライングドール王国には無いのか?」
「湖はいくつかありますよ」
「そうか」
「フォンダーン王国に来てまだ二日ですが……ライングドール王国の国民はみんな、ぽわわんとしているように思えます」
「なんだ、そのぽわわんと言うのは」
私は説明に困り、ベルノーさんに話を振った。
「ベルノーさんは、ぽわわんが分かりますか?」
「いや、分からないですね」
「とにかくライングドール王国の国民は、ぽわわんとしているんです」
「エルーシアも含めてか」
「わ、私は違いますよ」
「何も考えずに家を出た小娘が良く言えたもんだな」
「私は小娘ではありません。もう、十四歳です!」
デリック様が驚いた顔をしていた。
「十四歳? もっと、幼いかと思っていた」
「十四歳ですよ。デリック様とベルノーさんはおいくつですか」
「俺は十七歳だ」
「私は二十歳です」
「二十歳? ベルノーさんの落ち着きは、大人の余裕なのですね」
ベルノーさんは、困ったように微笑んでいた。
「ということは、エルーシアの落ち着きの無さは、子どもならではなのだな」
この男……本当に一言余計だな。
「たったの三つしか違いませんよ」
「確かに年齢はな。まあいい、そろそろ先に進むぞ」
私達は馬に乗って先に進んだ。
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