不運が招く人間兵器の異世界生活

紫苑

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第四章

46 見切りをつける

俺たちも退出したあと、拉致されるようにジオルドの私室に連れ去られた。
乱暴に部屋に入れられるとそのままジオルドは俺を壁に押しつけ、深い激しい口づけをくれたのだった。
しかし、突如身体を離されて、
「スイレン、今日は自室で寝てくれないか?」
「っ!!」
やっぱり抱くの嫌だよな・・・・・・
と思いはするものの、表情に出すことはしなかった。
それなのに、
「あ~~~違う違う!スイが悪いんじゃなくて、今あいつに対して「怒り」でスイを手ひどく抱いてしまいそうで怖いんだ」
と。
表情を隠していたのに、俺が思ったことを的確に理解するジオルド。
こいつは本当に
「俺が好きなんだな~」
とつい言葉にしてつぶやいてしまったのだ。
「??何を当然のことを言っているの?本当ならこれでもかってくらい抱きつぶしたいし、一緒にいたい!だけど、「怒り」で自我を保つほうが辛くてね。だから怒りが昇華されるまで少々時間をくれ。あ、昇華方法は「鍛えてくる」だ!汗をかくと忘れるだろう?」
「ふふ、頑張って。晩御飯はどうする?」
「ん~~~~そっちの館でと言いたいところなんだが、食糧不足だろう?食堂で一緒に食べよう?心が落ち着いたら迎えに行くよ」
「了解!!じゃ、待ってるわ」
ジオルドが開けてくれた部屋から出ると桃季が待ってくれていた。
「どうだ?」
「ああ、ジオルドはいつもカッコいい」
「はは、違いねーな。でも、あっちはお前を裏切ったな」
「もう関係ねーからどうでもいいや」
「はっ!精霊から見放されないといいけどな」
「少しずつ離れているようだけどな」
ちらりとジルフォードの部屋の方を見る。そこには部屋から出てきた精霊たちがフワフワと飛んで何故か「ふんっ!」という表情を作って去っていく。
「あっちは体調がもう良くなることはないだろうな・・・・・」
「ああ、見放された以上呪われていた期間の後遺症が少しずつ出てくるだろうな。だけど、俺にはもう助けてやる義理はサラサラないからな~」
「はっきりしているな~お前も。ま、それだから俺たちの「主」なんだけどな」
俺と会う前からジルフォードは精霊に「愛されし子」だった。しかし、俺と出会って、俺と夫婦になって彼の周りを飛ぶ精霊は増えていった。理由は、「ジルフォードの身体が呪いもなく健全になったから」だ。だが、俺との関わりがなくなることで「健全」から離れることになったため、途中からジルフォードの周りを飛んでいた精霊たちは離れていっているのだ。
早い話「見切りをつけた」のだ。「いつ裏切るかわからない者の傍にいたくない」のだ、精霊だって。
「ま、陛下たちが、ジオルドが助けを求めるなら何とかしようとは考えなくもないけど、頼まないだろうしな」
「それもそうだな。俺たちだってお前を裏切ったあいつに手を貸すのなんてまっぴら御免だね!」
「じゃ、もういいじゃんその話。ジオルドに聞かれたくないし」
「ま、お前がいいならいいよ。館に戻ったら広い方の風呂に入ろうぜ!日本酒持ってさ」
「おっ!いいね!!じゃ、日本から持ってきた缶詰を出すかね~」
「だなだな」
ジオルドが扉で俺たちの会話を聞いていることはわかっていた。俺たちが気配を感じないとでも思っているのだろうか。ジオルドの気配は「怒り」でも「悔しさ」でもなく、「安堵」だったのだ。
俺がもう「未練ない」ことを知れて、ホッとしたのだろう。それならそれでいい。
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