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第3章 白亜の大神殿
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ティナは神殿裏に配置された、神官たちの居住用の棟の応接室らしき部屋に通された。どうやら簡単な会議室としても使われているようで、十名程度が囲める円卓が置かれている。さすがにクロミア王国で最も盛んな宗教の総本山らしく、建物も調度もどこを取ってもかなり豪華だ。
室内は午後の日差しに明るく照らされ、清潔な白の調度品は輝くかのようだ。
「こちらでしばらくお待ちください」と言って若い神官は部屋を出ていった。
彼女は円卓に背負っていた剣を置き、まるで借りてきた猫のように椅子に座り、手持ち無沙汰に室内を見回した。やはり意地を張らずに、ウィルフレッドについてきて貰えばよかったかもしれない。美しい白い調度品に囲まれ、彼女は緊張に強張っていた。
やがて先ほどの若い神官がもう一人の人物を伴って応接室に戻ってきた。彼女は椅子から立ち上がり、新たな人物へと視線を注ぐ。
特徴的な尖った耳、白銀色の長い髪を背に垂らした人物。彼女は思わずその人物をまじまじと眺めてしまった。
その相手はそうしてまじまじと見つめられることには慣れていた。エルフ自体その街では珍しいし、神殿の信者獲得のための営業で、彼自身が偶像のように扱われていたからだ。
彼は微笑んで、
「エルフを見るのは初めてかな?」と言いかけたが、
「ソリス」と少女は呟いた。
彼は思わず面食らって少女を見つめ返した。
「どうして……」と言いかけた時に、慌てて彼女は、
「ご、ごめんなさい!」と声を上げた。「その、あの、ええと、人違い? へ、変なこと言ってごめんなさい!」
慌てふためく少女を尻目に、大神官は静かに秘書官に告げた。
「しばらく二人にしてくれ」
二人きりになると、ティナは余計に緊張し始めた。大神官は静かに彼女を見つめている。やがて彼が静かに口を切った。
「私は大神官のキース・マジョラムだ」
その言葉に不審でも感じたのか、少女はきょとんした表情で彼を見つめ返した。まあ、多少不躾な表情と言えたが、そのくらいで怒るようでは大神官は務まらない。彼は気長にその視線を許した。
「あの、エルフっぽい名前じゃないですね?」
少女の言葉に彼は思わず小さく笑った。
「まあね。楽にしてくれていいよ。私も堅苦しいのは苦手だ」と言って彼は椅子を示した。「とりあえず座ろう。ええと、君の名は?」
「あ、えっと、ティナと言います」
「ティナか。じゃあ、ティナ、今、君は私を何て呼んだ?」
「いえ、その、何でもありません」
穏やかに尋ねているというのに、少女は妙に緊張している。おそらくはなかなか口を開かないだろう。彼は諦めて麻布に包まれたものを示した。とりあえずのところは、緊張を解すところから始めた方がよさそうだ。
「シモンズ伯の相談のブツはそれかな?」
「はい」頷いて彼女は麻布を解き始めた。「音がしたり、光ったり、おそらく魔法の剣です。あたししか、持ち上げることが出来ないんです」
麻布の影から現れたのは巨大な両手持ちの剣だ。大の男でさえも両手で余るほどの長い柄、無骨な広い刃。刃の半分以上は偽装なのだろう、古い錆色の羊皮紙が巻き付けられている。全体の長さは小柄な少女の身長と同じか、あるいは少し長い。どう見積もってもとんでもない重さの剣だろう。
「君は随分と力持ちだなあ?」と呑気に感想を述べた。
「魔法の剣です」と彼女はもう一度繰り返した。
室内は午後の日差しに明るく照らされ、清潔な白の調度品は輝くかのようだ。
「こちらでしばらくお待ちください」と言って若い神官は部屋を出ていった。
彼女は円卓に背負っていた剣を置き、まるで借りてきた猫のように椅子に座り、手持ち無沙汰に室内を見回した。やはり意地を張らずに、ウィルフレッドについてきて貰えばよかったかもしれない。美しい白い調度品に囲まれ、彼女は緊張に強張っていた。
やがて先ほどの若い神官がもう一人の人物を伴って応接室に戻ってきた。彼女は椅子から立ち上がり、新たな人物へと視線を注ぐ。
特徴的な尖った耳、白銀色の長い髪を背に垂らした人物。彼女は思わずその人物をまじまじと眺めてしまった。
その相手はそうしてまじまじと見つめられることには慣れていた。エルフ自体その街では珍しいし、神殿の信者獲得のための営業で、彼自身が偶像のように扱われていたからだ。
彼は微笑んで、
「エルフを見るのは初めてかな?」と言いかけたが、
「ソリス」と少女は呟いた。
彼は思わず面食らって少女を見つめ返した。
「どうして……」と言いかけた時に、慌てて彼女は、
「ご、ごめんなさい!」と声を上げた。「その、あの、ええと、人違い? へ、変なこと言ってごめんなさい!」
慌てふためく少女を尻目に、大神官は静かに秘書官に告げた。
「しばらく二人にしてくれ」
二人きりになると、ティナは余計に緊張し始めた。大神官は静かに彼女を見つめている。やがて彼が静かに口を切った。
「私は大神官のキース・マジョラムだ」
その言葉に不審でも感じたのか、少女はきょとんした表情で彼を見つめ返した。まあ、多少不躾な表情と言えたが、そのくらいで怒るようでは大神官は務まらない。彼は気長にその視線を許した。
「あの、エルフっぽい名前じゃないですね?」
少女の言葉に彼は思わず小さく笑った。
「まあね。楽にしてくれていいよ。私も堅苦しいのは苦手だ」と言って彼は椅子を示した。「とりあえず座ろう。ええと、君の名は?」
「あ、えっと、ティナと言います」
「ティナか。じゃあ、ティナ、今、君は私を何て呼んだ?」
「いえ、その、何でもありません」
穏やかに尋ねているというのに、少女は妙に緊張している。おそらくはなかなか口を開かないだろう。彼は諦めて麻布に包まれたものを示した。とりあえずのところは、緊張を解すところから始めた方がよさそうだ。
「シモンズ伯の相談のブツはそれかな?」
「はい」頷いて彼女は麻布を解き始めた。「音がしたり、光ったり、おそらく魔法の剣です。あたししか、持ち上げることが出来ないんです」
麻布の影から現れたのは巨大な両手持ちの剣だ。大の男でさえも両手で余るほどの長い柄、無骨な広い刃。刃の半分以上は偽装なのだろう、古い錆色の羊皮紙が巻き付けられている。全体の長さは小柄な少女の身長と同じか、あるいは少し長い。どう見積もってもとんでもない重さの剣だろう。
「君は随分と力持ちだなあ?」と呑気に感想を述べた。
「魔法の剣です」と彼女はもう一度繰り返した。
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