女嫌いな俺は転生して女性が寄ってくるモテスキルを手に入れたが、異世界でも女神やギルド嬢に冷たく当たります。

望月ゆたか

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11.ちょっと待って!天界でまで俺のフェロモンが効いちゃってるんだけど!?

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 白く眩しい光に包まれたと思ったら、レンはいつの間にか見覚えのある場所に立っていた。天界――転生前に命を落としたあと、女神リュミエルと対峙したあの神聖な領域だ。

「やあ、久しぶりね、レン」
 リュミエルが冷たく微笑みながら近づいてくる。彼女の紫がかった瞳は相変わらず鋭く、そしてどこか幼い雰囲気を漂わせている。

「いきなり呼び出すなんて、何の用だよ」
 レンは素っ気なく言ったが、緊張が背筋を伝うのを感じていた。天界での彼は、異世界での“あのスキル”がどう働くか気がかりだった。

 すると、レンの身体から自然と微かな甘い香りが漂い始めた。本人は気づかずにいるが、それは『フェロモン』スキルの発動だった。

 突如、別の扉が開き、数人の女神が次々に姿を現す。金色に輝く髪の女神、深い蒼のローブを纏う女神、紅の瞳が妖艶な女神――みんなレンの周囲に吸い寄せられるように集まってきた。

「あら……なにこれ、すごくいい匂い……」
「この香り……私、初めて感じるわ……!」
「ねえリュミエル、あなたこの人を私たちに紹介してくれない?」

 彼女たちは目を輝かせ、レンを見つめている。レンは慌てて顔を背けた。
「ちょ、ちょっと待てよ!俺、そんなつもりないって!」

 しかし、フェロモンの効果は絶大で、誰も耳を貸さない。リュミエルはぷっと吹き出し、プライドが粉々に砕け散る音が聞こえそうだった。
「アンタが女嫌いだからって、こんな仕打ちをしてやったのに……逆に私たちを惑わすなんて、どういうことよ!」

 白くて神々しい天界の空気の中、レンは絶賛修羅場に巻き込まれていた。フェロモンスキルの効果で、天界にいる複数の女神たちが次々と彼に惚れ込んでしまったのだ。

「まったく、こんなことになるなんて思わなかったわ……」
リュミエルは腕を組み、少し呆れた表情でレンを見ている。だが、その瞳にはどこか嬉しそうな、まるで自分が撒いた種の面白さにクスクス笑う子どものような光が宿っていた。

「仕方ないじゃないか。俺だって望んでこんな状況になったわけじゃない!」
レンは必死に距離を取ろうとするが、周囲の女神たちはお構いなしに甘い声をかけてくる。

「そんなこと言わないでよ、レン」
金色の長髪を揺らしながら近づく女神が手を伸ばす。肌の柔らかさや、目の輝きはどこか異世界の妖精のように神秘的だ。彼女の声は低く甘く、まるで蜜のようにレンの心に染み込んだ。

「わたしもあなたのこと、ずっと見ていたのよ」
別の青いローブの女神もにっこり微笑む。だがレンは焦りを隠せず、思わず後退る。

「落ち着け、俺は……」
「レン、こっちよ」
リュミエルが呼びかける声に振り返ると、彼女は少し悪戯っぽく目を細めていた。

「あなた、ちょっとは私の気持ちを考えてよね」
リュミエルが小声で言う。プライドの高い彼女が見せる意地悪で幼い一面に、レンはほんの少しだけ和んだ。

だが、そんな一瞬の油断も許されない。別の女神が笑いながらレンの腕に手を置く。
「ねえレン、私たち天界の女神たちだって、恋をしたいのよ?」
彼女の声は甘く、まるで魔法のようにレンの胸をくすぐった。

「お、おい、ちょっと待ってくれ!」
レンはあわててその手を振り払おうとするが、まるで糸で繋がれているかのように離れられない。

「フェロモンの効果は……天界でも効くのかよ!」
小さく呟きながら、レンは改めて自分の状況を実感する。異世界の人間相手でも困惑していたが、まさか神様たちまで惚れさせてしまうとは。

「これ、どうやって収めればいいんだ……」
頭を抱えるレンに、リュミエルは一歩近づいて言った。

「仕方ないわね……私がなんとかするわよ」
リュミエルはそう言うと、天界の女神たちに向かって小声で何か伝えた。その声はレンには聞こえないが、女神たちは次第に落ち着きを取り戻していく。

「ふう……やっと静かになったわ」
リュミエルは肩をすくめてため息をついた。
「あなた、本当に厄介な能力を持っているわね。意地悪してやったのに、逆に天界の皆を振り回して……」
そう言いながらも、どこか楽しそうな笑みが浮かんでいた。

「俺、どうすれば……」
「フェロモンは、ただ引き寄せるだけじゃない。“本当のあなた”に触れたときにこそ、真価を発揮する。」「まずは、フェロモンのコントロールを覚えなさい。それから、もう少し女神に優しくしてみたらどう?」
リュミエルの言葉に、レンはむっとしながらも内心で少しだけ頷いた。

「……わかったよ」
レンは覚悟を決めた。
「天界でも俺のスキルは厄介だけど、ここで逃げるわけにはいかない。いつかこのフェロモンの秘密も理解しないとな」

 「その決意、忘れないで」
リュミエルはそう言うと、静かに天界の門を開いた。

「さあ、レン。もう戻りなさい。地上での生活に戻るのよ」

レンは少し名残惜しそうに天界を振り返りながら、歩き出した。

「天界での試練は始まったばかりだな…」

フェロモンの力に翻弄されながらも、彼は自分の道を進む決意を新たにした。

天界の光が遠ざかり、レンは再び地上の世界へと戻っていった。
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