どちらの王妃でも問題ありません【完】

mako

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二人きりの馬車

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馬車は私達を乗せるとゆっくりと走り出した。

‥気まずい。何かお話しするにも言葉が見つからない‥ありがとうございました?いや、ごめんなさい?いや、雨に濡れて風邪ひきますよ?‥違うな‥


チラリと視線を上げると、殿下は足を組んでこちらを睨み付けている。すぐさま視線を下ろす‥


怒ってるよ、これ。

大きくため息を落とし殿下は口を開いた。

『全くこの国の女は信用出来ないな』

『ですから人質に監視を付けていらっしゃるのでしょう?にも関わらず公爵令嬢の手下を前に誰一人役立たず、私が捕らわれたなんて皮肉なものだわ!』

助けてもらった立場をすっかり忘れ睨み付けた。

『すまない‥』

え?なんつった?すまない?
‥それ、ずるいわ。


『こちらこそ申し訳ありませんでした。』

謝るしかない。


『何故、黙って1人で動いた?』

送られる視線は優しい。

『殿下のお力になりたかったのです。』

『私がそれを望むと?』

『いえ、私が望みました。』


あの時、公爵家に帰るつもりと言ったのは嘘ではない。公爵家は公爵家でも私の実家トゥモルデン公爵家ではなく、クラウディア様のご実家であるオブライアン公爵邸であったのだ。

確証はないものの、公爵が今回の黒幕ではないかと睨んでいる。
アンドレ様からも情報が取り、パズルのピースを埋めていこうとしていた矢先、クラウディア様のお粗末な計画も合わさって、訳のわからない事になっているのだ。

『リデュアンネ、君は私の力を低く見積もりすぎではないか?』

え?あなたが東国王太子として民を思い尽力している姿は知ってますが‥


『別にリデュアンネに監視を付けたつもりはない。護衛だ。』

『よく言いますわ!昨夜護衛に私を捕らえさせ拘束したではありませんか!私の部屋の前は何事かと思うくらいの護衛が張り付いておりましたわ!』

『それはそうだろう。西国の企みの全容が明らかになっていなかったのだ。危ない真似はさせられぬ。大人しく言う事を聞くリデュアンネではないであろう?』

まあ‥って、全容が明らかになって居なかったって明らかになったの?私はまだパズルのピースが埋まってないけど?


『クックックッ、相変わらず心の声が漏れておるぞ。これでも東国王太子だ。情報網は公爵令嬢より遥かにあるのだぞ。』

まじで?


殿下は静かに立ち上がり私の横に移動した。

『なあ、これでもずいぶんと我慢しているのだ。わかるか?私は生まれた時より王太子。厳しい環境のもとにあったが、望んだ物を手に入れられなかった事は無い。』



『私も生まれながらの公爵令嬢。そこそこ我慢無しの人生ですが。』


『そうであろうな。今でも我慢などしていないだろう?』

‥何か棘がありますね‥

『言っておきますが、一年間白い結婚でも国には戻れませんし、戻りません。離宮で死ぬまで暮らすのですからある程度好きにさせて貰わなければ割に合いわせんわ!』

殿下が私の方にゆるりと手をまわし、顔を私の肩にに預けた‥

眠いのかしら?ワガママ令嬢でも肩ぐらい貸しますわよ(笑)

『デュアン‥』

デュアン?‥   私の事ですか?

『先程の夜会でアルフレッドと話をしていたな?』


『クラウディア様のお話を信じていらっしゃるのですか?』

甘い空気から一転疑いの一言に頭に来た。

『そうではない。元婚約者であったのだ。二人にしか分からぬ事も話もあるのだろうな。』

『婚約者と言いましても、5歳の頃から決められた政略結婚ですのよ。そんな込み入ったお話しなどありませんわ。』

『‥向こうはそうではないだろうがな。』

『あちらも同じですわ。今日もお幸せそうでしたのに、クラウディア様がこんな事になりどうなるのかしら?』頭を悩ませる私に、

『存分鈍いな、デュアンは。まあ、あの二人の事はデュアンが悩む事は無い。
そういえばアンドレ・ブロイとも踊っておったな。耳元で、囁いていた。私とのダンスは一言も話さず睨み付けてきたくせにな。』


‥。どうした?殿下。雨に濡れておかしくなった?


『私とて男だ。』

‥存じております。

『私とて女ですわ』

呆れた様な眼差しで殿下はゆっくり目を閉じた。


眠たくて思考回路がバグってたのね。
ゆっくりお休み下さいね。殿下。






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