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第一章
14.騎士団長
「此度は貴殿のおかげで私の大切な家族が助かった。礼を言う」
王は立ち上がり俺に頭を下げたのだ。それに倣い、後ろに控える王子殿下、王女殿下。そして、両側に控えている貴族やお妃様方までただの人間兵器でしかない俺に頭を下げるのだ。
もはやパニック!!
「あ、え、い、あの、たいした事をしたわけではないのですから、お顔をどうかあげてください」
しどろもどろに俺が言葉を口にすると、漸く王が頭をお上げになってくださり、皆もそれに倣ってくれたので、俺は心底ほっとしたわ。
「貴殿が施したことがたいしたことなどないとは、絶対にそれはありえぬ。実際我らができぬことを貴殿が行ってくれた。感謝しかないのだよ」
「そのお気持ちだけで結構です。私ができることをしたまでですから。それにジオルド殿下のお気持ちが痛いほど私に伝わってきました。正直そのお気持ちがなければ私は行動を起こしておりません。感謝はジオルド殿下にお願いいたします」
実際、ジオルドの弟を思う気持ちがなければ俺は解呪をしていない。解呪をしたその先が不透明だからだ。だけど、彼の思いは純粋な愛が多分にあったから助けただけにすぎないのだ。
「そうであったか。ジオルド、お主のその気持ちがジルフォードとサーシャを救ったのだな。よい子を私は持った」
「有り難きお言葉」
陛下とジオルドの表情は心が安らぐくらい穏やかで、そして慈しみに溢れていた。
羨ましい。
俺には家族と呼べる者が一人もいなくて、慈愛など向けられたことすらない。
それに、
「しかし、スイ殿。何度も言うが、貴殿のおかげなのだ。貴殿がこの世界に召喚されていなければ、私はもう少しで愛おしい二人を亡くしていたのだ。何度でも礼を言わせてくれ」
もう堪らなかった。
我慢の限界だった。
目から止めどなく水が溢れ、止めることが難しいほど俺の感情は乱されて。
「スイっ!?」
ジオルドが俺に駆け寄ってきて、抱きしめてくれる。
「どうした?何が悲しいの?何が駄目だった?」
ジオルドの腕の中で俺は頭を横に振る。
「ちが、だ、って、俺、今まで感謝されたことない・・・・・心のこもった感謝なんて一度もないんだよ・・・」
「っ!!スイ、君はいったいどんな生活を強いられていたんだ・・・・・」
聞かれても応えられない。だって、その生活が「当たり前」だっただけで、決して不幸と思ったことはないのだ。だから「強いられた環境」だとは思ってもいなかった。
ジオルドは俺の頭をゆっくりと優しく撫で、
「いつか君のことをゆっくりでいいから教えてくれ」
言葉に出来ない俺は、頷くことしか出来なかった。
ジオルドは胸からチーフを取りだし、俺の目元をそっと拭う。
もう涙は涸れ、水滴だけが残っていたようだ。
「もう、大丈夫・・・・・ごめ・・・んじゃない、ありがとう」
「うん、どういたしまして」
ジオルドはその場から立ち上がり、元の位置に戻っていった。その姿はやはり神々しくて、そして、愛おしくて・・・・・・。
もう、俺の心はたぶん、ジオルドに捕まってしまったんだろうな。
と、一人感慨に耽っていたのに、こそっと「やはりジオルドの妃に相応しいわ!」というお言葉が聞こえて参りましたとも。このお声の主は絶対にジオルドのお母様のサーシャ様だ。
そのお姿を目に留めると、「うふふ☆」とにっこりと笑い、手を振ってくれるが、目が超マジで怖いんですけどぉぉぉぉぉ!!
「ごほん!もうそろそろ話を進めても良いかな?」
「あ、話の腰を折り大変申し訳ございません」
本当に本当に本当に申し訳ないし、人前で泣くなんて恥ずかしいし、つか何年ぶりに泣いた俺?記憶にございません!
「スイ殿、謝らなくて良い。話の続きだが、君に褒美を与えたいのだ。欲しい物は何かないか?何でも良い、金でも地位でも、私が与えられる物に限るが」
「では、私はこの世界に来たばかりで、衣食住全てを持ち合わせていません。ですので、仕事と住む家をいただきたい」
「それには心配は及ばん。ジルフォード」
「はい、陛下」
ジルフォードは手に黒の布を持って俺の前に来て、俺の服のエポーレットにその布を留めたのだ。
「スイレン・フウマ、貴殿に第四騎士団団長の任を与える」
「っ!!ドウイウコトデスカ?」
「俺は一生部屋から出ることが出来ないと思っていたから、専属の騎士団がないのだ。でも、スイのおかげで俺は国のために動くことができる。そのためには俺にも騎士団が必要だ。だから、その団長を君に勤めて貰いたい。ということで、これで職に関しては問題ないな。後は住居だけど・・・」
何故かジルフォードは兄のジオルドを見る。
「とりあえず住むところは何カ所か候補があるから心配はしなくていいよ。私が責任をもってスイの生活を支えるから」
と、何故か夫婦みたいな言い方をジオルドにされました。
だからさ~何でサーシャ様は喜んでんの!?めっちゃ「きゃっ☆」という声聞こえてますからね!!
「スイ殿、君が望んだ物は既にこちらで手配済みなので、他の物で欲しい物はないのか?」
「今は特にありません。不自由なく暮らせることが私の欲しい物です」
こちらの世界に来て、森で生きていこうと思った。俺にとって煩わしい人間に関わらず、動植物たちとだけ関わる生活を望んだ。だけど、愛しい者たちが出来てしまった。この者たちが不自由なく暮らせる世界を作りたい。それだけが本当の望みだ。しかし、俺の考えは陛下にはお見通しで、
「・・・・・・スイ殿の想いはとてつもなく重く、そして、愛おしい。約束をしよう。貴殿も不自由なく暮らせるよう誠心誠意尽くそうと」
「有り難き幸せ」
再び俺は頭を下げる。感謝でまた涙が出てきそうだ。俺こんなに涙脆かったか?
「それに、貴殿にはジオル、お、これはまだ言ってはならなんだな。ま~おいおい話していこう」
陛下、何か気になることをおっしゃられようといたしませんでしたでしょうか?どうか途中でお止めにならないでください!それが一番俺が知りたい内容かもしれないのですから!!
「さて、では、貴殿には我が国の騎士団の団長副団長と一戦を交えて貰う。それで、正式な騎士団長の就任となる」
「御意に」
王は立ち上がり俺に頭を下げたのだ。それに倣い、後ろに控える王子殿下、王女殿下。そして、両側に控えている貴族やお妃様方までただの人間兵器でしかない俺に頭を下げるのだ。
もはやパニック!!
「あ、え、い、あの、たいした事をしたわけではないのですから、お顔をどうかあげてください」
しどろもどろに俺が言葉を口にすると、漸く王が頭をお上げになってくださり、皆もそれに倣ってくれたので、俺は心底ほっとしたわ。
「貴殿が施したことがたいしたことなどないとは、絶対にそれはありえぬ。実際我らができぬことを貴殿が行ってくれた。感謝しかないのだよ」
「そのお気持ちだけで結構です。私ができることをしたまでですから。それにジオルド殿下のお気持ちが痛いほど私に伝わってきました。正直そのお気持ちがなければ私は行動を起こしておりません。感謝はジオルド殿下にお願いいたします」
実際、ジオルドの弟を思う気持ちがなければ俺は解呪をしていない。解呪をしたその先が不透明だからだ。だけど、彼の思いは純粋な愛が多分にあったから助けただけにすぎないのだ。
「そうであったか。ジオルド、お主のその気持ちがジルフォードとサーシャを救ったのだな。よい子を私は持った」
「有り難きお言葉」
陛下とジオルドの表情は心が安らぐくらい穏やかで、そして慈しみに溢れていた。
羨ましい。
俺には家族と呼べる者が一人もいなくて、慈愛など向けられたことすらない。
それに、
「しかし、スイ殿。何度も言うが、貴殿のおかげなのだ。貴殿がこの世界に召喚されていなければ、私はもう少しで愛おしい二人を亡くしていたのだ。何度でも礼を言わせてくれ」
もう堪らなかった。
我慢の限界だった。
目から止めどなく水が溢れ、止めることが難しいほど俺の感情は乱されて。
「スイっ!?」
ジオルドが俺に駆け寄ってきて、抱きしめてくれる。
「どうした?何が悲しいの?何が駄目だった?」
ジオルドの腕の中で俺は頭を横に振る。
「ちが、だ、って、俺、今まで感謝されたことない・・・・・心のこもった感謝なんて一度もないんだよ・・・」
「っ!!スイ、君はいったいどんな生活を強いられていたんだ・・・・・」
聞かれても応えられない。だって、その生活が「当たり前」だっただけで、決して不幸と思ったことはないのだ。だから「強いられた環境」だとは思ってもいなかった。
ジオルドは俺の頭をゆっくりと優しく撫で、
「いつか君のことをゆっくりでいいから教えてくれ」
言葉に出来ない俺は、頷くことしか出来なかった。
ジオルドは胸からチーフを取りだし、俺の目元をそっと拭う。
もう涙は涸れ、水滴だけが残っていたようだ。
「もう、大丈夫・・・・・ごめ・・・んじゃない、ありがとう」
「うん、どういたしまして」
ジオルドはその場から立ち上がり、元の位置に戻っていった。その姿はやはり神々しくて、そして、愛おしくて・・・・・・。
もう、俺の心はたぶん、ジオルドに捕まってしまったんだろうな。
と、一人感慨に耽っていたのに、こそっと「やはりジオルドの妃に相応しいわ!」というお言葉が聞こえて参りましたとも。このお声の主は絶対にジオルドのお母様のサーシャ様だ。
そのお姿を目に留めると、「うふふ☆」とにっこりと笑い、手を振ってくれるが、目が超マジで怖いんですけどぉぉぉぉぉ!!
「ごほん!もうそろそろ話を進めても良いかな?」
「あ、話の腰を折り大変申し訳ございません」
本当に本当に本当に申し訳ないし、人前で泣くなんて恥ずかしいし、つか何年ぶりに泣いた俺?記憶にございません!
「スイ殿、謝らなくて良い。話の続きだが、君に褒美を与えたいのだ。欲しい物は何かないか?何でも良い、金でも地位でも、私が与えられる物に限るが」
「では、私はこの世界に来たばかりで、衣食住全てを持ち合わせていません。ですので、仕事と住む家をいただきたい」
「それには心配は及ばん。ジルフォード」
「はい、陛下」
ジルフォードは手に黒の布を持って俺の前に来て、俺の服のエポーレットにその布を留めたのだ。
「スイレン・フウマ、貴殿に第四騎士団団長の任を与える」
「っ!!ドウイウコトデスカ?」
「俺は一生部屋から出ることが出来ないと思っていたから、専属の騎士団がないのだ。でも、スイのおかげで俺は国のために動くことができる。そのためには俺にも騎士団が必要だ。だから、その団長を君に勤めて貰いたい。ということで、これで職に関しては問題ないな。後は住居だけど・・・」
何故かジルフォードは兄のジオルドを見る。
「とりあえず住むところは何カ所か候補があるから心配はしなくていいよ。私が責任をもってスイの生活を支えるから」
と、何故か夫婦みたいな言い方をジオルドにされました。
だからさ~何でサーシャ様は喜んでんの!?めっちゃ「きゃっ☆」という声聞こえてますからね!!
「スイ殿、君が望んだ物は既にこちらで手配済みなので、他の物で欲しい物はないのか?」
「今は特にありません。不自由なく暮らせることが私の欲しい物です」
こちらの世界に来て、森で生きていこうと思った。俺にとって煩わしい人間に関わらず、動植物たちとだけ関わる生活を望んだ。だけど、愛しい者たちが出来てしまった。この者たちが不自由なく暮らせる世界を作りたい。それだけが本当の望みだ。しかし、俺の考えは陛下にはお見通しで、
「・・・・・・スイ殿の想いはとてつもなく重く、そして、愛おしい。約束をしよう。貴殿も不自由なく暮らせるよう誠心誠意尽くそうと」
「有り難き幸せ」
再び俺は頭を下げる。感謝でまた涙が出てきそうだ。俺こんなに涙脆かったか?
「それに、貴殿にはジオル、お、これはまだ言ってはならなんだな。ま~おいおい話していこう」
陛下、何か気になることをおっしゃられようといたしませんでしたでしょうか?どうか途中でお止めにならないでください!それが一番俺が知りたい内容かもしれないのですから!!
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「御意に」
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