エルーシアの物語

ねむ太朗

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「そろそろ昼食にするか」

  ディリック様の声が聞こえて来たので、私はそのまま歴史書をもとに戻した。

  昼食を食べてからは、図書館に戻り資料探しを続けた。

  私は三百年程前の歴史が書いてありそうな本を手にした。
  ディリック様はリーベル公爵家について、書いてありそうな本を探している。
  ベルノーさんは、王家について書かれている本を探して読んでいる。

  私は歴史書を読み進めていった。

  あれ?  五日で亡くなった陛下は何年頃だったかしら……
  忘れっぽいと時間ばかり掛かって嫌ね。

  私は歴代の陛下が載っている本を持って来て、照らし合わせた。

  うーん……?  地震?  
  地震で亡くなったのかしら?

「あの……」

「なんだ」

「五日で亡くなった陛下は、地震で亡くなったのでしょうか」

  資料を見たディリック様が考え込んでいる。

「ふむ……。病死と書かれているから違うのではないか?  災害で亡くなった場合は、病死とは書かれないのではないだろうか」

「そうですね。後は三百年前だと資料がだいぶ少ないですね」

「そうだな。リーベル公爵家に関してもほとんど最近の資料しかない。分かったのは、森を管理する為に作られた。と言う事だな」

  ディリック様は、腕を組んで考え込んでいた。

「森?」

「森だ」

「公爵家が森一つ管理をする為に作られたのですか?」

「そうだ。知らなかったのか」

「いや……習ったかしら?  確か……建国当初からある家が比較的に多いですね。途中で出来たのなから、習うと思うのだけれども。先生が、うっかり飛ばしちゃったのかしら?  あとは、その家の者がその家の歴史を、頭に入れておくくらいですかね。全ての家の歴史を覚えたら、きりがないので……」

「だろうな。その家に関する歴史は、その家の図書室にありそうだな。それから、初代リーベル公爵は元々王族だったらしい。理由など何でも良くて、王家から出す為に公爵位を作りたかったのかもしれないな」

「なるほど、そうしたら授業でさらっと飛ばしていても、おかしくないですね。リーベル公爵家の図書室に入れないのが残念です」

「そうだな」

  私は少し頭が痛くなってきた。

「所でその森は、どこなのですか」

「しらん」

「へっ?」

「書かれていないから分からない」

「なるほど……ところで、しらんとかおじさんぽくないですか。なんだか、伯爵家のお坊ちゃん感がないですね」

「子どもの頃から町で遊んでいたからな。それよりも何だその、伯爵家のお坊ちゃん感って……」

「言葉が綺麗でキラキラした感じですね」

  ディリック様は考え込んでいるようだ。

「エルーシアは……しいか」

「はい?」

「だから、エルーシアは俺の言葉が綺麗で優しかったら、嬉しいかと聞いている」

「いえ別に。なんでもいいです」

「なんでもいい……」

「ディリック様大丈夫ですか?  お疲れですか?」

「ああ。少し疲れたみたいだ」

「馬で移動をしたり、図書館にこもりきりでしたものね」

「ああ、そうだったな。明日は観光でもするか?」

  私はディリック様の言葉に嬉しくなった。

「えっ!  いいんですか?」

「たまには休憩も必要だろう」

  そう言ったディリック様の顔は優しそうな笑顔をしていた。
  こんな顔も出来るのね……

「はい!  楽しみにしていますね」

「ベルノーさん!  明日は観光ですって」

「おい。図書館では静かに話せ」

「すみません……」

  ベルノーさんはいつもの笑顔で優しく微笑んでいた。
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