どちらの王妃でも問題ありません【完】

mako

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西国王太子として

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東国からの通達により西国でも貴族たちは忙しい日々を送っていた。

そんな中、処遇が定まらない西国王太子アルフレッドは側近を連れ東国に入っていた。
側近といっても、アルフレッドに付いていても帝国復活に伴い職を失う事になる。それでもかつてからの3人だけは離れず共に歩んでくれている。



重たい扉が開きハインリッヒ国王が入ってくるとアルフレッドは最上級の礼を取る。

『よい。』

短く言うとゆっくりと椅子に腰を下ろす。


長い沈黙が流れる。処刑を覚悟した身でありながらこうしてここに居るアルフレッド。アルフレッドは穏やかに口を開く。

『兄上‥』

ピクリと眉を上げるハインリッヒ。

『私がこうしてここに居るのは、貴方の慈悲でしょうか?』

『‥何が言いたい?』

『私はどうしたらよろしいのでしょうか?』
アルフレッドは真っ直ぐに見つめる先には、氷の表情のハインリッヒ。

『まず言っておく。私は貴方の兄ではない。』

『もちろん公ではそうでございます。ですがその可能性はゼロでは無いはずです。そもそもオリビア帝国の皇帝となられる貴方の血が東国でも西国でもどちらの血であろうと問題ではございません。』

前回の様に企みなどない素直な言葉にハインリッヒも素直に答える。

『だとしたら何だ?』

『私を弟として見て頂きたいのです。』

『何故?』

『リデュをリデュアンネ様、皇后として捉えたいのです。私も西国王太子。王族です。オリビア帝国皇族の血を引く身。生きている以上会う機会は多くありましょう。この気持ちのままでは辛すぎる。けじめを‥つけたい。』

『‥』

『もちろん私と貴方だけの秘事で結構です。あくまで意志の共有で構いません。それが無理なのであれば‥私を処刑にしてください。』


長い沈黙が流れる。
死を恐れる事の無いアルフレッドにハインリッヒは
一言答える。

『分かった。オリビア帝国の皇族の血を引く我々は公にも身内である。好きに解釈するが良い。』

氷の表情が一瞬緩み口角を上げたのを見逃さなかったアルフレッドは静かに瞳を閉じた。
しばらくしそっと目を明け謝意を述べ王宮を後にした。


一人になったハインリッヒは大きく息を吐いた。

アルフレッドを弟としてみた事など一度も無い。
がしかし彼もまた王太子として孤独な日々を送っていたのだと感じた。自分も孤独との闘いの中、母上とテオドールが居てくれた。そして結果、リデュアンネまでも居る。

一方のアルフレッドは兄弟が居ない。一人の王太子として一身に期待を受け、完璧なまでの王子となっていた。完璧な王子様像はアルフレッドなりの戦略であったのだろう。

お互い心内は悟られてはならない身。アルフレッドの孤独感は誰よりも理解できるハインリッヒ。

恐らくリデュアンネへの愛も本物であったのだと思う。それを兄嫁として捉える事でけじめをつけようとするアルフレッドの意志をハインリッヒは受け入れたのだ。

氷の表情が溶け、一人静かに微笑んだ。



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