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王太子夫妻のひと時
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謁見の間の前には、謁見の間で王族と謁見するまでの時間を待つ部屋が幾つもある。言わば順番待ちの部屋である。
その小さな部屋に前代未聞、王太子と王太子妃が並んで椅子に腰をおろしていた。
…。
…。
案の定5分と保たないうちにアレクセイはため息とともに立ち上がると扉の向こうに控える衛兵に声を掛けた。
『悪いが茶を頼む』
順番待ちの部屋にはもちろん侍女などいない。申し訳なさそうに言うアレクセイに衛兵は頭を少し垂れると急いでその場を後にしようとした。
『待て。悪いが────も頼む。』
小声で付け加えると衛兵は小さく微笑み急ぎ足でその場を後にした。
アレクセイは部屋に戻るとヴィクトリアの前に腰を下ろした。
ヴィクトリアは一人で何やらブツブツと呟きながら首を捻ってみたり怒りをあらわにしたりと忙しそうである。アレクセイはその様子を黙って観察している。その視線に気づいたのか気づいてないのかヴィクトリアはアレクセイに鋭い視線を投げつけた。
『殿下!』
いきなりの飛び火に少し後のめりになると
『おかしくないですか?何がどうしたら我々が謁見の間から締め出されているのですか!そもそも何故王女は私を鬼の形相で睨みつけるのですか?』
さあ、答えて!とでも言いたげに両手を広げるヴィクトリアにアレクセイは1つずつ丁寧に答える。
『うん、おかしいのは間違いない。私はこの歳までここに入った事などないからね?あちらで迎え入れる立場だから。』
大きく頷くヴィクトリア。
『そして何故かは…隣国の王太子兄妹が何やら込み合った話があるとかで…もちろん非公式で勝手にやってきたんだからそれこそ彼らがここを使えば良いのだが、あの王女の話から逃げ出すにはこれしか無かったから?かな。』
激しく同意するヴィクトリア。
『鬼の形相で睨みつけるのは…なんだろう?君がハロルド殿下に告げ口したとでも思ったのかな?』
ヴィクトリアは驚いたように
『告げ口なんていつしましたか!んな事するわけないしそもそもそんなルートないわ!』
『待て待て、落ち着け。あくまで私の見解だから!で?ヴィクトリアは何故私を睨みつけたのだ?』
いきなりの問にヴィクトリアは平然と
『そりゃ怒りを周囲に撒き散らす訳にはいきませんからね?夫である殿下にしか当たり散らせませんもの。』
大概勝手な言い分ではあるが…何故かアレクセイは顔を赤らめている。
…?
『お待たせしました。』
ノックとともに掛けられた言葉にアレクセイは短く応える。
『入れ』
運ばれてきたのはこの部屋には似つかわしく無い豪華な茶菓子とお茶が運ばれてきた。
色とりどりのマカロンがお皿に並び楽しそうである。それに見惚れるヴィクトリアもまた楽しそうに眺めセットされるのを嬉しそうに見つめていた。
先ほどまでの怒りはどこへやら。ヴィクトリアは上機嫌で小さなお茶会を楽しんでいる。
『殿下も召し上がりましょうよ。気分が上がりますわよ?』
アレクセイはにっこり微笑みながら
『ありがとう。後で頂くよ』
カップのお茶を優雅に飲みほした頃レイモンドから声が掛かりアレクセイはヴィクトリアに1つ頷き謁見の間へと向かった。ヴィクトリアもまた席を立つと衛兵を呼び小声で
『ごめんなさい。貴方にお願いする事ではないのだけど…あそこのマカロンを王太子執務室へ届けておいてくださる?』
…?不思議そうにヴィクトリアを見る衛兵に
『せっかくご自分でお願いしたのに召し上がる暇もなくて…』
これまた衛兵は不思議そうにヴィクトリアを見ながら
『殿下はマカロンは召し上がりませんよ?何でもあの食感が苦手なようですから。』
…?
『殿下がリクエストされたんでしょう?』
『はい。殿下は妃殿下の好物をとの事で…ですからお持ちしなくても…』
ヴィクトリアの顔を申し訳なそうに見るとヴィクトリアはこれまた申し訳なさそうに
『そうね、呼び止めてしまってごめんなさい。』
何故か真っ赤になりながらアレクセイの後を追った。
…そんなに不機嫌そうに見えたのかしら?
ご機嫌取りなどされた経験の無いヴィクトリアは戸惑いながら謁見の間の扉を開いた。
その小さな部屋に前代未聞、王太子と王太子妃が並んで椅子に腰をおろしていた。
…。
…。
案の定5分と保たないうちにアレクセイはため息とともに立ち上がると扉の向こうに控える衛兵に声を掛けた。
『悪いが茶を頼む』
順番待ちの部屋にはもちろん侍女などいない。申し訳なさそうに言うアレクセイに衛兵は頭を少し垂れると急いでその場を後にしようとした。
『待て。悪いが────も頼む。』
小声で付け加えると衛兵は小さく微笑み急ぎ足でその場を後にした。
アレクセイは部屋に戻るとヴィクトリアの前に腰を下ろした。
ヴィクトリアは一人で何やらブツブツと呟きながら首を捻ってみたり怒りをあらわにしたりと忙しそうである。アレクセイはその様子を黙って観察している。その視線に気づいたのか気づいてないのかヴィクトリアはアレクセイに鋭い視線を投げつけた。
『殿下!』
いきなりの飛び火に少し後のめりになると
『おかしくないですか?何がどうしたら我々が謁見の間から締め出されているのですか!そもそも何故王女は私を鬼の形相で睨みつけるのですか?』
さあ、答えて!とでも言いたげに両手を広げるヴィクトリアにアレクセイは1つずつ丁寧に答える。
『うん、おかしいのは間違いない。私はこの歳までここに入った事などないからね?あちらで迎え入れる立場だから。』
大きく頷くヴィクトリア。
『そして何故かは…隣国の王太子兄妹が何やら込み合った話があるとかで…もちろん非公式で勝手にやってきたんだからそれこそ彼らがここを使えば良いのだが、あの王女の話から逃げ出すにはこれしか無かったから?かな。』
激しく同意するヴィクトリア。
『鬼の形相で睨みつけるのは…なんだろう?君がハロルド殿下に告げ口したとでも思ったのかな?』
ヴィクトリアは驚いたように
『告げ口なんていつしましたか!んな事するわけないしそもそもそんなルートないわ!』
『待て待て、落ち着け。あくまで私の見解だから!で?ヴィクトリアは何故私を睨みつけたのだ?』
いきなりの問にヴィクトリアは平然と
『そりゃ怒りを周囲に撒き散らす訳にはいきませんからね?夫である殿下にしか当たり散らせませんもの。』
大概勝手な言い分ではあるが…何故かアレクセイは顔を赤らめている。
…?
『お待たせしました。』
ノックとともに掛けられた言葉にアレクセイは短く応える。
『入れ』
運ばれてきたのはこの部屋には似つかわしく無い豪華な茶菓子とお茶が運ばれてきた。
色とりどりのマカロンがお皿に並び楽しそうである。それに見惚れるヴィクトリアもまた楽しそうに眺めセットされるのを嬉しそうに見つめていた。
先ほどまでの怒りはどこへやら。ヴィクトリアは上機嫌で小さなお茶会を楽しんでいる。
『殿下も召し上がりましょうよ。気分が上がりますわよ?』
アレクセイはにっこり微笑みながら
『ありがとう。後で頂くよ』
カップのお茶を優雅に飲みほした頃レイモンドから声が掛かりアレクセイはヴィクトリアに1つ頷き謁見の間へと向かった。ヴィクトリアもまた席を立つと衛兵を呼び小声で
『ごめんなさい。貴方にお願いする事ではないのだけど…あそこのマカロンを王太子執務室へ届けておいてくださる?』
…?不思議そうにヴィクトリアを見る衛兵に
『せっかくご自分でお願いしたのに召し上がる暇もなくて…』
これまた衛兵は不思議そうにヴィクトリアを見ながら
『殿下はマカロンは召し上がりませんよ?何でもあの食感が苦手なようですから。』
…?
『殿下がリクエストされたんでしょう?』
『はい。殿下は妃殿下の好物をとの事で…ですからお持ちしなくても…』
ヴィクトリアの顔を申し訳なそうに見るとヴィクトリアはこれまた申し訳なさそうに
『そうね、呼び止めてしまってごめんなさい。』
何故か真っ赤になりながらアレクセイの後を追った。
…そんなに不機嫌そうに見えたのかしら?
ご機嫌取りなどされた経験の無いヴィクトリアは戸惑いながら謁見の間の扉を開いた。
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