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第三章

3 距離を置く

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「うっ・・・・・・」
小さく苦痛を漏らす声と共にスイの意識が覚醒する。
「あれ?俺・・・・・・・」
「団長っ!!」
涙を流しながらスイにしっかりと抱きつくレイン。
羨ましいが、私たちはこの場を動けない。
あの姿のスイを見て、固まってしまったようだ。
「レイン?もう、お前は~~~大丈夫だって!!ほら、お手製のサンドウィッチ食わせろ」
「っ!!はいっ!今日はレオンハルト団長が大きく瑞々しいトマトを収穫してくださったので、シンプルにハムとレタスとチーズに、トマト!にしてみました!」
「おおおおおおっ!さすが俺の副官!どれど・・・・・・えっ?でんか・・・・・・」
サーと顔色をなくすスイを見ると、彼を大切に思う気持ちより『自分たちの気持ち』を優先させてしまい・・・。
「スイ?私たちは言ったよね?君に言ったよね?どれほど心を傷めたかと・・・・・」
「っ!!」
「同じ姿を見る私たちの気持ちを考えてくれないかな?」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
赤色を残す彼を気遣う言葉をかけてあげられない。
彼の傍にいるレインが、「殿下っ!!」と叫ぶも口から出る言葉を抑えきれない。
「時間を戴いたから君と共に寝たいと思って赴いたのに」
「っ!!」
スイが驚き息を吸い込む音が、耳障りだ。
私とジルは「はっ」と馬鹿にしたような、失望したような溜息を吐いてしまった。
それについてアルバートとレイフォードは咎めてくるが、反省することはない。
だって、スイが私たちの気持ちを理解してくれていないのだから!!!

「スイレン、少し私たちと距離を置こう」
「っ!!!」
「仕事は今のまましてくれ。だが、必要以上に俺に関わることを禁じる」
そう言って私たち双子は、スイが微笑みながら填めてくれた婚約、否、結婚指輪を外し、スイの掌に置いてその場を後にしたのだった。
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