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初夜

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湯浴みを済ませると、マリーとルイザが張り切ってネグリジェの選定に入っている。
『ねえねえ、お飾りの妻よ?』と声を掛けると

『何を言ってるのですか?いいですか?初めが肝心なのです。お飾りであろうとなんであろうとやる時はやるのです。せめて美しく素敵な夜になる様、力になりますよ!』

『お飾りの妻だなんてこちらの貴族にバカにされないためにもリデュ様の色気でやり切るのです!』

『ちょっと待って、私お飾りで結構。ってかお飾り上等。貴族にバカにされたって全然平気!むしろ掛かってこい!よ。』

『リデュ様が平気でも私達は平気ではありません。西国筆頭公爵家令嬢ですよ。バカにされる言われはございませんよ。』

二人の熱量に敗北したリデュアンネは天使の様な白いベビードールに身を包みベッドに腰を下ろしている。

(これ、いつまで待つの?サルもドレスを着たサルには発情しないって向こうで寝てたりしたら私は朝までここに座って待ってんの?ってか風邪ひくわよ、これじゃあ‥)

ガチャガチャと隣の部屋に帰ってきた音に飛び上がりながら、激しい動悸を胸に扉を睨みつける。

(開くな!開くな!私はドレスを着たサルよ。)

しばらくしてもこちらに来る気配はない。部屋に戻ってきて何をしてるのか?
早く寝ろ!寝ろ!と、念を送り続けるリデュアンネだったが願い虚しく扉が開かれた。


‥まだ濡れた髪をバスタオルで拭きながらガウン一枚でのご登場。風邪引くぜおい!乾かしてこいよ‥

『悪い、遅くなった』

あからさまに固まる私に

『何をそんなに驚く?』

本当に不思議そうに聞くではないか。
いや貴方と違って慣れてないのよ。ってか初めてだしね。お飾りの妻にお気遣いなく。

『まさか、1年の白い結婚を経て国に帰りかつての婚約者と、と目論んでいるのか?』

カチン!
どんな思いでここまで来たのか、こいつは知らないだろうがそんな生半可な気持ちで来ては居ない。
くだらない西国の茶番を知る由もないこいつに何がわかるか。

『あぁ、俺にはわからん』

!なに?こいつ。人の心が読めるの?
目を泳がせる私に

『人の心は読めないぞ』

!!読んどるやないかい!!

『クックックッ読んでないさ。リデュアンネは心の声がダダ漏れだからな』

‥こいつ、こんな風に笑えるんだ。初めて見た笑顔に不本意ながら心がスッと軽くなったようなリデュアンネだった。



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