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1 雪と灰のなかの婚姻
オペレーション ⑤
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「エサル卿。たいへんな任務、ご苦労さまでした」
赤い|長衣にも、短い金髪にも泥はねと汚れがあった。彼がみずからの領兵を率いてアエンナガルに乗りこみ、王と王太子の救出に向かったことをグウィナは聞いていた。
エサルはグウィナのねぎらいに答えない。ぎらりと熱を持った目でねめつける。
「メドロート卿が殺された。アエンナガルで、人間とデーグルモールたちが、拷問のすえ卿を殺した」
男の言葉が、稲妻のようにその場を打ち、静まらせた。
「……まさか」グウィナはよろめきかかり、壁に手をついた。「ネッドが、そんな」
土地に豊穣をもたらすために領地から領地へと移動する白竜公の姿は、もう百年以上も変わらぬオンブリアの豊かさの象徴だった。行方不明と聞いて心配していたが、まだ数日しか経っていない。それが、まさか……。
「信じられません」
「本当だ」エサルは陰鬱に言った。「継承権は甥のナイル卿に移った。北部領主として、自動的に次の五公になる」
「……なんてこと……」かろうじて、それだけを口にした。
エンガスは、すでに聞かされていたのか、沈痛な面持ちで黙っていた。
「もはや一刻の猶予もならん。アエンナガルから逃走したデーグルモールたちを、一人残らずうち滅ぼすべきだ」
「エサル卿……」
グウィナはあぜんとして、すぐには返答もできなかった。「いまは、それどころでは……。デイミオンが回復するのを待って、陛下とわれわれ五公とで決めることでしょう」
「あるいは、継承者のヒュダリオン卿とな」エサルが暗くつぶやいた。
「拙速な行動はお慎みになって」エサルの意図が彼女を動揺させることだったにせよ、グウィナも五公の一人で、黒竜の主人だ。デイミオン同様、怒りと恐怖をコントロールする重要性は誰よりも知っている。
だが、エサルはそうではなかった。目に見えて激昂していて、拳を壁に叩きつける勢いだった。あるいは、これも意図してのものかもしれないが。
「白の竜騎手たちの長、北の種守を、卑しい人間と半死者たちが拷問のすえ、殺したのだぞ。あなたの甥にこれほどの重傷を負わせたのも、デーグルモールだろう」
「そうだとしても、この場にいるわれわれだけで決定できるものではありませんわ。リアナ陛下は……」
「そうだった」エサルは剣呑な笑みを浮かべた。「まずは、陛下の状態を確認せねばな」
「エサル卿。まだそうと断じられるものではない」エンガスが返す。
「いいや。間違いない。リアナ陛下は、デーグルモールだ。――立って歩く死、忌むべき半死者、われわれの宿敵だ」
グウィナは今度こそ声を失った。
赤い|長衣にも、短い金髪にも泥はねと汚れがあった。彼がみずからの領兵を率いてアエンナガルに乗りこみ、王と王太子の救出に向かったことをグウィナは聞いていた。
エサルはグウィナのねぎらいに答えない。ぎらりと熱を持った目でねめつける。
「メドロート卿が殺された。アエンナガルで、人間とデーグルモールたちが、拷問のすえ卿を殺した」
男の言葉が、稲妻のようにその場を打ち、静まらせた。
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土地に豊穣をもたらすために領地から領地へと移動する白竜公の姿は、もう百年以上も変わらぬオンブリアの豊かさの象徴だった。行方不明と聞いて心配していたが、まだ数日しか経っていない。それが、まさか……。
「信じられません」
「本当だ」エサルは陰鬱に言った。「継承権は甥のナイル卿に移った。北部領主として、自動的に次の五公になる」
「……なんてこと……」かろうじて、それだけを口にした。
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「もはや一刻の猶予もならん。アエンナガルから逃走したデーグルモールたちを、一人残らずうち滅ぼすべきだ」
「エサル卿……」
グウィナはあぜんとして、すぐには返答もできなかった。「いまは、それどころでは……。デイミオンが回復するのを待って、陛下とわれわれ五公とで決めることでしょう」
「あるいは、継承者のヒュダリオン卿とな」エサルが暗くつぶやいた。
「拙速な行動はお慎みになって」エサルの意図が彼女を動揺させることだったにせよ、グウィナも五公の一人で、黒竜の主人だ。デイミオン同様、怒りと恐怖をコントロールする重要性は誰よりも知っている。
だが、エサルはそうではなかった。目に見えて激昂していて、拳を壁に叩きつける勢いだった。あるいは、これも意図してのものかもしれないが。
「白の竜騎手たちの長、北の種守を、卑しい人間と半死者たちが拷問のすえ、殺したのだぞ。あなたの甥にこれほどの重傷を負わせたのも、デーグルモールだろう」
「そうだとしても、この場にいるわれわれだけで決定できるものではありませんわ。リアナ陛下は……」
「そうだった」エサルは剣呑な笑みを浮かべた。「まずは、陛下の状態を確認せねばな」
「エサル卿。まだそうと断じられるものではない」エンガスが返す。
「いいや。間違いない。リアナ陛下は、デーグルモールだ。――立って歩く死、忌むべき半死者、われわれの宿敵だ」
グウィナは今度こそ声を失った。
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