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吉報は再びやってくる
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宮殿の工事がいきなり始まりだした。
『まぁ、いきなりどうされましたか?』
リデュアンネはハインリッヒに問うが答えるのはマリー。
『リデュ様のお子様がお生まれになりましたら、リデュ様が独占され仲間はずれになりますでしょう?それを恐れた殿下が先手を打たれたのですわ。』
眉間にシワを寄せたハインリッヒは
『マリー、リデュ様のお子様では無く、私とデュアンのお子様だ!』
マリーもまた眉間にシワを寄せ
『ちっさ!』
‥
マリーの言う通り、今までのリデュアンネの部屋は、新しく部屋が出来上がるまでは今まで通りであるが、神聖なる寝室はハインリッヒの部屋となり、今までのハインリッヒの部屋は執務室としてハインリッヒが執務を行っている。
『職権乱用もいいとこだわ‥』
呟くマリーに
『おい!ルイザはどこだ?この頭の軽過ぎるマリーには頭の固すぎるルイザがおらねば、勝手に暴走するぞ!』
声を上げるハインリッヒだが、この二人のやり取りもご懐妊チームの日常であった。
ハインリッヒが臨時の執務室で仕事をするようになると、必然的にリデュアンネとマリーとルイザ、ハインリッヒとその側近でもあるアルフレッドとテオドールは同じ時間を過ごす事が多くなった。
この日も午後になりテラスでミニお茶会中である。
『呼ばれましたか?殿下。』
ルイザの声に一斉に振り向くと、そこには令嬢いや、メガネを外し髪を下ろしたルイザがアルフレッドとともに現れた。
これで全員集合だわ!リデュアンネは皆を見ながら微笑んだ。
『殿下、あの‥この度婚約をすることになりまして』
にこやかなアルフレッドだが、テオドールとハインリッヒは顔を見合わせ無言である。
『まさか、令嬢の中の令嬢ではあるまいな?』
あからさまに構える二人に、アルフレッドは
『候爵令嬢ではありますが、とても美しく頭の良い令嬢ですよ。』
自慢気に答えるが、テオドールは
『ますますマズいやつではないか!美しく頭の良いとは、御前は学習能力が無いのか‥』
肩を落とすテオドールを横目で見ながら
『はぁ、まあよい。いつでも会うぞ‥』
ハインリッヒは優雅にカップを手に話す。
『はい、ですから本日連れて参りました!』
にこやかに笑うアルフレッドの後ろを皆が覗き見るが‥
誰も居ない‥。
『どこで待たせている?良いからここに連れてこい。』
ハインリッヒはお茶を味わう。
『ですからここに。』
アルフレッドはルイザを見つめる。
!!!
声の出ない、ご懐妊チームの面々。
ルイザはカーテシーをし
『ルイザ・ハウエルでございます。』
静まり返る庭園に柔らかな風が抜ける。
『ど、どういう言だ?』
目をパチクリしながらハインリッヒはようやく言葉を発した。
『何か問題ございますか?』
不思議そうに問うアルフレッドにハインリッヒはルイザを
チラリと見て
『い、いや、そうではなくて、その、いきなりだからなぁ?テオ?』
テオドールに振る。
『はぁ、まぁ。』
こちらもやっとの事で絞り出したひと言。
『キャー♡ルイザったらどうして教えてくれなかったの?っていつから?何で?どうして?こうなったの?』
日頃は煩がられるマリーであったが、ハインリッヒとテオドールの気持ちを代弁したかのようで、二人共黙って頷く。
そんな中一人、感極まり涙を浮かべるリデュアンネ。
リデュアンネは知っていた。
幼い頃からルイザはアルフレッドの事を好いていた。それでも貴族同士の決め事に従わなくてはならない公爵令嬢と候爵令嬢。想い叶わずとも、ただ側で見守りたいと言うルイザの気持ちを尊重しここまで連れてきたのだ。
ルイザはリデュアンネにとって数少ない親友であった。その親友を侍女として迎え入れるのは正直辛かったが、一途に想うルイザを慮ったのだ。もちろんルイザとアルフレッドの婚約など、西国に居た時は考えられもしなかった。筆頭公爵令嬢な自分が居たのだから。だからお互い自分の定められた運命を全うすると固く約束したものだ。
これまでの事を走馬灯の様に頭を巡らせるリデュアンネであった。
『え~ご懐妊チームの中で、くっついちゃったら次は私とテオドール様?』
突然の名指しに思わず、ナイナイと首を振るテオドール。
『え~それだけはNO THANK YOUですわよね~?リデュ様、ルイザ!』
勝手に振られた様になっているテオドールは頭を掻きむしる。
この、ご懐妊チームの爵位はかなり高い。その中で唯一の子爵令嬢であるマリーが、ここでは1番強いのであった。
『まぁ、いきなりどうされましたか?』
リデュアンネはハインリッヒに問うが答えるのはマリー。
『リデュ様のお子様がお生まれになりましたら、リデュ様が独占され仲間はずれになりますでしょう?それを恐れた殿下が先手を打たれたのですわ。』
眉間にシワを寄せたハインリッヒは
『マリー、リデュ様のお子様では無く、私とデュアンのお子様だ!』
マリーもまた眉間にシワを寄せ
『ちっさ!』
‥
マリーの言う通り、今までのリデュアンネの部屋は、新しく部屋が出来上がるまでは今まで通りであるが、神聖なる寝室はハインリッヒの部屋となり、今までのハインリッヒの部屋は執務室としてハインリッヒが執務を行っている。
『職権乱用もいいとこだわ‥』
呟くマリーに
『おい!ルイザはどこだ?この頭の軽過ぎるマリーには頭の固すぎるルイザがおらねば、勝手に暴走するぞ!』
声を上げるハインリッヒだが、この二人のやり取りもご懐妊チームの日常であった。
ハインリッヒが臨時の執務室で仕事をするようになると、必然的にリデュアンネとマリーとルイザ、ハインリッヒとその側近でもあるアルフレッドとテオドールは同じ時間を過ごす事が多くなった。
この日も午後になりテラスでミニお茶会中である。
『呼ばれましたか?殿下。』
ルイザの声に一斉に振り向くと、そこには令嬢いや、メガネを外し髪を下ろしたルイザがアルフレッドとともに現れた。
これで全員集合だわ!リデュアンネは皆を見ながら微笑んだ。
『殿下、あの‥この度婚約をすることになりまして』
にこやかなアルフレッドだが、テオドールとハインリッヒは顔を見合わせ無言である。
『まさか、令嬢の中の令嬢ではあるまいな?』
あからさまに構える二人に、アルフレッドは
『候爵令嬢ではありますが、とても美しく頭の良い令嬢ですよ。』
自慢気に答えるが、テオドールは
『ますますマズいやつではないか!美しく頭の良いとは、御前は学習能力が無いのか‥』
肩を落とすテオドールを横目で見ながら
『はぁ、まあよい。いつでも会うぞ‥』
ハインリッヒは優雅にカップを手に話す。
『はい、ですから本日連れて参りました!』
にこやかに笑うアルフレッドの後ろを皆が覗き見るが‥
誰も居ない‥。
『どこで待たせている?良いからここに連れてこい。』
ハインリッヒはお茶を味わう。
『ですからここに。』
アルフレッドはルイザを見つめる。
!!!
声の出ない、ご懐妊チームの面々。
ルイザはカーテシーをし
『ルイザ・ハウエルでございます。』
静まり返る庭園に柔らかな風が抜ける。
『ど、どういう言だ?』
目をパチクリしながらハインリッヒはようやく言葉を発した。
『何か問題ございますか?』
不思議そうに問うアルフレッドにハインリッヒはルイザを
チラリと見て
『い、いや、そうではなくて、その、いきなりだからなぁ?テオ?』
テオドールに振る。
『はぁ、まぁ。』
こちらもやっとの事で絞り出したひと言。
『キャー♡ルイザったらどうして教えてくれなかったの?っていつから?何で?どうして?こうなったの?』
日頃は煩がられるマリーであったが、ハインリッヒとテオドールの気持ちを代弁したかのようで、二人共黙って頷く。
そんな中一人、感極まり涙を浮かべるリデュアンネ。
リデュアンネは知っていた。
幼い頃からルイザはアルフレッドの事を好いていた。それでも貴族同士の決め事に従わなくてはならない公爵令嬢と候爵令嬢。想い叶わずとも、ただ側で見守りたいと言うルイザの気持ちを尊重しここまで連れてきたのだ。
ルイザはリデュアンネにとって数少ない親友であった。その親友を侍女として迎え入れるのは正直辛かったが、一途に想うルイザを慮ったのだ。もちろんルイザとアルフレッドの婚約など、西国に居た時は考えられもしなかった。筆頭公爵令嬢な自分が居たのだから。だからお互い自分の定められた運命を全うすると固く約束したものだ。
これまでの事を走馬灯の様に頭を巡らせるリデュアンネであった。
『え~ご懐妊チームの中で、くっついちゃったら次は私とテオドール様?』
突然の名指しに思わず、ナイナイと首を振るテオドール。
『え~それだけはNO THANK YOUですわよね~?リデュ様、ルイザ!』
勝手に振られた様になっているテオドールは頭を掻きむしる。
この、ご懐妊チームの爵位はかなり高い。その中で唯一の子爵令嬢であるマリーが、ここでは1番強いのであった。
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