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王宮の舞踏会から数日経ったある日、お姉様が私の部屋にやってきた。
「どうしたの」
「グリデーラ家からもらったお金の半分は、エルーシアが使いなさい」
「なんで? そんなのお父様が許してくれるかしら」
「あのお金は、グリデーラ侯爵がプラメル家に迷惑をかけてごめんなさい。と、エルーシアの事を自分の息子が傷つけてごめんなさい。といったグリデーラ侯爵の気持ちが込められているのよ。だから、エルーシアも使うべきだわ」
「お父様は許可をくれたの?」
「もちろんよ。私を誰だと思っているのよ」
親に説教をして、精霊エミリア様という強い味方がいて、もしかしたら、この国では陛下よりも力を持っているかもしれない……私のお姉様でしたね。
「私のお姉様です」
「そうよ。少しはやいけれど、嫁入りとして持って行くのよ」
「お姉様……ありがとう」
お姉様は優しく微笑んでいた。
さらに月日は流れ、私はまめにフォンダーン王国に行き、農作業の手伝いをしていた。
グリデーラ家からのお金を使った事で、予定よりもはやくに子爵領は豊かになってきた。
領民も増えてきている。
フォンダーン王国のお茶会にも参加をした。
ライングドール王国出身と言っただけで、ちやほやされた。
私は何を話していいのか分からなかったので……何しろ最近は農作業ばかりだからね。
とりあえず、美味しい野菜が出来た話をしたら、これがなぜか盛り上がった。
最近どこの領地でも、昔より美味しい野菜が急に採れるようになったらしい。
なんと野菜ブーム……
たぶん、精霊エミリア様の力が影響をしているように思う。
ライングドール王国が豊かなのも、きっとそういう事ね。
令嬢達が不思議よね。と話していたので、私も不思議ですよね。と話を合わせた。
お姉様……私は今、フォンダーン王国で、立派な嘘つきをやっています。
それから、さらに月日が流れ、私は十八歳になった。
この間、結婚式を挙げた。
お姉様達も来てくれたし、領民の皆さんも祝ってくれて、幸せな結婚式となった。
最近は農作業を手伝う必要は無いが、ちょこちょこ手伝っている。
おばさま達とのおしゃべりが楽しい。
夜寝室にて。
「ディリック様、だいぶ豊かになりましたね」
「そうだな。エルーシアのおかげだな」
「ふふ。私は何もしていませんよ」
「もし、エルーシアを助けなければ、精霊エミリア様にたどり着かなかっただろう?」
「確かに……私がお姉様の妹で良かったですね」
「俺達が出会ったのは、運命だったのかもしれないな」
ディリック様は優しく微笑むと、私を抱きしめキスをした。
今の私は幸せだ。
今、ディリック様の目の前にいるのは、本当の私。
嘘偽りの無い本当の私。
ディリック様……ありのままの私を好きになってくれて、ありがとう。
おわり
長い間お付き合いいただき、ありがとうございました。
「どうしたの」
「グリデーラ家からもらったお金の半分は、エルーシアが使いなさい」
「なんで? そんなのお父様が許してくれるかしら」
「あのお金は、グリデーラ侯爵がプラメル家に迷惑をかけてごめんなさい。と、エルーシアの事を自分の息子が傷つけてごめんなさい。といったグリデーラ侯爵の気持ちが込められているのよ。だから、エルーシアも使うべきだわ」
「お父様は許可をくれたの?」
「もちろんよ。私を誰だと思っているのよ」
親に説教をして、精霊エミリア様という強い味方がいて、もしかしたら、この国では陛下よりも力を持っているかもしれない……私のお姉様でしたね。
「私のお姉様です」
「そうよ。少しはやいけれど、嫁入りとして持って行くのよ」
「お姉様……ありがとう」
お姉様は優しく微笑んでいた。
さらに月日は流れ、私はまめにフォンダーン王国に行き、農作業の手伝いをしていた。
グリデーラ家からのお金を使った事で、予定よりもはやくに子爵領は豊かになってきた。
領民も増えてきている。
フォンダーン王国のお茶会にも参加をした。
ライングドール王国出身と言っただけで、ちやほやされた。
私は何を話していいのか分からなかったので……何しろ最近は農作業ばかりだからね。
とりあえず、美味しい野菜が出来た話をしたら、これがなぜか盛り上がった。
最近どこの領地でも、昔より美味しい野菜が急に採れるようになったらしい。
なんと野菜ブーム……
たぶん、精霊エミリア様の力が影響をしているように思う。
ライングドール王国が豊かなのも、きっとそういう事ね。
令嬢達が不思議よね。と話していたので、私も不思議ですよね。と話を合わせた。
お姉様……私は今、フォンダーン王国で、立派な嘘つきをやっています。
それから、さらに月日が流れ、私は十八歳になった。
この間、結婚式を挙げた。
お姉様達も来てくれたし、領民の皆さんも祝ってくれて、幸せな結婚式となった。
最近は農作業を手伝う必要は無いが、ちょこちょこ手伝っている。
おばさま達とのおしゃべりが楽しい。
夜寝室にて。
「ディリック様、だいぶ豊かになりましたね」
「そうだな。エルーシアのおかげだな」
「ふふ。私は何もしていませんよ」
「もし、エルーシアを助けなければ、精霊エミリア様にたどり着かなかっただろう?」
「確かに……私がお姉様の妹で良かったですね」
「俺達が出会ったのは、運命だったのかもしれないな」
ディリック様は優しく微笑むと、私を抱きしめキスをした。
今の私は幸せだ。
今、ディリック様の目の前にいるのは、本当の私。
嘘偽りの無い本当の私。
ディリック様……ありのままの私を好きになってくれて、ありがとう。
おわり
長い間お付き合いいただき、ありがとうございました。
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