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64. 黒龍共存祭の話し合い

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 進級をしてから数ヶ月が経ち、黒龍封印祭の時期になった。
 今年からは黒龍共存祭と名前が変わった。今は今年のクラスの出し物について話し合っている。

「何かアイデアはないか?」

「オムライス屋さんがいいです」

「また食べ物かよ」

「そう言うイオくんは何かないの?」

 フランツさんとイオさんが話し合いをしている。今年もこの二人が中心で決まりそうだ。

「そうだな。せっかく黒龍がクラスにいるのだから、黒龍の像とか作って賽銭を入れるとご利益ありますよーって宣伝をするとか。あとは、黒龍を触れます的な」

 それでは私と黒龍は休み無しなのでは?

「それだとアイリーンさんが大変だと思う」

 さすがフランツさん。分かってくれて嬉しい。

「黒龍を触れるのはなしだな。人が殺到しそうで危ないからな」

 プラント先生の意見でクロとの触れ合いはなくなった。

「他に案があるやつはいないか?」

 誰も手を上げない。

「じゃあ多数決を取るぞ」

 多数決の結果、クロの像を作る事になった。さらに話し合いを重ねたところ、像は木で骨組みを作り、表面に紙を貼って作っていくようだ。

 私にはそのやり方で作れるのか不安だが、フランツさんがかなり張り切って説明をしていたので大丈夫だろう。

 今回は時間ごとに像に数人見張りがつくだけなので当日は暇だろう。
 私はいい事を思い付いた。

 授業が終わった後は手紙を買いに街に出掛けた。シルフィーさんも買い物があったようで一緒に行く。
 そして、芋芋スペシャルをご馳走になった。

 寮の部屋についてからは両親に手紙を書く。手紙なんて滅多に届く事がないから驚くだろう。

 内容は黒龍共存祭のお誘いだ。
 前に送った金貨があるのでお金には困らないだろう。出来ればジーンの家族も一緒にと付け加えた。

 金貨は二十九枚送ってある。一枚渡せばジーンの家族も一緒に来られるはずた。

 今から黒龍共存祭が楽しみになってきた。
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