不運が招く人間兵器の異世界生活

紫苑

文字の大きさ
68 / 247
第二章

14.ならず者

「で、ロビーが今ならず者共に制圧されたと?」
俺はジオルドから「着替えてすぐに応接室に来てくれ」と言われたので、上着だけは羽織らず、騎士服に着替えて言われたとおり部屋に向かうとベルボーイがいて、上記の内容だ。
「人数は?」
「わかりません!!!殿下たちは裏口からお逃げください」
「は?騎士が逃げる?ありえないな。さてと!新婚旅行を台無しにしてくれたならず者共に制裁を加えようか」
俺はう~~んと伸びをして、部屋を出る。
「殿下たちはどうする?このままここにいる?それとも俺と行く?」
「行くに決まっているだろう?」
「目を離すと君は何をするかわからないからね」
俺は子供か何かか?
「手は出すなよ?ここで加護を使うと、ホテルの備品や内装が壊れる」
「ああ、わかった。なら、スイはどうするんだ?」
「体術オンリー!」
「「「っ!!!」」」
「何、心配?大丈夫だって!雑魚相手に俺が負けるわけないだろう?」
「それはそうだけど・・・・・」
心配してくれるのはいいけど、信用してないのと同意義じゃないのか、それは?
「あ、違う違う!スイのことは全く心配していない。賊たちの事を心配してやっただけだから」
「ナニソレ・・・・・・・」
それはそれで腹が立つわ~~~。


「おらっ!さっさとありったけの金をこれに詰めろ!」
強盗らしい発言があちこちから聞こえる。
フロントからだけでなく、このホテル利用者からもふんだくっている。
で、俺たちに気付いたならず者共は、
「はっ!今更来ても遅―んだよっ!」
「つか、そんなヒョロイ身体で騎士ってか?帝国も落ちたもんだな!!」
ビキッ
ドッと笑いがロビーに響き渡る。
「そ、それくらいにしといた方が身のためだぞ?」
俺の顔色を伺いながらジルは丁寧に賊共に教えてやったのに、
「はっ!王子がこんなのを連れているなんて、笑いぐさだな!」
ビキキッ
「こんな男女みたいな奴、犯して、嬲って、売り飛ばしてしまおうぜ!」
ビキキキキッ
俺の堪忍袋の緒が切れました。
近くにいた賊2人を昏倒させた。
「おい、俺の事はいい。だが、殿下や帝国を悪く言う奴を俺は許さない」
「ははっ!どうせそいつら倒せたのだってまぐれだろう?大人しくしとけやっ!」
賊数人が俺に加護の『炎』『風』を放つが、手のひらをそれに向けて、
フシューーーー
「「「「「「はっ!?」」」」」」
受け止めたそれを握り潰したのだ。
「屋内で加護を使うなんて、クズだな。どうするんだ、もしこのホテルが焼けたら?ああ?」
俺に凄まれて、思いっきり顔を引きつらせた賊共。
一歩一歩賊共に近づくと、何故か後退していく奴ら。
「ジオルド、俺さ、スイの米神に青筋が数個見える気がするんだけど?」
「ああ、見間違いではないだろうな。スイ、ほどほどにな」
「ん~~~、加減がわからん。今の俺、休暇を邪魔されて、マジ怒ってんの!」
「「あ~~~、納得」」
「ということで、お前ら容赦しねーからなっ!」
ロビーにいた賊ざっと20人ほどを俺一人の体術だけで昏睡状態にした。
ただ人質を取った奴らなんて、目も当てられない格好にしてやった!
「スイ、ある意味で下品だよ」
「うん、同情するわ」
「うっさい!」
そう、人質を盾にした大馬鹿野郎たちは、俺に下半身をひん剥かれて、陰茎やアナル丸出しのまま床に伸びている。
女性の目を汚す光景だが、何故か「キャー」とか言う効果音の後に「♡」がついている気がする。
それは俺だけ感じ取っていたわけではなく、周りの男性が冷めた目で女性たちを見ている。
この国って『腐』が多いのか?
「殿下!スイ団長!!」
「「「団長っ!?」」」
ホテルの従業員含めこの場にいる全ての客たちは驚愕している。
殿下たちはマントとサッシュをつけているから判別できたけど、俺は上着を着てないから、ただの騎士だと思われていたのだろう。
皆の驚きようが面白い。
「よう、皆」
「何が『よう』ですかっ!目を離したらこれですか!監視役としてつけていたジルフォード殿下が全く役に立たないって事は、結論からして『スイ団長が問題児』である、ですね!」
「おい」
「レイン、仮にも王子の俺に失礼じゃないか?」
俺たちの反論を聞いていないようで、レインはざっと状況を把握する。
「で、私たちはどうしたらいいのです団長」
「話が早くてよろしい。レインとレイフォードは賊を一人残らず縛り上げて、エリアスと共に拘置所に連れて行け。一つの馬車で乗らないと思うから、バラバラにして・・・・・・」
「ひぃ!!!!い、命だけは助けてっ!助けてくれーーー!!!」
「???何言ってんだ??」
意識が戻った賊たちが額を床に擦りつけて懇願してくるが、何でこの場で命乞いしているのかわからない。
「確認ですが、団長、頭と胴体などがくっついたまま馬車に乗せたら良いのですよね?」
「は?何当たり前のこと言って・・・あ~~そういうこと!『バラバラ』をそういう意味で捉えたんだ。俺はそんなに鬼畜じゃねーーーーよっ!!!」
「ひぃぃぃぃいぃぃっ!!!」
更に怯えられてしまった。
「ジオルド殿下とアルバートは領主の元に行き、この件の報告と『孤児』について話を聞いてきてくれ」
「「わかった」」
「俺とジルフォード殿下はこのホテルのオーナーから話を聞く」
「ああ、わかったよ。では、皆様怖い思いをしたと思いますが、何卒良い旅行をしていただきたい。貴方たちに幸あらんことを」
ジルの締めの言葉にロビーが一斉に浮き足立つ。
怖かったはずなのに、涙を流していたはずなのに、何故か一様に興奮している。
「きっとスイの格好良さがご婦人たちにはたまらないのだろう」
「男性陣にはこれほど素晴らしい旅の土産話はないだろうしね」
「そういうことか・・・・・・・ま、俺の行動で恐怖が薄らいだなら僥倖だ」
感想 6

あなたにおすすめの小説

処刑される悪役令息に転生したらなぜか推しの騎士団長がグイグイ近づいてくる

猫に小判
BL
交通事故で死んだはずの会社員・田中悠人は、気がつくとBL小説『恋と陰謀~はじまりは夜に~』の世界に転生していた。 しかも転生先は、原作で処刑される悪役令息エリオット。 当然そんな未来は回避したい。 原作知識を頼りに慎重に立ち回るつもりだったのに、気づけば王宮を揺るがす事件に巻き込まれていき――。 さらに困ったことに、原作で一番の推しだった騎士団長ガイウスがやたらと距離を詰めてきて……? 平穏に生きたい元悪役令息と、過保護な騎士団長がじれじれ距離を縮める話。 ガイウス(騎士団長)×エリオット(元悪役令息)

【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件

白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。 最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。 いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。

腐男子♥異世界転生

よしの こひな
BL
ある日、腐男子で新卒サラリーマン・伊丹トキヤの自室にトラックが突っ込む。 目覚めたトキヤがそこで目にしたのは、彼が長年追い続けていたBL小説の世界――。しかも、なんとトキヤは彼が最推しするスパダリ攻め『黒の騎士』ことアルチュール・ド・シルエットの文武のライバルであり、恋のライバルでもあるサブキャラの「当て馬」セレスタン・ギレヌ・コルベールに転生してしまっていた。 トキヤは、「すぐそばで推しの2人を愛でられる!」と思っていたのに、次々と原作とは異なる展開が……。 ※なろうさん、Caitaさん、PIXIVさんでも掲載しています。

おひめさまな俺、帝王に溺愛される

  *  ゆるゆ
BL
帝王陛下に捧げられることになった小国の王族レイには、大変な問題が──! ……男です。

52歳のおっさん、異世界転移したら下水道に捨てられた――下水の汚物は宝の山だった

よっしぃ
ファンタジー
【祝!3/22~25 ホットランキング第1位獲得!】 皆様の熱い応援、本当にありがとうございます! ファンタジー部門6位獲得しました!感謝です! 【書籍化作家の本気作。まず1話、読んでください】 電車でマナー違反を注意したら、逆ギレされて殴られた。 気がついたら異世界召喚。 だが能力鑑定は「なし」。魔力適性も「なし」。 52歳のおっさんに、異世界は容赦ない。 結論――王都の地下下水道に「廃棄」。 玄湊康太郎。職業、設備管理。趣味、健康管理。 血管年齢は実年齢マイナス20歳。 そんな自慢も、汚物まみれの下水道じゃ何の役にも立たない。 だが、転んだ拍子に起きた「偶然の浄化」が、すべてを変えた。 下水には、地上の連中が気づかない「資源」が眠っている。 捨てられた魔道具。 長年魔素を吸い続けた高純度魔石。 そして、同じく捨てられた元聖女、セシリア。 チート能力なし。異能なし。魔法も使えない。 あるのは、52年分の知識と経験、そして設備屋としてのプロ意識だけ。 汚物を「資源」に変え、捨てられた者たちと共に成り上がる。 スラムから始まる、おっさんの本気の逆転劇。 この作品には、現代の「病気」と「健康」に対する、作者の本気のメッセージが込められています。 魔力は毒である。代謝こそが命である。 軽い気持ちで読み飛ばせる作品ではありません。 でも、だからこそ――まず1話、読んでください。 【最新情報&著者プロフィール】 代表作『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』(オリコンライトノベル部門18位記録)の著者が贈る最新作! ◆ 2月に待望の【第2巻】刊行! ◆ 現在、怒涛の展開となる【第3巻】を鋭意執筆中! ◆ 【コミカライズ企画進行中】! すでにキャラデザが完成し、3巻発売と同時に連載スタート予定です。絶対的な勢いで駆け上がる本作に、ぜひご期待ください!

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

最弱白魔導士(♂)ですが最強魔王の奥様になりました。

はやしかわともえ
BL
のんびり書いていきます。 2023.04.03 閲覧、お気に入り、栞、ありがとうございます。m(_ _)m お待たせしています。 お待ちくださると幸いです。 2023.04.15 閲覧、栞、お気に入りありがとうございます。 m(_ _)m 更新頻度が遅く、申し訳ないです。 今月中には完結できたらと思っています。 2023.04.17 完結しました。 閲覧、栞、お気に入りありがとうございます! すずり様にてこの物語の短編を0円配信しています。よろしければご覧下さい。