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夜会☆
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王太子夫妻揃っての登場は久々であった。会場からも様々な思惑を感じる視線が2人に注がれる。国王の挨拶からの王太子夫妻のダンスを皮切りに夜会は社交モードとなっていった。
ヴィクトリアもレオンを連れてトンプソン領の橋を売り込みに回りアレクセイもまたレイモンドを連れて社交に繰り出していた。
『ヴィッキー!』
懐かしい呼び名にヴィクトリアは振り返るとハロルドがにこやかに現れた。
『色々世話になってすまないね。』
詫びを述べるには爽やか過ぎる笑顔を振りまくとハロルドはメープル王国の貴族令嬢の視線を集めていた。そんなものどこ吹く風。ハロルドはヴィクトリアに優しい眼差しを向けると
『相変わらず社交が上手いね。』
『お褒めに預かり光栄ですわ。』
2人は阿吽の呼吸にクスクスと笑うとハロルドは
『妃殿下、一曲お願い出来ますか?』
ヴィクトリアは青ざめるとハロルドに小声で返す。
『踊れない!』
ハロルドは不思議そうにヴィクトリアを見つめると
『だから!踊れないの!苦手なの!』
ハロルドはクスクスと笑い
『ごめん、知ってるけど大丈夫だから。』
そう言うとヴィクトリアの手を取り、ダンスの輪に入っていく。
…だから何が大丈夫なのよ!
引きずり入れられたヴィクトリアはハロルドを睨みつけるもハロルドは嬉しそうにヴィクトリアの腰をホールドした。
『レイ!』
遠くで見ていたアレクセイは隣のレイモンドを睨みつけると
『妃殿下が他国の王太子のお相手を務めるは別に普通ですが?』
…知るかよ!そんな事まで。
2人がヴィクトリアとハロルドに視線を向けていると令嬢らをゾロゾロと連れたヴィオランテがやってきた。
『アレクセイ。』
またたく間に令嬢らに囲まれたアレクセイは王太子スマイルでヴィオランテを迎えた。
『母上、楽しんでおられますか?』
ヴィオランテは口角を少しだけ上げると
『息子のダンスを見たいわ。』
…さっき見てたろ?
心の声を押し殺し微笑む王太子にヴィオランテは名案を思い付いたかのように目の前の侯爵令嬢へ
『愚息のお相手をお願いできないかしら?』
大袈裟に首を傾げるヴィオランテに令嬢は困り果ててアレクセイを見るとアレクセイは王太子スマイル健在のまま
『お願い出来ますか?』
令嬢は差し伸べられた手に手を重ねた。
会場は黄色い歓声に包まれ2人のダンスを見守るかのように輪から外れそれを興味津々で見つめている。
その歓声を背中で受けたヴィクトリアは敢えて振り返る事はしなかった。その歓声から振り返らずともアレクセイが令嬢とダンスをしているのが分かるからだ。
ヴィクトリアは知っていた。アレクセイは婚約者であったステファニー、そして自分以外をエスコートする事は稀である事を。
…別に何も変わらない。今までだって何も無いのだから。
ヴィクトリアは己に言い聞かせるかのようにダンスを踊る。その様子を見つめているハロルドはヴィクトリアの耳元で
『注目持ってかれちゃったね?』
我に返ったヴィクトリアは
『返って良かったわ』
その一言を聞いたハロルドはニヤリと笑い
『それはどうかな?』
ヴィクトリアを抱き上げるとクルリと回し何だかよくわからないアクロバットな動きを見せ音楽が終わると2人に拍手喝采が起きたのである。最も2人の内の1人ヴィクトリアは目を白黒させ驚きのあまり放心していたのだが…
アレクセイはその拍手に紛れエスコートした令嬢に微笑むと急いで輪の中から外れようとするも次の相手は我こそはと言わんばかりに群がる令嬢らを退けながらアレクセイの前に出る。その令嬢にアレクセイは驚き目を見開いた。
流石の令嬢らもダンスのエスコートを自ら申し出る事はしない。あくまで待つものだ。それをもろともせず
『殿下、次は私をエスコートしてくださいまし。』
にっこり微笑むとアレクセイの耳元に顔を寄せ
『誰も娶れと言っているのではありません。一曲お願いしているだけですわ。』
アレクセイはニヤリと笑い微笑むと
『これはこれはサンライズ王女。私でよろしければ是非。』
アレクセイの差し出した手に手を重ねると2人はダンスの輪の中に入って行った。
流石の令嬢らも隣国の王女が相手ではいたし方あるまい。ヴィオランテもまた唇を噛み締め2人を見つめていたのである。
ヴィクトリアもレオンを連れてトンプソン領の橋を売り込みに回りアレクセイもまたレイモンドを連れて社交に繰り出していた。
『ヴィッキー!』
懐かしい呼び名にヴィクトリアは振り返るとハロルドがにこやかに現れた。
『色々世話になってすまないね。』
詫びを述べるには爽やか過ぎる笑顔を振りまくとハロルドはメープル王国の貴族令嬢の視線を集めていた。そんなものどこ吹く風。ハロルドはヴィクトリアに優しい眼差しを向けると
『相変わらず社交が上手いね。』
『お褒めに預かり光栄ですわ。』
2人は阿吽の呼吸にクスクスと笑うとハロルドは
『妃殿下、一曲お願い出来ますか?』
ヴィクトリアは青ざめるとハロルドに小声で返す。
『踊れない!』
ハロルドは不思議そうにヴィクトリアを見つめると
『だから!踊れないの!苦手なの!』
ハロルドはクスクスと笑い
『ごめん、知ってるけど大丈夫だから。』
そう言うとヴィクトリアの手を取り、ダンスの輪に入っていく。
…だから何が大丈夫なのよ!
引きずり入れられたヴィクトリアはハロルドを睨みつけるもハロルドは嬉しそうにヴィクトリアの腰をホールドした。
『レイ!』
遠くで見ていたアレクセイは隣のレイモンドを睨みつけると
『妃殿下が他国の王太子のお相手を務めるは別に普通ですが?』
…知るかよ!そんな事まで。
2人がヴィクトリアとハロルドに視線を向けていると令嬢らをゾロゾロと連れたヴィオランテがやってきた。
『アレクセイ。』
またたく間に令嬢らに囲まれたアレクセイは王太子スマイルでヴィオランテを迎えた。
『母上、楽しんでおられますか?』
ヴィオランテは口角を少しだけ上げると
『息子のダンスを見たいわ。』
…さっき見てたろ?
心の声を押し殺し微笑む王太子にヴィオランテは名案を思い付いたかのように目の前の侯爵令嬢へ
『愚息のお相手をお願いできないかしら?』
大袈裟に首を傾げるヴィオランテに令嬢は困り果ててアレクセイを見るとアレクセイは王太子スマイル健在のまま
『お願い出来ますか?』
令嬢は差し伸べられた手に手を重ねた。
会場は黄色い歓声に包まれ2人のダンスを見守るかのように輪から外れそれを興味津々で見つめている。
その歓声を背中で受けたヴィクトリアは敢えて振り返る事はしなかった。その歓声から振り返らずともアレクセイが令嬢とダンスをしているのが分かるからだ。
ヴィクトリアは知っていた。アレクセイは婚約者であったステファニー、そして自分以外をエスコートする事は稀である事を。
…別に何も変わらない。今までだって何も無いのだから。
ヴィクトリアは己に言い聞かせるかのようにダンスを踊る。その様子を見つめているハロルドはヴィクトリアの耳元で
『注目持ってかれちゃったね?』
我に返ったヴィクトリアは
『返って良かったわ』
その一言を聞いたハロルドはニヤリと笑い
『それはどうかな?』
ヴィクトリアを抱き上げるとクルリと回し何だかよくわからないアクロバットな動きを見せ音楽が終わると2人に拍手喝采が起きたのである。最も2人の内の1人ヴィクトリアは目を白黒させ驚きのあまり放心していたのだが…
アレクセイはその拍手に紛れエスコートした令嬢に微笑むと急いで輪の中から外れようとするも次の相手は我こそはと言わんばかりに群がる令嬢らを退けながらアレクセイの前に出る。その令嬢にアレクセイは驚き目を見開いた。
流石の令嬢らもダンスのエスコートを自ら申し出る事はしない。あくまで待つものだ。それをもろともせず
『殿下、次は私をエスコートしてくださいまし。』
にっこり微笑むとアレクセイの耳元に顔を寄せ
『誰も娶れと言っているのではありません。一曲お願いしているだけですわ。』
アレクセイはニヤリと笑い微笑むと
『これはこれはサンライズ王女。私でよろしければ是非。』
アレクセイの差し出した手に手を重ねると2人はダンスの輪の中に入って行った。
流石の令嬢らも隣国の王女が相手ではいたし方あるまい。ヴィオランテもまた唇を噛み締め2人を見つめていたのである。
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