天孫降臨

斐川 帙

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一、愛宕山の白い猫

仕事の合間に抜け出して近くの愛宕神社で仕事をサボって息抜きしていること (1)

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 今度の仕事は港区虎ノ門にある古いオフィスビルが職場になる。このビル、相当、古そうで、トイレが和式なのには、驚いた。
 まあ、この古いビルの最上階に、とりあえず余っていた机と椅子を持ち込んで、急遽、作業場にしたのが、今回の職場だ。机は、倉庫の奥で埃を被っていたような何の飾り気もないプレーンな会議用の机で、椅子は、キャスターがついてなくて、背もたれも硬い、実に座りにくい代物だ。一時間も座ってると、立ち上がったときに腿に血が通ってなくて足が痛い。いや、実に、粗雑な扱いを受けていると実感する。しかし、仕事をもらった以上、契約期間内は、一所懸命働いている姿を演じなければならない。そして、それなりの成果も挙げないといけない。ああ、しかし、それなりの成果を挙げるのは実に難しいのだ、今回のプロジェクトは。どうしたらいいのだろう。ストレス、たまりまくり。周りのやつらを意味もなくぶん殴り飛ばしたくなるくらい、ストレスだ。だから、頻繁に作業場を抜け出して、仕事をサボる。そうでもしないと、やってけないんだ。
 で、この職場の近くに、NHK放送博物館というのがあると知り、訪れてみた。愛宕山と呼ばれる小山の頂にある。
 そこには、昭和初期のころのラジオや最初期のテレビ受像機などが展示してあり、大東亜戦争開戦の録音テープ、玉音放送などが聞けたりする。対米戦争開戦の大本営発表には、正直、身が引き締まる思いがした。この後、日本人は国を挙げて、勝ち目のない戦を歯を食いしばって戦い抜くことになるのだ。大和の水上特攻や硫黄島の攻防戦など、体験談を読むと、本当に当時の兵隊はよくやったなと思う。あきれるくらいの悲惨な戦いだ。国内各地の空襲、満州や朝鮮からの引き上げなど、悲惨極まりない。そんな、いろんな話を読んだりしていたので、この開戦の放送には、特別な感情を引き起こされる。実際に体験したわけでないのに。
 この放送博物館の向かいには、木々が茂り愛宕山に山の情景を残している一角がある。この緑の中には神社が鎮座しており、愛宕神社と呼ばれてるんだけど、慶長八年に江戸の火伏せの神として建立されたらしい。京都の愛宕山にある愛宕神社の方がはるかに古いのだけど、どちらが本社かということはないことにしたそうだ。東照神君家康公がそう決めたらしい。
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