26 / 155
三、伏見稲荷
(十四)
しおりを挟む
権殿を離れた芳野は、左わきにある大きな赤い鳥居をくぐって、なだらかな広い階段を上っていった。そして、玉山稲荷社の前で、右側にある赤い鳥居をくぐって、また、なだらかな階段を上っていった。そして、奥宮に着いた。檜皮葺きの三間社流造である。
ここから千本鳥居の参道を上って行けば、奥社奉拝所に至り、さらに、そこから稲荷山へ入って行く道がいくつか伸びていた。
稲荷社ができた最初の頃は、麓の本殿はなくて、参詣者は皆、稲荷山を上って三ヶ峰の上社、中社、下社を参拝していた。それは、今に至っても、変わらない。麓の本殿で参拝を済ませた参詣者の多くが、そのまま、稲荷山に入って行く。芳野が前回訪れた時も、同様に稲荷山を登って三ヶ峰の社を参拝した。当然、今回もそのつもりで奥宮から奥社奉拝所を目指していた。
奥宮に着くと左わきの『稲荷大神』と大書された扁額がかかる赤い鳥居をくぐって、そこから無数の赤い鳥居が続く参道に入って行く。無数の鳥居は、ほぼ隙間なく連なるので、まるで鮮やかな朱の鳥居でできた隧道を歩くような感覚に陥る。この鳥居の隧道は延々と続き、途中で二本に分かれて、奥社奉拝所まで続く。
奥社奉拝所に到着する。ここには茶店があったり、お守りが売っていたり、おみくじがひけたり、奥にはおもかる石というものがあったが、早く山に入ろうと思い、これらを素通りして、左手に、また、鳥居の隧道が続いていたので、その中に入り、先を急いだ。この千本鳥居の道は沢沿いに延々と続いていて、周囲は段々と森が深くなり、山中の谷間を沢の上流に向かって上って行くような感じになっていった。
更に道を進むと、今度は周囲のそこかしこに無数の赤い鳥居と大小の祠が密集して目立つようになり、その数の多さは異様に感じた。これが「お塚」と呼ばれるものらしいが、そこは、山中の薄暗さと相まって、まるで闇の沼の底に何かの生き物が蝟集するような息づかいをして佇んでいた。
この辺りになると階段も傾斜がきつくなってきた。
ここから千本鳥居の参道を上って行けば、奥社奉拝所に至り、さらに、そこから稲荷山へ入って行く道がいくつか伸びていた。
稲荷社ができた最初の頃は、麓の本殿はなくて、参詣者は皆、稲荷山を上って三ヶ峰の上社、中社、下社を参拝していた。それは、今に至っても、変わらない。麓の本殿で参拝を済ませた参詣者の多くが、そのまま、稲荷山に入って行く。芳野が前回訪れた時も、同様に稲荷山を登って三ヶ峰の社を参拝した。当然、今回もそのつもりで奥宮から奥社奉拝所を目指していた。
奥宮に着くと左わきの『稲荷大神』と大書された扁額がかかる赤い鳥居をくぐって、そこから無数の赤い鳥居が続く参道に入って行く。無数の鳥居は、ほぼ隙間なく連なるので、まるで鮮やかな朱の鳥居でできた隧道を歩くような感覚に陥る。この鳥居の隧道は延々と続き、途中で二本に分かれて、奥社奉拝所まで続く。
奥社奉拝所に到着する。ここには茶店があったり、お守りが売っていたり、おみくじがひけたり、奥にはおもかる石というものがあったが、早く山に入ろうと思い、これらを素通りして、左手に、また、鳥居の隧道が続いていたので、その中に入り、先を急いだ。この千本鳥居の道は沢沿いに延々と続いていて、周囲は段々と森が深くなり、山中の谷間を沢の上流に向かって上って行くような感じになっていった。
更に道を進むと、今度は周囲のそこかしこに無数の赤い鳥居と大小の祠が密集して目立つようになり、その数の多さは異様に感じた。これが「お塚」と呼ばれるものらしいが、そこは、山中の薄暗さと相まって、まるで闇の沼の底に何かの生き物が蝟集するような息づかいをして佇んでいた。
この辺りになると階段も傾斜がきつくなってきた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる