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48. 手紙
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「これで今日の授業は終わりだ」
数日ぶりの授業を終えて席を立つとプラント先生に呼ばれた。
「はい。何ですか」
「これを」
私はプラント先生から手紙を受け取った。
手紙には王家の印がされていた。
「あの、えっと」
「褒美の件で登城せよと」
「褒美!?」
「黒龍を手懐けて被害を最小限に抑えたからな。あとカロリーナからの伝言で時間がある時に遊びに来てくれと」
「はい。分かりました。先生はカロリーナさんと仲が良いですね」
プラント先生はこめかみをポリポリと掻いて困った顔をした。
「まあ。婚約者だからな」
「あーなるほど。婚約者ですか。…………えっ! 婚約者?」
「俺は手紙を渡して伝言も伝えたからな。はい、今日の仕事はおしまいだ。帰るぞ」
プラント先生は早口で言うと教室を出て行った。
照れくさいのだろうか、恥ずかしいのだろうか。私がくすくすと笑っているとシルフィーさんがやって来た。
「アイリーン。今聞こえていたのだけれども、手紙を開けてほしいわ」
「はい。では今開けますね」
手紙の内容は五日後に登城するように書かれていた。
「これは大変! 今すぐにドレスを買いに行きましょう」
急に慌て出したシルフィーさん。
「いやいや。私お金あまり持っていないので制服でいいです。正装なんで」
「だめよだめ。私の友人なのに制服で登城なんて。王家の方が許しても私は許しませんわよ」
私はシルフィーさんの取り巻きではなく友人だったようだ。なんだか嬉しい。
「なんでにやにやしているのよ。話を聞いているの?」
「はい。では、お金がないので制服で」
「だーかーらー、絶対にドレスよ。ではこうしましょう。私のドレスを貸して差し上げてよ」
「汚しらと思うとお外を歩けません」
「お古だからいいのよ。ほら今から私の家に行くわよ」
そう言うとシルフィーさんは私の手を引いて歩き出した。
「あっ、ジーン。ユースチスくん。また明日ねー」
私が声を掛けると二人は手を振ってくれた。
今日はカロリーナさんの家に行こうと思っていたんだけど、明日でいっか。
私はカールセン家の快適な馬車に揺られてシルフィーさんの家に向かった。
数日ぶりの授業を終えて席を立つとプラント先生に呼ばれた。
「はい。何ですか」
「これを」
私はプラント先生から手紙を受け取った。
手紙には王家の印がされていた。
「あの、えっと」
「褒美の件で登城せよと」
「褒美!?」
「黒龍を手懐けて被害を最小限に抑えたからな。あとカロリーナからの伝言で時間がある時に遊びに来てくれと」
「はい。分かりました。先生はカロリーナさんと仲が良いですね」
プラント先生はこめかみをポリポリと掻いて困った顔をした。
「まあ。婚約者だからな」
「あーなるほど。婚約者ですか。…………えっ! 婚約者?」
「俺は手紙を渡して伝言も伝えたからな。はい、今日の仕事はおしまいだ。帰るぞ」
プラント先生は早口で言うと教室を出て行った。
照れくさいのだろうか、恥ずかしいのだろうか。私がくすくすと笑っているとシルフィーさんがやって来た。
「アイリーン。今聞こえていたのだけれども、手紙を開けてほしいわ」
「はい。では今開けますね」
手紙の内容は五日後に登城するように書かれていた。
「これは大変! 今すぐにドレスを買いに行きましょう」
急に慌て出したシルフィーさん。
「いやいや。私お金あまり持っていないので制服でいいです。正装なんで」
「だめよだめ。私の友人なのに制服で登城なんて。王家の方が許しても私は許しませんわよ」
私はシルフィーさんの取り巻きではなく友人だったようだ。なんだか嬉しい。
「なんでにやにやしているのよ。話を聞いているの?」
「はい。では、お金がないので制服で」
「だーかーらー、絶対にドレスよ。ではこうしましょう。私のドレスを貸して差し上げてよ」
「汚しらと思うとお外を歩けません」
「お古だからいいのよ。ほら今から私の家に行くわよ」
そう言うとシルフィーさんは私の手を引いて歩き出した。
「あっ、ジーン。ユースチスくん。また明日ねー」
私が声を掛けると二人は手を振ってくれた。
今日はカロリーナさんの家に行こうと思っていたんだけど、明日でいっか。
私はカールセン家の快適な馬車に揺られてシルフィーさんの家に向かった。
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