不運が招く人間兵器の異世界生活

紫苑

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第四章

55 愛する我が子へ

「ジルフォード、スイレン団長たちが戻ってきた。彼らは明日、自分たちの世界に戻る」
ガバリと布団の中に隠れていたジルフォードが勢いよく顔を出す。
「父上、俺は・・・・・・」
「あ~、戻るといっても『ジオルドとのリベンジ新婚旅行』にだ」
「えっ?」
「こちらの世界では現在新婚旅行で鱈腹食えるほどの十分な食料が不足している。ならばと、彼らの世界に行くそうだ」
「・・・そうですか。それをなぜ俺に?」
「お前には聞く権利があるだろう?元「夫」として」
「!!!」
「お前の処遇は全王子および王女が揃い次第決定する。王位継承権についてもだ。ただ、お前はもうこの王宮では暮らせないだろう。入婿先を探さねばなるまい」
「・・・・・・・・・・・・・このまま王宮にいることはできないのですか?」
「何を甘えたことを言っている?王太子がオーガストになればキュリアスはもちろんその補佐、ジオルドも王宮に残り兄二人の手が出せない分野で活躍をすることになる。ならば、お前に何ができる?第四騎士団はもうお前の元に戻りはしまい。新たにお前の騎士団を作るか?その力がお前にあるのか?」
「・・・・・・・・・・・・・・っ」
「まだオーガストが王太子とは決まっていない。が、ジルフォードお前がなることは決してない。そして、ジオルドもだ。あやつは兄二人を慕い、兄の力になることが喜びだからな」
「そ、そうですね・・・・・・しかし、兄上が俺をこのまま王宮においてくれるかもしれないではないですか!」
「本当にあの子たちがお前を許すとでも???」
ジルフォードの甘い考えに少々頭が茹る。
「スイレンのしたことはお前にとっては良くないことだったかもしれない。だが!誰があの場で、あの国を救うことができたのか!!『神』と対峙して勝てる者がこの世界にいるとでも思うのか!!キュリアスは、あの凄惨な現場を目に焼き付けた。決して忘れないように、と。オーガストはそんなキュリアスを見て、悔やんでいる。もっと自分に力があったならと。ジオルドは知っている通りだ。各々、何らかの決意ができたようだ。だが、お前はどうだ??スイレンを否定し、殻から出ようとしない。あまつさえ、『兄』の恩情に期待をする!!なんと情けない!!!お前の呪いを解いたのは誰だ!?お前をここまで健康に戻したのは誰だ!!!誰のおかげでお前は『死』から脱した!!今一度考えて、甘い考えを捨てよ!ただ、お前を兄弟が見放さとうも、私もサーシャもお前は私たちのかわいい子にすぎぬ。見放しはしない。お前がまともな回答に辿り着くならばだが・・・・・・・。食事は運ばせる。暫くこの部屋から出ることは許さん。スイレンたちが新婚旅行から戻るまでに、お前の将来を考えよ。以上だ」
「ち、ちう、え・・・・・・・」
ジルフォードの泣き縋る声が後ろから聞こえるが、私はそれを聞かなかったことにし、部屋を出た。あれもすでに30歳手前だ。いつまでも『心が子供』のままでは困るのだ。
ジオルドも心は子供だが、それは親の前、兄の前、小さいころからの幼馴染の前、そしてスイレンの前でだけだ。決して、騎士団や民の前ではその心は出さない。隠す。
呪いのせいで甘やかしすぎたのだろう、もう幾ばくかわからない命だからと甘やかしてしまった。
でも、スイレンが現れる前までは当然で、本当にあと何年生きられるかわからなかったから甘やかした。間違いだったとは言いたくない。私たちのかわいい子供だ。短い人生を歩む子供を甘やかして何が悪い??だが、王子としての自覚を持たせる教育を少しでもしておくべきだったと後悔してもしきれない。
「王子」とはそんなに軽い爵位でも身分でもない。大きな責任が付いて回る大事な地位なのだ。
わがままに育てたわけではないが、責任を覚えさせていなかったとこの後悔だけが残ってしまう。
少しでも良い条件の入婿先を探さねばな。
だが、この歳になるとすでに結婚していたり、婚約者がいたりするのが貴族では当然だ。
残っているのは「キズモノ」か「問題がある女性」のみだろう。

ああ、女性の方に問題があるのではない・・・・・・・・。
「こちら」に問題があるのだった・・・・・・・・・・。
「瑕疵」のついた息子が、条件の良い家に入婿として入ることができるなど、考えてはならないのだ。
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