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3. 王太子殿下の婚約者候補
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「ちょっと離してよ。次の授業に遅れちゃうじゃない」
ジーンの手を振り解こうとするが、しっかりと掴まれていてびくともしない。
私の手はジーンの手で覆われている。
ジーンの手ってこんなに大きかったっけ? 昔はもっと小さくてぷにぷにしていたのに。
まじまじとジーンの手を見ていると、足を止めたジーンが照れくさそうに私を見ていた。
「ここ、裏庭?」
「そう。ここなら誰も来ないから」
「授業に遅れちゃうじゃない」
「サボる」
「ちょっと、サボるなら一人でサボりなさいよね。私は卒業がかかっているの。首席のあなたと違ってね」
魔法学校卒業と中退では、就職先がかなり変わる。卒業後は少しでも多く稼いで田舎の両親と弟に仕送りをしたい。
「もう間に合わないから話聞けって。人に聞かれるとまずいんだよ」
「人に聞かれるとまずい話? 何? どんな話よ。さあ、話してみなさい」
「急に楽しそうな顔したな。はぁ、まあいいや。カールセンお嬢様の話なんだけど、彼女……」
「ぁあ! 分かった! ジーンの恋人なのね。人目をはばかって育む身分差の恋ね! それは誰かに聞かれたら困るわね」
私は腕を組んで頷いた。
「違うって! 俺はずっと片思いなんだから!」
「えっ!? そうなの? ずっとって事は村の人よね。チェイラちゃんにリアンちゃんに……」
「リアンちゃんはまだ五歳だろ。勘弁してくれ。アイリーンは黙って。話が進まないから」
私は不貞腐れた顔をして口を閉じた。
「カールセンお嬢様は、王太子殿下の最有力婚約者候補なんだ」
「えっ! まっさかー。だって、王太子殿下と言ったら、御歳三十歳だよ。カールセンさんは、同級生なんだから十六が十七でしょ。それ嘘だよ。からかわれたんだよ」
「教員達が話しているのを、たまたま聞いてしまったので本当だ。それから、三十じゃなくて二十九だ」
「三十も二十九もどっちも変わら……」
ジーンに睨まれたので、口を閉じた。
「アイリーン。カールセン家のお嬢様に目をつけられると厄介だから、失礼のないように気をつけるんだぞ」
「はーい。でもカールセンさん嫌じゃないのかしら、そんなおじ……」
ジーンに睨まれたので、また口を閉じた。
「お貴族様の世界では、そのくらいの年の差は普通なの。カールセン子爵令嬢は、王太子殿下が待ちに待った魔法使いの貴族令嬢なんだ」
そう言えば、我が国の王太子殿下は魔法使い好きだったわね。
あーなるほど。魔力を持った貴族令嬢を待ち続けたから、婚期が遅れたのか。
たがら、御歳さ……二十九歳になっても未婚で婚約者なしなのね。
「うん。分かったわ。カールセンさんには、丁寧な言葉遣いで頑張るね」
「カールセンさんってなんだ。様だろう?」
「カールセンさんが良いって言ってたもん」
「本当に? 心配だなー。とにかく、ボロが出るから必要以上に関わるなよ。それから、婚約者候補の話は秘密な。こそこそと話していたから、広まるとまずいんだろうな」
「ボロって何よー」
私が怒った顔をすると、ジーンは可笑しそうに笑ったのだった。
ジーンの手を振り解こうとするが、しっかりと掴まれていてびくともしない。
私の手はジーンの手で覆われている。
ジーンの手ってこんなに大きかったっけ? 昔はもっと小さくてぷにぷにしていたのに。
まじまじとジーンの手を見ていると、足を止めたジーンが照れくさそうに私を見ていた。
「ここ、裏庭?」
「そう。ここなら誰も来ないから」
「授業に遅れちゃうじゃない」
「サボる」
「ちょっと、サボるなら一人でサボりなさいよね。私は卒業がかかっているの。首席のあなたと違ってね」
魔法学校卒業と中退では、就職先がかなり変わる。卒業後は少しでも多く稼いで田舎の両親と弟に仕送りをしたい。
「もう間に合わないから話聞けって。人に聞かれるとまずいんだよ」
「人に聞かれるとまずい話? 何? どんな話よ。さあ、話してみなさい」
「急に楽しそうな顔したな。はぁ、まあいいや。カールセンお嬢様の話なんだけど、彼女……」
「ぁあ! 分かった! ジーンの恋人なのね。人目をはばかって育む身分差の恋ね! それは誰かに聞かれたら困るわね」
私は腕を組んで頷いた。
「違うって! 俺はずっと片思いなんだから!」
「えっ!? そうなの? ずっとって事は村の人よね。チェイラちゃんにリアンちゃんに……」
「リアンちゃんはまだ五歳だろ。勘弁してくれ。アイリーンは黙って。話が進まないから」
私は不貞腐れた顔をして口を閉じた。
「カールセンお嬢様は、王太子殿下の最有力婚約者候補なんだ」
「えっ! まっさかー。だって、王太子殿下と言ったら、御歳三十歳だよ。カールセンさんは、同級生なんだから十六が十七でしょ。それ嘘だよ。からかわれたんだよ」
「教員達が話しているのを、たまたま聞いてしまったので本当だ。それから、三十じゃなくて二十九だ」
「三十も二十九もどっちも変わら……」
ジーンに睨まれたので、口を閉じた。
「アイリーン。カールセン家のお嬢様に目をつけられると厄介だから、失礼のないように気をつけるんだぞ」
「はーい。でもカールセンさん嫌じゃないのかしら、そんなおじ……」
ジーンに睨まれたので、また口を閉じた。
「お貴族様の世界では、そのくらいの年の差は普通なの。カールセン子爵令嬢は、王太子殿下が待ちに待った魔法使いの貴族令嬢なんだ」
そう言えば、我が国の王太子殿下は魔法使い好きだったわね。
あーなるほど。魔力を持った貴族令嬢を待ち続けたから、婚期が遅れたのか。
たがら、御歳さ……二十九歳になっても未婚で婚約者なしなのね。
「うん。分かったわ。カールセンさんには、丁寧な言葉遣いで頑張るね」
「カールセンさんってなんだ。様だろう?」
「カールセンさんが良いって言ってたもん」
「本当に? 心配だなー。とにかく、ボロが出るから必要以上に関わるなよ。それから、婚約者候補の話は秘密な。こそこそと話していたから、広まるとまずいんだろうな」
「ボロって何よー」
私が怒った顔をすると、ジーンは可笑しそうに笑ったのだった。
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