27 / 155
三、伏見稲荷
(十五)
しおりを挟む
ふと、右の斜面を見ると、多くの大小の祠が建ち並ぶ中に、石の鳥居のある社が目に入った。扁額には三柱の神名が並列されているが、どれも耳にしたことのない神名だ。
鳥居の奥には一対の狐の石像が左右に控え中央に石の祠が設置されている。どのような由来の社なのかはわからなかったが、興味を惹かれて、鳥居をくぐってみた。左右の狐の石像に生気があるような気がしたが、どう見てもただの石像なので気のせいだったのだろう。
この社の左には短い石段があって、その先には大小の祠が密集して建てられていた。石段を登って右手には更に先へと続く細い道があった。この道はかなり先まで続いているようであった。道の周囲は、やはり大小の祠で囲まれていた。
そのまま、その道を進んでいくと、針葉樹が林立し、灌木と下草の繁みに隠れて、道がよく見えなくなってきた。特にどうというわけではないのだが、道の先が気になって、更に進んでみた。ここまで来ると祠はほとんど見られなくなり、疎らに祠が建てられている斜面を登っていくと、やがて、灌木と下草の繁みに道筋が呑み込まれて、その先がわからなくなっていた。ここまで来て引き返すのも後ろ髪が引かれるようで、思い切って繁みを掻き分け、先に進んでみた。けもの道のような微かな道筋が残っていて、繁みを掻き分けながら辿っていくと、下草が繁茂する中に埋もれるように木製の崩れかけた祠が姿を現した。腰くらいまでの高さの祠で、長い間掃除がされていないのか薄汚れていた。
芳野は、この正体の不明な古ぼけた社に少し怖さも感じたが、ここまで来てしまって参拝もせずに踵を返すのは何か罰が当たりそうで怖くなったので、とりあえず柏手を打って礼拝した。拝礼を終えると、先を急ぎたかったので、すぐに元来た道を戻り、鳥居から出て参道に戻った。この時、斜面を覆う大小の祠のどこかから常に見られているように感じて振り返ったが、特に変わったところはなかった。しかし、気配を感じたのは確かだった。
茶店が見えてきた。ようやく上り坂も一段落つき、目の前には緑色に染まった水面が広がっていた。芳野は、ここで一休みすることにした。
鳥居の奥には一対の狐の石像が左右に控え中央に石の祠が設置されている。どのような由来の社なのかはわからなかったが、興味を惹かれて、鳥居をくぐってみた。左右の狐の石像に生気があるような気がしたが、どう見てもただの石像なので気のせいだったのだろう。
この社の左には短い石段があって、その先には大小の祠が密集して建てられていた。石段を登って右手には更に先へと続く細い道があった。この道はかなり先まで続いているようであった。道の周囲は、やはり大小の祠で囲まれていた。
そのまま、その道を進んでいくと、針葉樹が林立し、灌木と下草の繁みに隠れて、道がよく見えなくなってきた。特にどうというわけではないのだが、道の先が気になって、更に進んでみた。ここまで来ると祠はほとんど見られなくなり、疎らに祠が建てられている斜面を登っていくと、やがて、灌木と下草の繁みに道筋が呑み込まれて、その先がわからなくなっていた。ここまで来て引き返すのも後ろ髪が引かれるようで、思い切って繁みを掻き分け、先に進んでみた。けもの道のような微かな道筋が残っていて、繁みを掻き分けながら辿っていくと、下草が繁茂する中に埋もれるように木製の崩れかけた祠が姿を現した。腰くらいまでの高さの祠で、長い間掃除がされていないのか薄汚れていた。
芳野は、この正体の不明な古ぼけた社に少し怖さも感じたが、ここまで来てしまって参拝もせずに踵を返すのは何か罰が当たりそうで怖くなったので、とりあえず柏手を打って礼拝した。拝礼を終えると、先を急ぎたかったので、すぐに元来た道を戻り、鳥居から出て参道に戻った。この時、斜面を覆う大小の祠のどこかから常に見られているように感じて振り返ったが、特に変わったところはなかった。しかし、気配を感じたのは確かだった。
茶店が見えてきた。ようやく上り坂も一段落つき、目の前には緑色に染まった水面が広がっていた。芳野は、ここで一休みすることにした。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる