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沈みゆく王妃
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『ルシャード、もう良い。ご苦労であった。』
アレクセイの言葉にヴィオランテとアン王女はアレクセイを凝視する。
『ルシャードの名誉の為に言っておく。ルシャードは今も昔も私の側近だよ。公にはしていないけどね?
アン王女、スパイとはね他国へ送るだけではないんだよ?最も優秀な人材はね、自分の側に置いて足元を固めるのさ。』
ヴィオランテは放心しながらも
『ルシャード、貴方いつから私を裏切っていたの?』
その問いに答えるはアレクセイ。
『母上、ルシャードは裏切るも何も私の命を忠実に実行していただけです。私が母上の企てに乗るよう指示したのですから。』
!
ヴィオランテは目を見開きアレクセイを見た。
『ルシャードは私が公爵令息にしたのですよ!』
『その借りは既に返しているでしょう?』
『いいえ、こんな裏切り…』
『良いですか?母上。ルシャードを公爵令息にしたのは母上個人ではない。王妃だから出来た事。ならばその恩はメープル王国に返すもので母上個人に返すものではありませんよ!ルシャードはメープル王国筆頭公爵家の立派な跡取りであり、王太子である私の自慢の側近ですよ。有り余る程、返してくれているよ。』
アレクセイの隣で国王は静かに頷いた。
その姿を見たヴィオランテはその場で泣き崩れ項垂れた。その姿を見届けるとアレクセイはアン王女に笑顔を纏い
『で?処刑部屋って?』
アン王女は開き直ると
『知らないわ。その男が処刑部屋って言ってたから。ただそれだけ。後は知らない。』
アン王女の開き直りにアレクセイは大きくため息を落とし
『あのね、アン王女。私が貴女を自由に王宮を動き回る事を承服すると思う?もちろん厳重に忍びを付けていたさ。』
アン王女は驚いた様に
『いつから?』
『初めから。』
アン王女はニヤリと笑うと
『嘘だわ。後付けね。そんなはずは無いもの。』
アレクセイは辟易としながらも
『嘘じゃないよ、王女との話しはこれだから本当苦手なんだ。あのね、私がヴィクトリアとの仲を取り持っているように錯覚させていたの。それが1番簡単だからね?君の姉御肌を利用させてもらっただけだよ。』
ニヤリと口角を上げているアン王女は鼻で笑っている。アレクセイはレイモンドに視線を送るとレイモンドは1つ頷き
『嘘ではありません。確かに私も我が国の情報を王女が知りすぎているのではないかと案じておりましたが、それも実は殿下が流している情報で、アン王女の知る事実と相違ないかを確認しておられました。相違なければそれで良いと。相違あれば他に情報源かあるのだと。』
眉をピクピクと痙攣させながらアン王女はレイモンドの話しに耳を傾けていた。
『そして早い段階からヴィオランテ様と王女の接点を知りヴィクトリア様を狙われいるのもお二人だと。もちろん茶会での騒動も虚言であることもしっかり調査されておりました。だから本日ヴィクトリア様がお一人で図書室に向かわれた際もきっちり忍びは付いておりましたから。』
『後付けだわ。みんなそう。ルシャードの話しに合わせた後付け。私を陥れようなんて無理よ!そもそもね、王妃が王太子妃を追放しようとしている。その手足となる男がいる。それだけの事でしょう?それがバレそうになったから他国の王女に罪をきせるだなんて。殿下、メープル王国の先行きは怪しいですわね?』
アレクセイは額を手で覆いながら
『君に我が国の行く末を案じてもらう必要はないよ。それにね罪をきせるのではない。母上は別に君の話しをしていないし、ルシャードはそもそも母上の手足ではないし私の命で動いていたと先ほど話したであろう?どうして堂々巡りになるんだよ。君との話しは…。申し訳ないがこれぐらいが限界だよ。
父上、日を改めてもよろしいですか?』
国王に視線を流すと国王もまた頭を抱えて辟易とした表情で大きく頷いた。
アレクセイの言葉にヴィオランテとアン王女はアレクセイを凝視する。
『ルシャードの名誉の為に言っておく。ルシャードは今も昔も私の側近だよ。公にはしていないけどね?
アン王女、スパイとはね他国へ送るだけではないんだよ?最も優秀な人材はね、自分の側に置いて足元を固めるのさ。』
ヴィオランテは放心しながらも
『ルシャード、貴方いつから私を裏切っていたの?』
その問いに答えるはアレクセイ。
『母上、ルシャードは裏切るも何も私の命を忠実に実行していただけです。私が母上の企てに乗るよう指示したのですから。』
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ヴィオランテは目を見開きアレクセイを見た。
『ルシャードは私が公爵令息にしたのですよ!』
『その借りは既に返しているでしょう?』
『いいえ、こんな裏切り…』
『良いですか?母上。ルシャードを公爵令息にしたのは母上個人ではない。王妃だから出来た事。ならばその恩はメープル王国に返すもので母上個人に返すものではありませんよ!ルシャードはメープル王国筆頭公爵家の立派な跡取りであり、王太子である私の自慢の側近ですよ。有り余る程、返してくれているよ。』
アレクセイの隣で国王は静かに頷いた。
その姿を見たヴィオランテはその場で泣き崩れ項垂れた。その姿を見届けるとアレクセイはアン王女に笑顔を纏い
『で?処刑部屋って?』
アン王女は開き直ると
『知らないわ。その男が処刑部屋って言ってたから。ただそれだけ。後は知らない。』
アン王女の開き直りにアレクセイは大きくため息を落とし
『あのね、アン王女。私が貴女を自由に王宮を動き回る事を承服すると思う?もちろん厳重に忍びを付けていたさ。』
アン王女は驚いた様に
『いつから?』
『初めから。』
アン王女はニヤリと笑うと
『嘘だわ。後付けね。そんなはずは無いもの。』
アレクセイは辟易としながらも
『嘘じゃないよ、王女との話しはこれだから本当苦手なんだ。あのね、私がヴィクトリアとの仲を取り持っているように錯覚させていたの。それが1番簡単だからね?君の姉御肌を利用させてもらっただけだよ。』
ニヤリと口角を上げているアン王女は鼻で笑っている。アレクセイはレイモンドに視線を送るとレイモンドは1つ頷き
『嘘ではありません。確かに私も我が国の情報を王女が知りすぎているのではないかと案じておりましたが、それも実は殿下が流している情報で、アン王女の知る事実と相違ないかを確認しておられました。相違なければそれで良いと。相違あれば他に情報源かあるのだと。』
眉をピクピクと痙攣させながらアン王女はレイモンドの話しに耳を傾けていた。
『そして早い段階からヴィオランテ様と王女の接点を知りヴィクトリア様を狙われいるのもお二人だと。もちろん茶会での騒動も虚言であることもしっかり調査されておりました。だから本日ヴィクトリア様がお一人で図書室に向かわれた際もきっちり忍びは付いておりましたから。』
『後付けだわ。みんなそう。ルシャードの話しに合わせた後付け。私を陥れようなんて無理よ!そもそもね、王妃が王太子妃を追放しようとしている。その手足となる男がいる。それだけの事でしょう?それがバレそうになったから他国の王女に罪をきせるだなんて。殿下、メープル王国の先行きは怪しいですわね?』
アレクセイは額を手で覆いながら
『君に我が国の行く末を案じてもらう必要はないよ。それにね罪をきせるのではない。母上は別に君の話しをしていないし、ルシャードはそもそも母上の手足ではないし私の命で動いていたと先ほど話したであろう?どうして堂々巡りになるんだよ。君との話しは…。申し訳ないがこれぐらいが限界だよ。
父上、日を改めてもよろしいですか?』
国王に視線を流すと国王もまた頭を抱えて辟易とした表情で大きく頷いた。
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