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4 森に落ちて
第22話 デイミオン卿、演技する
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悪党稼業も楽じゃない。男はつねづね、そう思っていた。
国境沿いに実入りのいい仕事は少ない。自然と、後ろ暗い仕事が増えるが、男女のカップルというのはめずらしい拾い物だった。
仕事仲間にはジェムと呼ばれていたその男が、取りまきを連れて現れたのは、昼も近くのことだった。彼が牢の中をのぞくと、囚われの男は反抗的な目で見てきた。少女のほうは、男にもたれかかるようにして、胸元に手を当てている。ジェムは小さく毒づいた。いちゃつきやがって。
デイミオンのほうもジェムを観察している。竜族の年齢は測りがたいが、自分より多少若い程度だろう。派手な装飾は自己顕示欲のあらわれと見た。廃城をねぐらにする犯罪者集団のようで、とすればこのあたりに土地勘があるのだろう。リアナの話からすると、仲間内で女には甘いと認識されているらしい。もっとも、貴族ではない一般の竜族にとって女性は希少だから、それ自体はとりたてて珍しいとも言えないけれど。
「よう、お目覚めかい、色男さんよ」
ジェムの声には、男同士にだけ通じる侮蔑がにじんでいた。ともあれ、いまのデイミオンにとっては、どんなものであれ会話は歓迎するところだ。
「縛めをはずせ」いらだったように言う。「こんなところに閉じこめて、私たちをどうするつもりだ?」
「さあてねえ。まだ決めちゃいないよ。売るか、バラすか。どうせあんたにゃどうにもできまい」
デイミオンは緊張に身を固くする。
「護衛のものがすぐにここを探し当てるぞ。罪の軽いうちに我々を解放するほうが得策だ」
ジェムが鼻で笑った。「これはなんとも、ご高説ありがたく頂戴つかまつる」
「馬鹿にしおって、盗賊ふぜいが……!」
二人の会話をデイミオンの胸の中で聞いているリアナは、不思議そうに彼の顔を見上げた。好き好んでこんな体勢になっているわけではなく、単に朝から〈呼ばい〉の特訓中というだけだった。
(言っていることと……思っていることが、違う?)
声に出ているデイミオンの感情は、怒りと、怒りで押し隠そうとしている恐怖だ。だが、胸の上に置いた手から伝わってくる感情にはまったく乱れはない。ゲームでもしているような、めまぐるしくも淡々とした計算だけが、そこにはある。
(……わざとやってるんだ。こちらの手の内を見せているふりをして……)
「世間知らずの竜族のお坊っちゃんに、人間の女か」ジェムはからかう調子だ。
「駆け落ちたあ、情熱的なこったな」
「なんだと……!」
(か、駆け落ち!!?)
まったく思いがけない言葉に、リアナはあやうく叫びそうになった。が、デイミオンが気配で強くとどめたのがわかり、なんとか口をおさえる。
「人聞きの悪いことを言うな。私と彼女は駆け落ち者などではない!」
「ほう。……じゃなんだってあんな不便な森の奥にいたんだ? あんたがたのお好きな野掛けってやつかい? 『お嬢さま、従者のいないところで、もっと楽しみませんか?』なんつって、そっちのほうがよほど卑猥か、ハハ」
「彼女の前で汚い口をきくな!」
「ハハッ、こりゃあ失敬。お貴族の坊ちゃんには刺激が強すぎましたかねぇ」
むきになって否定するのが、よけいに面白がられているらしい。
なんということだ。
この男が昨日、『おきれいな顔に騙されて』と言った意味が、ようやくリアナにもわかってきた。
自分とデイミオンは――なんと、カップルだと誤解されているのだ。
「……なぜ私が貴族とわかる」しぶしぶと言った調子でデイミオンが尋ねた。ジェムは腹を二つに折って笑う勢いだった。
「ハッハハ、そりゃねぇよ坊ちゃん。世間知らずってほんと、怖いわぁ」
盗賊の頭は牢内に入ってきたかと思うと、ニヤニヤとデイミオンを見回した。
「……あんたの剣は城内鋳造のもんだった。服もブーツも上等品。その紺地に銀の長衣にゃ見覚えがあるぜ。あんた、さだめし竜騎手さまってとこだろう? 銀の匙くわえて生まれてきたのがわかるアホ面だもんな。……それなのに」
今度はリアナに向きなおる。「嬢ちゃんの服はまるきり村娘のなりだ。きれいな顔だが、お貴族さまって感じじゃねぇ。竜族の女なら、平民だろうが子どもができりゃ結婚できるだろ? そうできねぇってことは、この娘は人間ってこった」
デイミオンは悔しげにそっぽを向いた。彼の演技があまりにうまいので、リアナは目を丸くしてしまう。が、ジェムには違うように見えたらしい。
「駆け落ちなんてよしときな、あんたらみたいに世間を知らないんじゃ、どのみちうまく行きっこねぇよ」
「……おまえの知ったことではない」
「わたくしめの知ったことですよ」ジェムはいきなり、デイミオンの脇腹を蹴った。「あんたらの処遇を決めるのは俺なんだからよ」
「やめて、蹴らないで!」
あれほどの高さから落ちて、間違いなく骨を折っているデイミオンを、これ以上ケガさせたくない。リアナは必死で盗賊の脚を抱えこんだが、軽く振り払われてしまった。
「ほれ、お嬢ちゃんのほうがよっぽど素直だよ」
「彼女に触れるな!」
貴公子が吠え、ならず者の男が笑う。目の前で展開される寸劇に、リアナは床に座り込んだまま、ぼうぜんとそれを見あげるしかない。
「……さあ、お望み通り、あんたらの処遇を決めなきゃな。名前を名乗りな、色男さん。安心しろよ、お貴族さまにはいろんな使い道があるんだ。悪いようにはしないから」
デイミオンは一瞬、悔しそうな顔をしたが、しばらくして観念したように名乗った。
「……父はメスメラン家の当主だ。私は長子のダリオン卿」
よくもまあ、そんな嘘八百を、すらすらと。リアナは目をまばたくばかりだ。不承不承のふりをしているが、さっきから相手の自尊心をうまくくすぐって言いたいことを言わせている。
(だ、大丈夫なの、そんな適当なこと言って)
心配になるが、ジェムは信じたらしい。機嫌のよさそうな顔で、後をついてきた仲間に命じた。
「ばらして売れ。お坊っちゃんは家に連絡をつけろ。女のほうは、そうさな、ゲルダのとこなら高く買ってくれそうだ。まずまずの上玉だしな」
それを聞いて、デイミオンが焦った(ふりをした)。
「待て!」
必死の形相で、不自由な姿勢のまま立ち上がろうとする。「やめろ」
「おや。なんぞご不満でも? ダリオン卿」
一瞬の、効果的な間。そして突然の告白。
「――腹に私の子がいる」
背後に控える男たちの一人が、ヒュウッと冷やかしの口笛を鳴らした。
「やるじゃん、色男」ジェムも面白そうな顔だ。
このころには、リアナにも少しずつデイミオンの演技の意図がわかりかけてきた。
(取引がしたいんだ)
そして、目の前のならず者が、その取引に乗ると思っているのだ。
「で、なにをやめろって?」
「妻の売買をだ」
「俺たちになんの利益が?」
「……。……金になる」
「へーえ?」ジェムは冷笑を浮かべた。
「――聞け。
父はこの結婚に猛反対して、表向き私を勘当するなどと言っているが、父母にほかに子はいない。母はメスメランの跡継ぎに喜んで金を払うだろう。
ゲルダだかなんだか知らんが、村娘に女衒がいくら金を払う? 我が身より大切な妻子だ。おまえの言い値で払おう」
デイミオンが言いつのった。
「誰だって跡継ぎは大事だよな。わかるよ。竜族にはなかなか子どもが生まれない」
男の笑みが深くなった。「俺たちにとってもだ。なぁ?」
その声に、なにか不吉なものを感じた。が、そのあとに続いたことはリアナの予想を超えていた。
「ネル、ロブ。女を抑えてろ」
ジェムが命じ、リアナはデイミオンから引きはがされた。
(すごく嫌な感じがする)
「待って、やめて……」
リアナが言い終わるよりも早く、暴行がはじまった。
真っ先にはじめたのはジェムで、長靴の先で思いっきり蹴り上げる。デイミオンはよろめくが、両手を上に拘束されて、逃げることもかばうこともできない。無防備な胴が真っ先に狙われ、身をひねろうとすると太ももを踏まれる。壁に叩きつけられ、跳ね返り、喉もとをつかまれ、振りまわされ、顔を殴られる。……
いま口を開いたら、悲鳴だけではなく、彼の名前を呼んでしまう。リアナは必死で口を押さえた。
(抑えなきゃ……!)
デイミオンは男を相手に演技をしていた。なにか考えがあるはずだ。こうやって暴行を受けるのも、計算の上かもしれないのだ。自分が余計なことをすれば、それが全部台なしになってしまうかもしれない……。
そう頭ではわかっていたが、目の前で苦しむ青年をただ見ているだけというのがあまりにも苦しかった。自分の肩と腕を抑える男たちを振りはらい、なんでもいいから手あたりしだいにつかんで投げつけ、目の前のすべてをやめさせたいという欲求は、抑えがたいほど強くなる。
国境沿いに実入りのいい仕事は少ない。自然と、後ろ暗い仕事が増えるが、男女のカップルというのはめずらしい拾い物だった。
仕事仲間にはジェムと呼ばれていたその男が、取りまきを連れて現れたのは、昼も近くのことだった。彼が牢の中をのぞくと、囚われの男は反抗的な目で見てきた。少女のほうは、男にもたれかかるようにして、胸元に手を当てている。ジェムは小さく毒づいた。いちゃつきやがって。
デイミオンのほうもジェムを観察している。竜族の年齢は測りがたいが、自分より多少若い程度だろう。派手な装飾は自己顕示欲のあらわれと見た。廃城をねぐらにする犯罪者集団のようで、とすればこのあたりに土地勘があるのだろう。リアナの話からすると、仲間内で女には甘いと認識されているらしい。もっとも、貴族ではない一般の竜族にとって女性は希少だから、それ自体はとりたてて珍しいとも言えないけれど。
「よう、お目覚めかい、色男さんよ」
ジェムの声には、男同士にだけ通じる侮蔑がにじんでいた。ともあれ、いまのデイミオンにとっては、どんなものであれ会話は歓迎するところだ。
「縛めをはずせ」いらだったように言う。「こんなところに閉じこめて、私たちをどうするつもりだ?」
「さあてねえ。まだ決めちゃいないよ。売るか、バラすか。どうせあんたにゃどうにもできまい」
デイミオンは緊張に身を固くする。
「護衛のものがすぐにここを探し当てるぞ。罪の軽いうちに我々を解放するほうが得策だ」
ジェムが鼻で笑った。「これはなんとも、ご高説ありがたく頂戴つかまつる」
「馬鹿にしおって、盗賊ふぜいが……!」
二人の会話をデイミオンの胸の中で聞いているリアナは、不思議そうに彼の顔を見上げた。好き好んでこんな体勢になっているわけではなく、単に朝から〈呼ばい〉の特訓中というだけだった。
(言っていることと……思っていることが、違う?)
声に出ているデイミオンの感情は、怒りと、怒りで押し隠そうとしている恐怖だ。だが、胸の上に置いた手から伝わってくる感情にはまったく乱れはない。ゲームでもしているような、めまぐるしくも淡々とした計算だけが、そこにはある。
(……わざとやってるんだ。こちらの手の内を見せているふりをして……)
「世間知らずの竜族のお坊っちゃんに、人間の女か」ジェムはからかう調子だ。
「駆け落ちたあ、情熱的なこったな」
「なんだと……!」
(か、駆け落ち!!?)
まったく思いがけない言葉に、リアナはあやうく叫びそうになった。が、デイミオンが気配で強くとどめたのがわかり、なんとか口をおさえる。
「人聞きの悪いことを言うな。私と彼女は駆け落ち者などではない!」
「ほう。……じゃなんだってあんな不便な森の奥にいたんだ? あんたがたのお好きな野掛けってやつかい? 『お嬢さま、従者のいないところで、もっと楽しみませんか?』なんつって、そっちのほうがよほど卑猥か、ハハ」
「彼女の前で汚い口をきくな!」
「ハハッ、こりゃあ失敬。お貴族の坊ちゃんには刺激が強すぎましたかねぇ」
むきになって否定するのが、よけいに面白がられているらしい。
なんということだ。
この男が昨日、『おきれいな顔に騙されて』と言った意味が、ようやくリアナにもわかってきた。
自分とデイミオンは――なんと、カップルだと誤解されているのだ。
「……なぜ私が貴族とわかる」しぶしぶと言った調子でデイミオンが尋ねた。ジェムは腹を二つに折って笑う勢いだった。
「ハッハハ、そりゃねぇよ坊ちゃん。世間知らずってほんと、怖いわぁ」
盗賊の頭は牢内に入ってきたかと思うと、ニヤニヤとデイミオンを見回した。
「……あんたの剣は城内鋳造のもんだった。服もブーツも上等品。その紺地に銀の長衣にゃ見覚えがあるぜ。あんた、さだめし竜騎手さまってとこだろう? 銀の匙くわえて生まれてきたのがわかるアホ面だもんな。……それなのに」
今度はリアナに向きなおる。「嬢ちゃんの服はまるきり村娘のなりだ。きれいな顔だが、お貴族さまって感じじゃねぇ。竜族の女なら、平民だろうが子どもができりゃ結婚できるだろ? そうできねぇってことは、この娘は人間ってこった」
デイミオンは悔しげにそっぽを向いた。彼の演技があまりにうまいので、リアナは目を丸くしてしまう。が、ジェムには違うように見えたらしい。
「駆け落ちなんてよしときな、あんたらみたいに世間を知らないんじゃ、どのみちうまく行きっこねぇよ」
「……おまえの知ったことではない」
「わたくしめの知ったことですよ」ジェムはいきなり、デイミオンの脇腹を蹴った。「あんたらの処遇を決めるのは俺なんだからよ」
「やめて、蹴らないで!」
あれほどの高さから落ちて、間違いなく骨を折っているデイミオンを、これ以上ケガさせたくない。リアナは必死で盗賊の脚を抱えこんだが、軽く振り払われてしまった。
「ほれ、お嬢ちゃんのほうがよっぽど素直だよ」
「彼女に触れるな!」
貴公子が吠え、ならず者の男が笑う。目の前で展開される寸劇に、リアナは床に座り込んだまま、ぼうぜんとそれを見あげるしかない。
「……さあ、お望み通り、あんたらの処遇を決めなきゃな。名前を名乗りな、色男さん。安心しろよ、お貴族さまにはいろんな使い道があるんだ。悪いようにはしないから」
デイミオンは一瞬、悔しそうな顔をしたが、しばらくして観念したように名乗った。
「……父はメスメラン家の当主だ。私は長子のダリオン卿」
よくもまあ、そんな嘘八百を、すらすらと。リアナは目をまばたくばかりだ。不承不承のふりをしているが、さっきから相手の自尊心をうまくくすぐって言いたいことを言わせている。
(だ、大丈夫なの、そんな適当なこと言って)
心配になるが、ジェムは信じたらしい。機嫌のよさそうな顔で、後をついてきた仲間に命じた。
「ばらして売れ。お坊っちゃんは家に連絡をつけろ。女のほうは、そうさな、ゲルダのとこなら高く買ってくれそうだ。まずまずの上玉だしな」
それを聞いて、デイミオンが焦った(ふりをした)。
「待て!」
必死の形相で、不自由な姿勢のまま立ち上がろうとする。「やめろ」
「おや。なんぞご不満でも? ダリオン卿」
一瞬の、効果的な間。そして突然の告白。
「――腹に私の子がいる」
背後に控える男たちの一人が、ヒュウッと冷やかしの口笛を鳴らした。
「やるじゃん、色男」ジェムも面白そうな顔だ。
このころには、リアナにも少しずつデイミオンの演技の意図がわかりかけてきた。
(取引がしたいんだ)
そして、目の前のならず者が、その取引に乗ると思っているのだ。
「で、なにをやめろって?」
「妻の売買をだ」
「俺たちになんの利益が?」
「……。……金になる」
「へーえ?」ジェムは冷笑を浮かべた。
「――聞け。
父はこの結婚に猛反対して、表向き私を勘当するなどと言っているが、父母にほかに子はいない。母はメスメランの跡継ぎに喜んで金を払うだろう。
ゲルダだかなんだか知らんが、村娘に女衒がいくら金を払う? 我が身より大切な妻子だ。おまえの言い値で払おう」
デイミオンが言いつのった。
「誰だって跡継ぎは大事だよな。わかるよ。竜族にはなかなか子どもが生まれない」
男の笑みが深くなった。「俺たちにとってもだ。なぁ?」
その声に、なにか不吉なものを感じた。が、そのあとに続いたことはリアナの予想を超えていた。
「ネル、ロブ。女を抑えてろ」
ジェムが命じ、リアナはデイミオンから引きはがされた。
(すごく嫌な感じがする)
「待って、やめて……」
リアナが言い終わるよりも早く、暴行がはじまった。
真っ先にはじめたのはジェムで、長靴の先で思いっきり蹴り上げる。デイミオンはよろめくが、両手を上に拘束されて、逃げることもかばうこともできない。無防備な胴が真っ先に狙われ、身をひねろうとすると太ももを踏まれる。壁に叩きつけられ、跳ね返り、喉もとをつかまれ、振りまわされ、顔を殴られる。……
いま口を開いたら、悲鳴だけではなく、彼の名前を呼んでしまう。リアナは必死で口を押さえた。
(抑えなきゃ……!)
デイミオンは男を相手に演技をしていた。なにか考えがあるはずだ。こうやって暴行を受けるのも、計算の上かもしれないのだ。自分が余計なことをすれば、それが全部台なしになってしまうかもしれない……。
そう頭ではわかっていたが、目の前で苦しむ青年をただ見ているだけというのがあまりにも苦しかった。自分の肩と腕を抑える男たちを振りはらい、なんでもいいから手あたりしだいにつかんで投げつけ、目の前のすべてをやめさせたいという欲求は、抑えがたいほど強くなる。
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