落ちこぼれ魔法使い見習いのアイリーン

ねむ太朗

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43. 黒龍復活

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「もう時間が無いわ。何もしなければ龍に凍らされてしまうわよ」

 そうだ。龍は私達のすぐ側まで来ている。

「分かりました」

 フランツさんとゲイリーさんが驚いた顔で私を見た。

「あなた達も一緒に来なさい」

「「はい」」

 シルフィーさんは頼もしい。男子二人に拒否権は無かった。
 それに逃げ場など何処にも無いのだ。

「ぎゃー」

 近くを走っていた男性が龍に足を凍らさせられたようだ。
 それに気付いたゲイリーさんは走り出した。きっと妖精に頼んで治癒の力を使おうとしているのだろう。

「ゲイリーまだよ。救護は後で。まずは龍の動きを止めるのよ」

 シルフィーさんが叫ぶが、ゲイリーさんは引き戻せ無い所まで走ってしまっていた。
 シルフィーさんの指示を聞き、その場に立ち止まったゲイリーさんの前に龍が顔を近づけた。

「ゲイリー! 逃げなさい」

 シルフィーさんは悲鳴に近い声を上げた。

 どうしよう。このままじゃゲイリーさんが……。

「ミミ! 力を貸して!」

 私の声に答えたミミが新緑の力を使う。
 龍の足元からたくさんのツルが伸びて来て足に絡みつく。

 龍はそちらに気を取られたようでゲイリーさんから視線が外れた。
 ゲイリーさんは私の方を向いて目を見張っている。

「ゲイリーさん! 早く逃げて」

 はっとした顔をしたゲイリーさんは、素早く私達がいる方に戻って来た。

「アイリーン! 良くやったわ。氷には炎よ」

 シルフィーさんは得意の火炎放射を龍に向けて放った。

「ギャオーオー! ギャーギャー」

 龍は悲鳴を上げているようだ。
 シルフィーさんに続きフランツさんとゲイリーさんも火炎放射を放っている。
 自分だけ魔法が使えないのがもどかしい。

「アイリーン! 大丈夫か?」

 振り向くとジーンがこちらに走って来るのが見えた。

「ジーンにユースチスくんに……」

 ジーンがクラスメートを数人連れて来てくれたようだ。

「キャー」

 シルフィーさんの悲鳴だ。
 どうやら龍がツルの拘束から抜け出したようだ。
 龍は冷たい冷気を空に向かって放ち、かなり怒っている様子だ。

「シルフィーさん。大丈夫ですか」

「ええ。氷漬けはなんとか回避したわよ」

 シルフィーさんのぎこちない笑顔からは疲労の色が伺えた。
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