『婚約破棄から始まる物語』へ転生したってか?【完】

mako

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アレクセイの力

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ヴィクトリアもまた驚きを見せながら隣のアレクセイの動向を見守っている。


『国境封鎖となればそれを繋ぐ橋は必要ないからね。』


沈黙を破るはアレクセイ。動揺をそのままにアン王女は


『せ、せっかく掛けられている橋を落とすなんて、そもそもあの新しい橋はようやく完成を迎えたばかりではありませんか?』


『ええ、そうですよ。ですがその先が無いなら不要だ。』

短く答えるアレクセイをルドルフを注意深く凝視している。アレクセイは表情を一転にこやかな笑みを浮かべると


『まぁ、国境封鎖という愚策が施行されればの話ですがね?』


『愚、愚策?』


『ええ、愚策です。まぁハロルド殿下はそのような事考えているとは思えませんがね?』


アン王女は顔を顰めると


『殿下は兄の事をご存知ないからそんな事をおっしゃるのです。現に今、身の丈に合わない王太子は皇帝からお呼びが掛かっており我が国に迷惑をかけているのですよ?そんな彼が王太子として如何なものか…』


『アン王女、失礼ながら貴女はもう少し大陸について学ぶべきだよ。そもそも我が国は他国から妃を娶る事は稀なんだ。もちろんそんな事周知の事、ハロルド殿下もご存知だ。』


アン王女は顔を真っ赤にしながら立ち上がると

『そ、そんな事!兄も前回貴方に聞いていたではありませんか?娶る気はあるのかを!』

アレクセイは小さく息を吐く。


『あれは王太子としてではなく、一人の男として問うたのだよ。ヴィクトリアを手放す事があるか否かを。』


アレクセイの言葉でこの日初めてルドルフはヴィクトリアに視線を向けた。向けられた視線は好意的ものでは無かったが…。


『話を戻すと、我が国の橋は貴国との隣接ではあるが他国が帝国へ赴く際に必ず通る重要なルートだ。そのおかげで貴国も財を成しているのであろう?そこを勘違いしては困る。たまたま立地がラッキーなだけで貴国の力から得ている財ではないからね?

それにあの橋が掛かる前はあのルートを通る者は皆無であった。だからあそこに群がる者はわざわざ隣の橋から渡ってきて、わざわざトンプソン領に入っていたと言うことだ。トンプソン領の者も橋周辺には用もないからね?なのにわざわざあそこに群がる者が居たのは何故か?』



…。


…。


アレクセイは2人に視線を流すと


『何かあるんだろうね?あそこが開通して他国が行き来すると困る理由がね?それでいて橋が無くなるのも困る。』


徐ろに首を捻るアレクセイからの視線から逃れる様にルドルフは立ち上がると窓辺に腰を下ろした。


『おっしゃる意味がわかりませんが、そのような事すれば貴国は帝国から圧力が掛かりますよ?』


『でしょうね、だから全ての橋を落とすとは言ってはいない。あくまで貴国が国境封鎖をするならば貴国と隣接する橋だけを落とすと言うことです。貴国からの侵入者を省く為にね。』






驚いた3人は一斉にアレクセイを見た。


『だって侵入者でしょう?』

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