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「ちょっと、追い出されるってどういう事?」
私はアリスに縁談の話をした。
「成る程ねー」
「しかもね、頼みの綱のセシルお兄様はお友達を紹介してくれないって」
「えっ、どうして?」
「怒らせたから」
理由を話すとアリスはケラケラ笑っていた。
「その言い方では、無理よ。アネモネがいかに楽をしたいかだけは、とても良く伝わるけれど」
「うん! 私は楽な結婚生活が送りたいの!」
アリスは苦笑いをしていた。
「でもいいの? 夜会へのお誘いは減るのよ。ミランダ様にも会いにくくなるわね」
なんと! そうだったー!
ミランダ様の美しさを拝めなくなってしまうじゃない。
「そうだったー! ミランダ様は、確か第二王子殿下とご婚約をされていたわよね」
「そうよー。結婚してからも夜会に参加されると思うわ」
しまった。困った。
ミランダ様に会う近道は〇〇夫人よね。
「アリスは……」
「ん?」
「アリスは結婚してからも私と会ってくれる?」
「何を言っているの。当たり前じゃない」
良かったー。アリス、大好きだー。
「まあでも、アネモネの条件って、簡単に結婚出来そうに見えて、意外と大変かもね」
「えっ、それってどういう……」
「爵位を継がない男性はたくさんいるけれど、王宮勤めとなるとお給料が高くなるから、結構人気よね」
「えっ、そうなの?」
「アネモネみたいな考えの女性は意外と多いって事よ」
そうなのかー。知らなかった。
アリスと話していて分かった事。私は、相手を選べる立場ではないかもしれない。
はやくも私は、デュラン様を諦める事にした。
「アリスは、婚約者出来た?」
「誰とも婚約していないわよ。婚約をしたらすぐに報告をするわ」
「ありがとうアリス! では、好きな人は?」
アリスは考え込んでいた。
「うーん。いないかもー」
「かもって何よ」
「今はアンドリュー様から逃げるのに必死で」
なんと! 話を聞くと要注意人物で、ロイアン殿下の従者のデュラン様のお兄様のアンドリュー様は、他の夜会でもアリスに付きまとっているらしい。
「アリス……全力で逃げるのよ!」
「もちろんよ!」
アリスとの話は盛り上がったが、シロンちゃんは最後まで起きる事はなく、ロンと帰ってきた。
その日の夜。
「アネモネ、カーテン!」
「はいはーい」
私が嫌々カーテンを開けると、月明かりが室内に差し込んだ。
ロンの身体がうっすら輝き、人間の姿に戻っていく。
「はー、久しぶりに戻れた」
ロイアン殿下は嬉しそうに自分の腕などを眺めていた。
「えっと、良かったですね」
「ああ、ありがとう」
うーん。穏やかだと調子が狂うわね。
前回ベルトをカチャカチャしていた人とは思えないわ。
私が考え事をしていると、ロイアン殿下が寝具に座った。
殿下が自分の隣をポンポンと軽く叩いている所を見ると、隣に座れと言っているようだ。
私は困って立ち尽くす。
「アネモネ? 座らないのか」
「えっと……殿下の隣にですか?」
「ロンだろう? 畏まるな」
そう言われましても……
私はアリスに縁談の話をした。
「成る程ねー」
「しかもね、頼みの綱のセシルお兄様はお友達を紹介してくれないって」
「えっ、どうして?」
「怒らせたから」
理由を話すとアリスはケラケラ笑っていた。
「その言い方では、無理よ。アネモネがいかに楽をしたいかだけは、とても良く伝わるけれど」
「うん! 私は楽な結婚生活が送りたいの!」
アリスは苦笑いをしていた。
「でもいいの? 夜会へのお誘いは減るのよ。ミランダ様にも会いにくくなるわね」
なんと! そうだったー!
ミランダ様の美しさを拝めなくなってしまうじゃない。
「そうだったー! ミランダ様は、確か第二王子殿下とご婚約をされていたわよね」
「そうよー。結婚してからも夜会に参加されると思うわ」
しまった。困った。
ミランダ様に会う近道は〇〇夫人よね。
「アリスは……」
「ん?」
「アリスは結婚してからも私と会ってくれる?」
「何を言っているの。当たり前じゃない」
良かったー。アリス、大好きだー。
「まあでも、アネモネの条件って、簡単に結婚出来そうに見えて、意外と大変かもね」
「えっ、それってどういう……」
「爵位を継がない男性はたくさんいるけれど、王宮勤めとなるとお給料が高くなるから、結構人気よね」
「えっ、そうなの?」
「アネモネみたいな考えの女性は意外と多いって事よ」
そうなのかー。知らなかった。
アリスと話していて分かった事。私は、相手を選べる立場ではないかもしれない。
はやくも私は、デュラン様を諦める事にした。
「アリスは、婚約者出来た?」
「誰とも婚約していないわよ。婚約をしたらすぐに報告をするわ」
「ありがとうアリス! では、好きな人は?」
アリスは考え込んでいた。
「うーん。いないかもー」
「かもって何よ」
「今はアンドリュー様から逃げるのに必死で」
なんと! 話を聞くと要注意人物で、ロイアン殿下の従者のデュラン様のお兄様のアンドリュー様は、他の夜会でもアリスに付きまとっているらしい。
「アリス……全力で逃げるのよ!」
「もちろんよ!」
アリスとの話は盛り上がったが、シロンちゃんは最後まで起きる事はなく、ロンと帰ってきた。
その日の夜。
「アネモネ、カーテン!」
「はいはーい」
私が嫌々カーテンを開けると、月明かりが室内に差し込んだ。
ロンの身体がうっすら輝き、人間の姿に戻っていく。
「はー、久しぶりに戻れた」
ロイアン殿下は嬉しそうに自分の腕などを眺めていた。
「えっと、良かったですね」
「ああ、ありがとう」
うーん。穏やかだと調子が狂うわね。
前回ベルトをカチャカチャしていた人とは思えないわ。
私が考え事をしていると、ロイアン殿下が寝具に座った。
殿下が自分の隣をポンポンと軽く叩いている所を見ると、隣に座れと言っているようだ。
私は困って立ち尽くす。
「アネモネ? 座らないのか」
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「ロンだろう? 畏まるな」
そう言われましても……
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