天孫降臨

斐川 帙

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三、稲佐の浜

吉備の中山を散策中、環状石籬の中央で、白玉姫が精を受ける事 (2)

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 ホームに入ってきたのは気動車一両の列車だ。
 最初は住宅地だったが、すぐに水田が広がる中を単線の気動車が疾走するという状況になった。吉備一宮駅から吉備津彦神社は歩いてすぐだ。
 この神社の造りは尾張造りだそうである。明治に神明造りになるまでの熱田神宮の造りと同じだ。なぜ、遠く尾張の神社の造りと同じにしたのか、理由はわからないが、江戸時代に岡山藩主池田某が造営したそうである。そう言えば、岡山藩主の池田家と鳥取藩主の池田家とは親戚だったそうで、一度、相互に藩を入れ替えたそうだ。
 参拝を済ますと、駅に戻って岡山に帰ろうとした。吉備の中山のことはすっかり忘れていたのだ。
「ちょっと、待って。こっち、こっち。」と白玉比売が呼び止めた。彼女は神社の左側に回って裏山へ向かった。遊歩道があるみたいだ。案内板があった。
「この道を上るの。」
 そう言って、すたすたと山道を登っていく。道は上り坂だったが、それほど急傾斜ではない。ゆるやかにだらだらと上り続けるといった感じだ。
 それでも上り始めて二十分くらいで肩で息をするようになってしまった。汗もかき始めた。しかし、白玉比売は平気なようである。依然として歩く速度が衰えない。
 疲れたので、彼女に一声かけて休む事にした。とは言っても、周りは深い雑木林、休憩所みたいな施設はないし、ベンチさえ、見あたらない。めぼしい切り株を見つけて座ろうとしたが、じめじめと苔むしていて、ちょっと、腰を下ろせなかった。仕方ないので、立ったまま、休んだ。リュックから水を取り出して、一口飲んだ。白玉比売は、水を断った。顔色一つ変えていないのは驚きだった。
 再び、歩き始めた。もう十分ほど歩いただろうか、巨大な岩が円形に並べられているところに出た。一目で人工的に集められて並べられたと言う事がわかる巨石群だ。立て札があって、環状石籬かんじょうせきりとか書いてあった。きっと、古代の祭祀跡に違いない。ここで天に向かって祈りを捧げたのだろう。
 突然、白玉比売が、巨石の輪の中央に立ち、天に向かって、両手を掲げて、なにやら、ぶつぶつと言葉を呟き始めた。すると、天が暗くなり、蜘蛛の巣状に亀裂が走り、その中心から、光の糸が垂れてきた。何事が起こっているかと見ていると、白玉比売は、その糸を両手に受け、頭から浴びた。光の糸は頭から四方にだらりと流れ落ちて、彼女の体内にしみ込んでいった。そして、彼女は、俺の手を取り、優しく抱きしめた。さらさらと手の感触が俺の皮膚の上を這っていくのが感じられた。強い欲情が体内を突き上げ、我慢するのがつらくなった。彼女は俺を裸にし、(彼女は既に全裸だ)、そして、立ったまま、交合した。強烈な快感が全身を貫き通るのを感じた。目の前がまっしろになった。そして、脱力した。
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