36 / 155
四、二人連れの女性
(九)
しおりを挟む
三人が飲み干したのを確認した芳野は、「じゃあ、行きますか。」と出発を促すと、妹が先に立ち、そのあとに姉が続いた。右の道は、階段が続く細い参道で、鳥居の連なる中を、稲荷山の峰に向かって上って行った。
暫く上ると、参道の左側に大小の石造りの鳥居や赤い鳥居、祠が密集するところが出現し、その先に『三ノ峰 下ノ社』と書かれた扁額がかかる社が現れた。大小の祠は『お塚』と呼ばれるものだろう。反対側には茶店があった。社の入り口には『下社神蹟』と書かれた立札が立っており、そこを読むと、「下社神蹟とは稲荷山の七神蹟の一つで白菊大神と称えられている。」と書かれている。となると、下社も入れて神蹟は七つあり、そのうち三つが三ヶ峰にある上・中・下の社、その他に四つあるということかと芳野は解釈した。この三ノ峰の次は間ノ峰を通る予定なので、恐らく、そこにも七神蹟の一つがあるのだろう。とすると、一ノ峰を過ぎた先に残り三つの神蹟があるということだ。しかし、一ノ峰の先は谷に降ったあとの上り返しがある。
『七神蹟』という言葉を見た途端、七つすべてを回ってみたいという欲求に駆られたものの、やはり、彼女等二人を見ると、今回は三ヶ峰だけでやめておこうと思った。三つ辻までで既に息が切れていた二人であるから、七神蹟全てを巡るのは酷だろう。
ちなみに、実際のところ、七神蹟のうち六つまでは三ヶ峰を巡る途上に存在するが、残り一つだけ、荒神峰にあるので、全て巡るには四つ辻で一旦、荒神峰に向かわないといけない。また、七神蹟が確立されたのは明治時代とのことで、稲荷社創建時からあったわけではなく、比較的新しい時代に設定されたものだ。芳野はそこまでは知らなかったが、既に決めていた、一ノ峰まで行って引き返す方針は、変えなかった。
「下ノ社に着きましたよ。」と振り返って、後ろの二人に声をかけた。二人はにっこりと笑顔になったように見えた。
「ようやく、着きましたのね。」と姉が息の上がった声で辛うじて言葉を発すると、そこまでは息の上がっていない妹が「こちらをご参拝されれば、残りは二峰でございます。」と応じた。
暫く上ると、参道の左側に大小の石造りの鳥居や赤い鳥居、祠が密集するところが出現し、その先に『三ノ峰 下ノ社』と書かれた扁額がかかる社が現れた。大小の祠は『お塚』と呼ばれるものだろう。反対側には茶店があった。社の入り口には『下社神蹟』と書かれた立札が立っており、そこを読むと、「下社神蹟とは稲荷山の七神蹟の一つで白菊大神と称えられている。」と書かれている。となると、下社も入れて神蹟は七つあり、そのうち三つが三ヶ峰にある上・中・下の社、その他に四つあるということかと芳野は解釈した。この三ノ峰の次は間ノ峰を通る予定なので、恐らく、そこにも七神蹟の一つがあるのだろう。とすると、一ノ峰を過ぎた先に残り三つの神蹟があるということだ。しかし、一ノ峰の先は谷に降ったあとの上り返しがある。
『七神蹟』という言葉を見た途端、七つすべてを回ってみたいという欲求に駆られたものの、やはり、彼女等二人を見ると、今回は三ヶ峰だけでやめておこうと思った。三つ辻までで既に息が切れていた二人であるから、七神蹟全てを巡るのは酷だろう。
ちなみに、実際のところ、七神蹟のうち六つまでは三ヶ峰を巡る途上に存在するが、残り一つだけ、荒神峰にあるので、全て巡るには四つ辻で一旦、荒神峰に向かわないといけない。また、七神蹟が確立されたのは明治時代とのことで、稲荷社創建時からあったわけではなく、比較的新しい時代に設定されたものだ。芳野はそこまでは知らなかったが、既に決めていた、一ノ峰まで行って引き返す方針は、変えなかった。
「下ノ社に着きましたよ。」と振り返って、後ろの二人に声をかけた。二人はにっこりと笑顔になったように見えた。
「ようやく、着きましたのね。」と姉が息の上がった声で辛うじて言葉を発すると、そこまでは息の上がっていない妹が「こちらをご参拝されれば、残りは二峰でございます。」と応じた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる