稲荷詣で

斐川 帙

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四、二人連れの女性

(四)

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 相手の素性を知らない上に、どうしてこのような格好で参拝するのかもわからないので、マニアじゃなくて、何かしらのカルト宗教関係なのだろうかと思えてきた。面倒なことに巻き込まれるのも嫌なので、適当にあしらって、先を急ごうと考えた。それで、「先を急いでいるので。」と言い残すと、二人を置いて、すたすたと、所々に鳥居をくぐる参道を上っていこうとした。しかし、少女は、芳野の前に立って、「お待ちください。」と、彼女等を置いていこうとする芳野の足を止めた。芳野は、意外としつこいのに驚いて、しばし沈黙した。
 すると、ややあって、年上の女性の方が、意を決したようにはじめて口を開いた。
「女の二人連れゆえ、これからの山道、不安ですので、ご同道いただけると嬉しいのですが。私は駿河守為実の娘、これは妹でございます。」
 随分、丁寧な物言いだが、芝居がかっているし、時代劇みたいな自己紹介で、ふざけて、からかって来ているのかと思えて来て、腹が立ってきた。
 『駿河守為実の娘』?
 しかし、当の二人を見ると、ふざけた風もなく、いたって自然に振る舞っていて、胡散臭さは微塵も感じられなかった。いったい、何だろうと思うものの彼女らの正体がわかるわけもなく、芳野は、彼女等の頼みに当惑するしかなかった。ただ、彼女等を見ているうちに、謎めいた女連れだが、危険な匂いがしないし、しばらく付き合うのも面白いのではないかと思えてきた。と同時に、この変な服装で変な言い方をする二人の女性に興味が湧いてきた。そして、無理に断ってもしつこそうなので、到頭、
「じゃあ、ご一緒に参りましょうか。急いでいるといっても、走って登るわけでもないし。」
と折れてしまった。
 二人は軽くお辞儀をすると、歩き始めた芳野を先にやってから、そのあとについて歩き始めた。
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