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33. アネモネは食いしん坊
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「えっ! えっ! えっー!」
「アイリーン。ちょっと驚き過ぎよ。もっとお上品にお願いね」
「はい」
ちょいちょい入るシルフィーさんのマナー指導。食べている時に入るとつらいのだ。
「あなたは妖精さんよね。私のケーキを食べたのかしら」
そうだ。今は芋芋スペシャルを呑気に食べている場合ではなかった。
目の前に治癒の妖精が現れたのだ。
私が視線を治癒の妖精に戻すと、妖精はシルフィーさんの手の甲の上にいた。
「治癒の妖精はおくびょうな子が多いと聞いていたけれど、全員ではないのね。それともケーキのおかげかしら」
シルフィーさんが治癒の妖精に声をかけると妖精はパタパタと飛び、もう片方の手のひらに移動した。
手のひらに移動? それは契約する時の…………。
「シルフィーさん。手のひらは契約す」
私がシルフィーさんに話しかけたのとほぼ同時に、シルフィーさんの手のひらが光った。
「あら?」
「契約完了です」
シルフィーさんは目をぱちくりさせている。
「おめでとうございます。シルフィーさん」
「ありがとう? これで契約完了なの?」
「完了です」
「こんなに簡単で良いのかしら」
「分かりません。そして、我々に契約するのかしないのかの選択肢はほぼありません」
「妖精さん達って結構強引なのね」
「あはははは」
私は笑うしかなかった。
「それで、名前は何にするんですか」
「そうね。少し前にピンク色のアネモネを見たからアネモネ。あなたの名前は今日からアネモネよ。どうかしら」
妖精は気に入ったようで、シルフィーさんの肩にちょこんと乗った。
「アネモネ。これからよろしく。残りのケーキもよろしけばどうぞ」
アネモネはぺろっとケーキを平らげ、狙いを私の芋芋スペシャルに定めた。
「これはダメー」
慌てて芋芋スペシャルを頬張っていると、シルフィーさんに注意をされたのは言うまでもない。
シルフィーさんがアネモネと契約をしてから数日後、王家が正式にシルフィーさんと王太子殿下との婚約を発表した。
シルフィーさんはこの婚約に不安があるようだったが、お祝いの言葉を述べたら笑顔を見せてくれた。
「アイリーン。ちょっと驚き過ぎよ。もっとお上品にお願いね」
「はい」
ちょいちょい入るシルフィーさんのマナー指導。食べている時に入るとつらいのだ。
「あなたは妖精さんよね。私のケーキを食べたのかしら」
そうだ。今は芋芋スペシャルを呑気に食べている場合ではなかった。
目の前に治癒の妖精が現れたのだ。
私が視線を治癒の妖精に戻すと、妖精はシルフィーさんの手の甲の上にいた。
「治癒の妖精はおくびょうな子が多いと聞いていたけれど、全員ではないのね。それともケーキのおかげかしら」
シルフィーさんが治癒の妖精に声をかけると妖精はパタパタと飛び、もう片方の手のひらに移動した。
手のひらに移動? それは契約する時の…………。
「シルフィーさん。手のひらは契約す」
私がシルフィーさんに話しかけたのとほぼ同時に、シルフィーさんの手のひらが光った。
「あら?」
「契約完了です」
シルフィーさんは目をぱちくりさせている。
「おめでとうございます。シルフィーさん」
「ありがとう? これで契約完了なの?」
「完了です」
「こんなに簡単で良いのかしら」
「分かりません。そして、我々に契約するのかしないのかの選択肢はほぼありません」
「妖精さん達って結構強引なのね」
「あはははは」
私は笑うしかなかった。
「それで、名前は何にするんですか」
「そうね。少し前にピンク色のアネモネを見たからアネモネ。あなたの名前は今日からアネモネよ。どうかしら」
妖精は気に入ったようで、シルフィーさんの肩にちょこんと乗った。
「アネモネ。これからよろしく。残りのケーキもよろしけばどうぞ」
アネモネはぺろっとケーキを平らげ、狙いを私の芋芋スペシャルに定めた。
「これはダメー」
慌てて芋芋スペシャルを頬張っていると、シルフィーさんに注意をされたのは言うまでもない。
シルフィーさんがアネモネと契約をしてから数日後、王家が正式にシルフィーさんと王太子殿下との婚約を発表した。
シルフィーさんはこの婚約に不安があるようだったが、お祝いの言葉を述べたら笑顔を見せてくれた。
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