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早馬再来
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夜も明けきれぬ程の早朝、またも早馬がメープル王国にやってきた。いや駆け込んできた。
ヴィクトリアは侍女のミランに叩き起こされ不機嫌なまま謁見の間へ向かった。
『ヴィッキー!』
掛けていた椅子から飛び上がる様にヴィクトリアの元に飛んで来るとヴィクトリアはまたもハロルドを落ち着かせる様ソファへ促した。
『貴方も早馬が好きね。家臣たちを案じてしまうわ。』
『こんな時に早馬を出さずしていつ出すんだよ!』
…だからって王太子が自ら。
半分呆れながらもヴィクトリアは部屋の窓を開け新鮮な空気を流し込んだ。
『で?貴方が急ぎ会いに来るのは私ではなく妹君ではなくて?何なら叩き起こして参りましょうか?』
…私なんて気持ちよく寝ている所を叩き起こされたのよ?
ヴィクトリアは心の中で一言付け加えた。
『迷惑を掛けてすまない。』
『私への謝罪は結構。ですが王太子として夫には謝罪をお願いしたいですわ。』
ヴィクトリアが夫とアレクセイを呼んだ事にハロルドの胸はチクリと痛んだ。ハロルドが次の言葉を発する前にアレクセイがこれまた不機嫌そうに現れた。
…わかるわ。眠いものね。
ヴィクトリアはアレクセイがソファに掛けるのを待って隣に並んで腰を下ろした。
ハロルドは立ち上がるとアレクセイに礼を取り
『ご迷惑を掛けて申し訳ない。』
深く頭を垂れた。
アレクセイは笑みをみせる事無くハロルドを凝視する。
…で、殿下?
『で?本当の所どうなのです?国境を封鎖するなど貴国には到底出来ないであろうし、そもそも国境封鎖となれば帝国からの圧力も加わるだろうね?』
ハロルドは驚いた様に
『国境封鎖?どこがです?』
見たところ本心からのセリフのようだ。
『貴国だよ。』
ハロルドは瞬きを2回。ようやくアレクセイの言葉の意味を理解したのか
『我が国が封鎖するなど誰がそんな事。そんな事をする理由もメリットも無いしそれは貴方もご存知でしょう?』
アレクセイはこれ見よがしに額を手で覆いため息を落とした。
『そう考えていたよ。だけどね?貴国の第一王女がそう言うんだ。こちらとしてはどうしようもないであろう?これが他からの情報ならまだしもサンライズ王国の王族の言葉だからね?対応せざるを得ないよね?』
ハロルドは目を見開くと
『アンが?そう申したのですか?』
面倒になってきたのかアレクセイは間髪入れずに
『私の妃になるそうだけど?何でも我が国の危機回避だとか?何の危機だよ。聞きたいのはこちらだけどね?王女はそれだけ話すと王宮に留まり毎日街に出てお買い物だそうだ。』
ハロルドは脱力しソファに沈んだ。
『…申し訳ない。』
それ以上の言葉を発する事が出来ないハロルドに
『そんな事はどうでもよい。で?貴国は何がしたいんだ?国内の方向性は1つでないと国の行く末は無いにも等しい。頼むから方向性をまとめてから来てほしいよ。出来れば公式訪問だと有り難い。』
珍しく言葉キツめのアレクセイに少し驚いたヴィクトリアではあるが、まぁ事が事だけに仕方あるまい。
…
まだ機密事項なのかハロルドはその詳細を話す事はしなかった。
『妹を連れて帰ります。ご迷惑をお掛けし申し訳ありませんでした。』
核心はあくまで話さないハロルドであったがアレクセイはアン王女を連れてくる様レイモンドに視線を送った。
3人の微妙なひと時、ハロルドは申し訳なさそうにアレクセイを見て
『アンを娶るおつもりは…無いですよね?』
この場に全くもって相応しくない問にヴィクトリアはびっくり返りそうになりながら何とか耐えた。
…嘘でしょ。
アレクセイはハロルドに蔑む視線を投げつけると
『無いよ!!兄妹揃いも揃って、私は妻帯しておりますが?希望的観測はやめてくれ!』
ハロルドはその言葉を聞きながらヴィクトリアの反応を確認した。ヴィクトリアはハロルドの視線を不思議そうに受け首を捻った。
…可愛い❤
いささか不謹慎なハロルドではあるが久々に目の前に座るヴィクトリアを惜しみなく堪能したのである。
若干表情が緩んだハロルドの顔色が変わったのはアン王女がやって時であった。
ハロルドは一言
『アン、何をしておる?』
ヴィクトリアは聞いたことのない低い声のハロルドを驚いたように見た。
…王太子のスイッチでもあるのかしら?
こちらも負けじと不謹慎である。
アン王女はハロルドを見て固まり何故かヴィクトリアを睨みつけた。
…え?なんで?
ヴィクトリアもまた驚き、その感情をストレートに隣のアレクセイに向けた。
…は?何で俺?
アレクセイはまたも額を抑えため息を付いた。
ヴィクトリアは侍女のミランに叩き起こされ不機嫌なまま謁見の間へ向かった。
『ヴィッキー!』
掛けていた椅子から飛び上がる様にヴィクトリアの元に飛んで来るとヴィクトリアはまたもハロルドを落ち着かせる様ソファへ促した。
『貴方も早馬が好きね。家臣たちを案じてしまうわ。』
『こんな時に早馬を出さずしていつ出すんだよ!』
…だからって王太子が自ら。
半分呆れながらもヴィクトリアは部屋の窓を開け新鮮な空気を流し込んだ。
『で?貴方が急ぎ会いに来るのは私ではなく妹君ではなくて?何なら叩き起こして参りましょうか?』
…私なんて気持ちよく寝ている所を叩き起こされたのよ?
ヴィクトリアは心の中で一言付け加えた。
『迷惑を掛けてすまない。』
『私への謝罪は結構。ですが王太子として夫には謝罪をお願いしたいですわ。』
ヴィクトリアが夫とアレクセイを呼んだ事にハロルドの胸はチクリと痛んだ。ハロルドが次の言葉を発する前にアレクセイがこれまた不機嫌そうに現れた。
…わかるわ。眠いものね。
ヴィクトリアはアレクセイがソファに掛けるのを待って隣に並んで腰を下ろした。
ハロルドは立ち上がるとアレクセイに礼を取り
『ご迷惑を掛けて申し訳ない。』
深く頭を垂れた。
アレクセイは笑みをみせる事無くハロルドを凝視する。
…で、殿下?
『で?本当の所どうなのです?国境を封鎖するなど貴国には到底出来ないであろうし、そもそも国境封鎖となれば帝国からの圧力も加わるだろうね?』
ハロルドは驚いた様に
『国境封鎖?どこがです?』
見たところ本心からのセリフのようだ。
『貴国だよ。』
ハロルドは瞬きを2回。ようやくアレクセイの言葉の意味を理解したのか
『我が国が封鎖するなど誰がそんな事。そんな事をする理由もメリットも無いしそれは貴方もご存知でしょう?』
アレクセイはこれ見よがしに額を手で覆いため息を落とした。
『そう考えていたよ。だけどね?貴国の第一王女がそう言うんだ。こちらとしてはどうしようもないであろう?これが他からの情報ならまだしもサンライズ王国の王族の言葉だからね?対応せざるを得ないよね?』
ハロルドは目を見開くと
『アンが?そう申したのですか?』
面倒になってきたのかアレクセイは間髪入れずに
『私の妃になるそうだけど?何でも我が国の危機回避だとか?何の危機だよ。聞きたいのはこちらだけどね?王女はそれだけ話すと王宮に留まり毎日街に出てお買い物だそうだ。』
ハロルドは脱力しソファに沈んだ。
『…申し訳ない。』
それ以上の言葉を発する事が出来ないハロルドに
『そんな事はどうでもよい。で?貴国は何がしたいんだ?国内の方向性は1つでないと国の行く末は無いにも等しい。頼むから方向性をまとめてから来てほしいよ。出来れば公式訪問だと有り難い。』
珍しく言葉キツめのアレクセイに少し驚いたヴィクトリアではあるが、まぁ事が事だけに仕方あるまい。
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まだ機密事項なのかハロルドはその詳細を話す事はしなかった。
『妹を連れて帰ります。ご迷惑をお掛けし申し訳ありませんでした。』
核心はあくまで話さないハロルドであったがアレクセイはアン王女を連れてくる様レイモンドに視線を送った。
3人の微妙なひと時、ハロルドは申し訳なさそうにアレクセイを見て
『アンを娶るおつもりは…無いですよね?』
この場に全くもって相応しくない問にヴィクトリアはびっくり返りそうになりながら何とか耐えた。
…嘘でしょ。
アレクセイはハロルドに蔑む視線を投げつけると
『無いよ!!兄妹揃いも揃って、私は妻帯しておりますが?希望的観測はやめてくれ!』
ハロルドはその言葉を聞きながらヴィクトリアの反応を確認した。ヴィクトリアはハロルドの視線を不思議そうに受け首を捻った。
…可愛い❤
いささか不謹慎なハロルドではあるが久々に目の前に座るヴィクトリアを惜しみなく堪能したのである。
若干表情が緩んだハロルドの顔色が変わったのはアン王女がやって時であった。
ハロルドは一言
『アン、何をしておる?』
ヴィクトリアは聞いたことのない低い声のハロルドを驚いたように見た。
…王太子のスイッチでもあるのかしら?
こちらも負けじと不謹慎である。
アン王女はハロルドを見て固まり何故かヴィクトリアを睨みつけた。
…え?なんで?
ヴィクトリアもまた驚き、その感情をストレートに隣のアレクセイに向けた。
…は?何で俺?
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