なんでも奪っていく妹に、婚約者まで奪われました

ねむ太朗

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  ジャック様の話が一段落した所で、私はエレーナ様を誘った。

「エレーナ様。よろしければ、私に屋敷の中を案内させて下さいませんか」

「ええ。ぜひお願いいたします」

  私達が客間から出て行こうとすると……お兄様が話し掛けて来た。

「僕も、一緒に案内をするよ」

「お兄様これ以上ジャック様をお待たせするのは……せっかくいらして下さったのに」

  私がそう言うと、それに重ねてジャック様も話す。

「そうだよ、ルイス。そろそろ、外に行こぜ」

  お兄様は、少し考えた顔をしてから答えた。

「そうだな。今から試合をしよう」

  私は、エレーナ様を連れて退出する。

  何だったのかしら?  いつもだったら、ジャック様がいらしたら、すぐに剣の稽古をしているのに。
  この間、私を放置してみんなで剣の稽古を楽しんだことを、まだ気にしているのかしら。

  私はエレーナ様に、簡単に屋敷の中を案内した。

「ここが、図書室ですわ」

「まあ、たくさんの本があるのね。我が家の図書室よりも広くて本の数が多いです」

「そうなのですか。まだ、全て読みきれていないんです」

「この数を読みきるのは、大変ですよね」

  エレーナ様とは会話が弾み、話やすかった。

「次は、庭園をご案内致しますね」

  庭園に向かう途中の廊下で、エルーシアに会ってしまった。

「まあ、お姉様のお友達かしら」

「ジャック様の妹のエレーナ様です」

  私は、エルーシアにエレーナ様を紹介した。

「まあ、ジャック様の。エルーシア・プラメルと申します。よろしくお願い致します」

「エレーナ・ハーヴェスと申します。よろしくお願い致します」

  挨拶が終わるとエルーシアは、私に話し掛けて来た。

「お姉様にお友達は、いないわよね。私ったら知っていたのにうっかり聞いてしまったわ」

  私は、うつむいた。

  何か、言い返さなくちゃ。 
  焦る私は、何も思い浮かばない。

  そんな中で、エレーナ様が言葉を発した。

「まあ!  では、私が一番ですね」

  ひとり嬉しそうなエレーナ様に、私もエルーシアもぽかんとした顔をした。

「リリアーナ様のお友達よ。今までいなかったのなら、私が一番最初のお友達でしょう」

  私は、エレーナ様が天使に見えた。

「はい!  エレーナ様は、私の最初のお友達です」

「ふふふ。これから、よろしくお願いいたします。リリアーナ様」

「よろしくお願い致します。エレーナ様」

  私達のやり取りを見ていたエルーシアは、悔しそうな顔をしてから、話し掛けてきた。

「私、用事を思い出しましたわ。エレーナ様ごゆっくりお過ごし下さい。では、失礼致します」

「まあ、ありがとうございます」

  エルーシアが去って行った。
  エルーシアが見えなくなってから、私はエレーナ様に話し掛けた。

「エレーナ様。ありがとうございました。助けて頂いて」

「大したことではないから、気にしなくていいですわ。それより、これからよろしくお願いいたします。私達、もうお友達でしょう」

  エレーナ様の言葉に私は、笑顔で答えた。

「はい!  これからよろしくお願い致します。私、エレーナ様とお友達になれて、とても嬉しいです」

「ふふふ。リリアーナ様かわいいですね。おいくつですか」

「十四歳です」

「そう。私より一つ若いわね。妹が出来たみたいで嬉しいですわ」

「はい!  では、エレーナお姉様と呼ばせて下さい」

  私の言葉にエレーナ様は、驚いた顔をしたが、すぐに優雅に微笑み許可をくれた。

「リリアーナ様になら、そう呼んでもらっても、かまいませんよ」

  私は、屋敷を案内していたことを思いだし、園庭にエレーナお姉様と向かった。

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