不運が招く人間兵器の異世界生活

紫苑

文字の大きさ
155 / 247
第三章

閑話3 暗3

「どうだった竜胆?満足?」
「翠蓮と同じ事を聞くんだな・・・・・・ちくしょ・・・・・・後悔しかねーよ」
「・・・・・・でしょうね。だから、私は止めなかったのよ?ちゃんと翠蓮に敗北したことを味わって欲しかったからね」
「どういう意味?」
菖蒲姐さんの言うことを全く理解出来ない俺。
いつも翠蓮には負けてばかりの光景見ているのに。
俺たち誰も勝てやしない、孤高の翠蓮様。
一度で良いからあの気高く美しい瞳を穢して、快楽に染まる瞳に変えてみたくて。
いざ抱ける機会があっても、無様に敗北した俺。
抱いた側が大敗を期したのだ。
あの存在を穢す者は誰一人として、この世界にはいない。
あちらの世界では沢山穢され、快楽に浸かっていたようだが。
「翠蓮はね、翠蓮の身体はね・・・・・・・快楽を享受できないのよ。相性が合わない限り」
「は?」
「あなたは知らなかったのね。あの子の身体は私たちとは違う特別製なのよ。だからこそ『神々』に愛される」
「それは知ってる」
「いえ、本当の意味で知っていないわ」
翠蓮の何を俺が知らないというのか!
俺はずっと翠蓮と共にいた!
それも菖蒲姐さんよりも多く!
葵兄さんよりも傍にいた!
そんな俺が知らない事柄があるはずがない!!
「翠蓮の身体はね、『力の相性が』合わない限り交わる行為は『痛み』しか伴わないんだよ。ただ、生殖器としての機能は果たすけどね」
「っ!!??え、そんなことっっ!」
いや、そういえば抱いている最中、あいつは声を出したか?
いや、ずっと唇を噛んで耐えて・・・・・・・
「苦悶の声を出さないためか・・・・・・・」
「そうね。さっき翠蓮の顔見たけど、唇から血が出てたわね。随分と噛みしめたようね。相当の痛みだったんでしょう・・・・・・」
「っ!!ならっ!何で菖蒲は俺を止めなかった!!??」
「あの子が言わないことを私が態々止めてまで教える必要ないでしょう?もう子供じゃないんだから」
「そうだけど!!」
「それにあの子も『覚悟』決めたみたいだったしね。あんたに抱かれる事に」
「・・・・・・・・・・・・・うん、最後は赦してくれた」
「でしょ?苦痛を伴うしかない行為を強制されたとしても、翠蓮にとってあんたはとても大切な『親友』なのよ」
「『親友』か・・・・・・・」
「ええ、『仲間』でもあるけど、それ以上でもそれ以下でもないわ、私たちは。そうでしょう?」
「そうだ・・・・・・な・・・・・ははは・・・・・はははは・・・・・謝りたい」
「駄目よ、それは。翠蓮の覚悟を蔑ろにする行為よ。私はそれを赦さない」
「うん・・・・・・うん・・・・・・・はは・・・・・・・」
「大丈夫よ、あの子は。赦してくれているわ。だって、私たちは生きている中で一番の『親友』なのだから」
「そうだな・・・・・・」
それを台無しにしたのは俺自身だ。
俺は翠蓮が欲しくて欲しくて欲しくて!!!
でも、手を出せなくて!!
あいつが俺をそういう目で見てないこともはっきりとわかっていた。
だから、諦めた。
諦めたけど欲望は萎えず、俺はいつの間にか葵兄さんに『抱かれる側』になっていた。
抱かれるようになって、俺は葵兄さんを段々と好きになって、一緒に住むようになって、満足だったのに。
突然!!!
突然翠蓮が消えた!
この世から!!!
俺はパニックで気がおかしくなり、再び翠蓮の身体を求めるようになってしまった。
俺は翠蓮だけでなく、葵兄さんも裏切った!

裏切り者だ!!!

こんな奴、この人たちの傍にいては駄目だ!
すぐに俺はどこかに消えないと!
いっそこの世から・・・・・・・

「馬鹿なこと考えてんじゃないわよ?そんなことしたら私はもちろんのこと、翠蓮も葵も本当の意味であんたを赦さないわよ」
「・・・・・・・・・・・・・・姐さんは凄いね、敵わないや」
「何年あんたらの面倒見てきたと思ってんの?こ~~~んな小さな頃からよ?」
「そんなに歳離れてないくせに、おばちゃんみたいなこと言うなよ」
「なっ!言ったわね!もう怒ったわ!あんたには翠蓮に着替えを持って行くミッションを与えてやる!」
「は!?それ罰じゃなくね?」
「いえ、罰よ。今、お風呂で翠蓮はあんたから受けた精を吐き出す苦痛を耐えているわ。それにも痛みを伴うとの事よ。苦悶の声を聞いて反省なさい!!」
「はっはい!!!!!」

とさりと俺の腕に落とされた翠蓮の服。
手触りがよく、滑らかで。
菖蒲姐さんがどれだけ翠蓮の事を思っているのか、これだけでわかってしまった。
俺は姐さんにも勝てやしない。
は~~~と大きな溜息を吐き、チクチクと痛む心に頑丈な蓋をして風呂場に足を向ける。
感想 6

あなたにおすすめの小説

処刑される悪役令息に転生したらなぜか推しの騎士団長がグイグイ近づいてくる

猫に小判
BL
交通事故で死んだはずの会社員・田中悠人は、気がつくとBL小説『恋と陰謀~はじまりは夜に~』の世界に転生していた。 しかも転生先は、原作で処刑される悪役令息エリオット。 当然そんな未来は回避したい。 原作知識を頼りに慎重に立ち回るつもりだったのに、気づけば王宮を揺るがす事件に巻き込まれていき――。 さらに困ったことに、原作で一番の推しだった騎士団長ガイウスがやたらと距離を詰めてきて……? 平穏に生きたい元悪役令息と、過保護な騎士団長がじれじれ距離を縮める話。 ガイウス(騎士団長)×エリオット(元悪役令息)

【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件

白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。 最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。 いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。

腐男子♥異世界転生

よしの こひな
BL
ある日、腐男子で新卒サラリーマン・伊丹トキヤの自室にトラックが突っ込む。 目覚めたトキヤがそこで目にしたのは、彼が長年追い続けていたBL小説の世界――。しかも、なんとトキヤは彼が最推しするスパダリ攻め『黒の騎士』ことアルチュール・ド・シルエットの文武のライバルであり、恋のライバルでもあるサブキャラの「当て馬」セレスタン・ギレヌ・コルベールに転生してしまっていた。 トキヤは、「すぐそばで推しの2人を愛でられる!」と思っていたのに、次々と原作とは異なる展開が……。 ※なろうさん、Caitaさん、PIXIVさんでも掲載しています。

おひめさまな俺、帝王に溺愛される

  *  ゆるゆ
BL
帝王陛下に捧げられることになった小国の王族レイには、大変な問題が──! ……男です。

52歳のおっさん、異世界転移したら下水道に捨てられた――下水の汚物は宝の山だった

よっしぃ
ファンタジー
【祝!3/22~25 ホットランキング第1位獲得!】 皆様の熱い応援、本当にありがとうございます! ファンタジー部門6位獲得しました!感謝です! 【書籍化作家の本気作。まず1話、読んでください】 電車でマナー違反を注意したら、逆ギレされて殴られた。 気がついたら異世界召喚。 だが能力鑑定は「なし」。魔力適性も「なし」。 52歳のおっさんに、異世界は容赦ない。 結論――王都の地下下水道に「廃棄」。 玄湊康太郎。職業、設備管理。趣味、健康管理。 血管年齢は実年齢マイナス20歳。 そんな自慢も、汚物まみれの下水道じゃ何の役にも立たない。 だが、転んだ拍子に起きた「偶然の浄化」が、すべてを変えた。 下水には、地上の連中が気づかない「資源」が眠っている。 捨てられた魔道具。 長年魔素を吸い続けた高純度魔石。 そして、同じく捨てられた元聖女、セシリア。 チート能力なし。異能なし。魔法も使えない。 あるのは、52年分の知識と経験、そして設備屋としてのプロ意識だけ。 汚物を「資源」に変え、捨てられた者たちと共に成り上がる。 スラムから始まる、おっさんの本気の逆転劇。 この作品には、現代の「病気」と「健康」に対する、作者の本気のメッセージが込められています。 魔力は毒である。代謝こそが命である。 軽い気持ちで読み飛ばせる作品ではありません。 でも、だからこそ――まず1話、読んでください。 【最新情報&著者プロフィール】 代表作『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』(オリコンライトノベル部門18位記録)の著者が贈る最新作! ◆ 2月に待望の【第2巻】刊行! ◆ 現在、怒涛の展開となる【第3巻】を鋭意執筆中! ◆ 【コミカライズ企画進行中】! すでにキャラデザが完成し、3巻発売と同時に連載スタート予定です。絶対的な勢いで駆け上がる本作に、ぜひご期待ください!

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

最弱白魔導士(♂)ですが最強魔王の奥様になりました。

はやしかわともえ
BL
のんびり書いていきます。 2023.04.03 閲覧、お気に入り、栞、ありがとうございます。m(_ _)m お待たせしています。 お待ちくださると幸いです。 2023.04.15 閲覧、栞、お気に入りありがとうございます。 m(_ _)m 更新頻度が遅く、申し訳ないです。 今月中には完結できたらと思っています。 2023.04.17 完結しました。 閲覧、栞、お気に入りありがとうございます! すずり様にてこの物語の短編を0円配信しています。よろしければご覧下さい。