どちらの王妃でも問題ありません【完】

mako

文字の大きさ
91 / 93

吉報は再びやってくる

しおりを挟む
宮殿の工事がいきなり始まりだした。

『まぁ、いきなりどうされましたか?』

リデュアンネはハインリッヒに問うが答えるのはマリー。

『リデュ様のお子様がお生まれになりましたら、リデュ様が独占され仲間はずれになりますでしょう?それを恐れた殿下が先手を打たれたのですわ。』

眉間にシワを寄せたハインリッヒは

『マリー、リデュ様のお子様では無く、私とデュアンのお子様だ!』

マリーもまた眉間にシワを寄せ

『ちっさ!』



マリーの言う通り、今までのリデュアンネの部屋は、新しく部屋が出来上がるまでは今まで通りであるが、神聖なる寝室はハインリッヒの部屋となり、今までのハインリッヒの部屋は執務室としてハインリッヒが執務を行っている。


『職権乱用もいいとこだわ‥』

呟くマリーに

『おい!ルイザはどこだ?この頭の軽過ぎるマリーには頭の固すぎるルイザがおらねば、勝手に暴走するぞ!』
声を上げるハインリッヒだが、この二人のやり取りもご懐妊チームの日常であった。



ハインリッヒが臨時の執務室で仕事をするようになると、必然的にリデュアンネとマリーとルイザ、ハインリッヒとその側近でもあるアルフレッドとテオドールは同じ時間を過ごす事が多くなった。

この日も午後になりテラスでミニお茶会中である。


『呼ばれましたか?殿下。』


ルイザの声に一斉に振り向くと、そこには令嬢いや、メガネを外し髪を下ろしたルイザがアルフレッドとともに現れた。

これで全員集合だわ!リデュアンネは皆を見ながら微笑んだ。


『殿下、あの‥この度婚約をすることになりまして』


にこやかなアルフレッドだが、テオドールとハインリッヒは顔を見合わせ無言である。
『まさか、令嬢の中の令嬢ではあるまいな?』


あからさまに構える二人に、アルフレッドは

『候爵令嬢ではありますが、とても美しく頭の良い令嬢ですよ。』

自慢気に答えるが、テオドールは


『ますますマズいやつではないか!美しく頭の良いとは、御前は学習能力が無いのか‥』

肩を落とすテオドールを横目で見ながら

『はぁ、まあよい。いつでも会うぞ‥』
ハインリッヒは優雅にカップを手に話す。

『はい、ですから本日連れて参りました!』

にこやかに笑うアルフレッドの後ろを皆が覗き見るが‥
誰も居ない‥。

『どこで待たせている?良いからここに連れてこい。』
ハインリッヒはお茶を味わう。

『ですからここに。』

アルフレッドはルイザを見つめる。



!!!
声の出ない、ご懐妊チームの面々。

ルイザはカーテシーをし
『ルイザ・ハウエルでございます。』


静まり返る庭園に柔らかな風が抜ける。

『ど、どういう言だ?』

目をパチクリしながらハインリッヒはようやく言葉を発した。

『何か問題ございますか?』
不思議そうに問うアルフレッドにハインリッヒはルイザを
チラリと見て

『い、いや、そうではなくて、その、いきなりだからなぁ?テオ?』

テオドールに振る。

『はぁ、まぁ。』

こちらもやっとの事で絞り出したひと言。


『キャー♡ルイザったらどうして教えてくれなかったの?っていつから?何で?どうして?こうなったの?』

日頃は煩がられるマリーであったが、ハインリッヒとテオドールの気持ちを代弁したかのようで、二人共黙って頷く。

そんな中一人、感極まり涙を浮かべるリデュアンネ。
リデュアンネは知っていた。

幼い頃からルイザはアルフレッドの事を好いていた。それでも貴族同士の決め事に従わなくてはならない公爵令嬢と候爵令嬢。想い叶わずとも、ただ側で見守りたいと言うルイザの気持ちを尊重しここまで連れてきたのだ。

ルイザはリデュアンネにとって数少ない親友であった。その親友を侍女として迎え入れるのは正直辛かったが、一途に想うルイザを慮ったのだ。もちろんルイザとアルフレッドの婚約など、西国に居た時は考えられもしなかった。筆頭公爵令嬢な自分が居たのだから。だからお互い自分の定められた運命を全うすると固く約束したものだ。

これまでの事を走馬灯の様に頭を巡らせるリデュアンネであった。


『え~ご懐妊チームの中で、くっついちゃったら次は私とテオドール様?』

突然の名指しに思わず、ナイナイと首を振るテオドール。

『え~それだけはNO THANK YOUですわよね~?リデュ様、ルイザ!』

勝手に振られた様になっているテオドールは頭を掻きむしる。

この、ご懐妊チームの爵位はかなり高い。その中で唯一の子爵令嬢であるマリーが、ここでは1番強いのであった。






しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

偽聖女として私を処刑したこの世界を救おうと思うはずがなくて

奏千歌
恋愛
【とある大陸の話①:月と星の大陸】 ※ヒロインがアンハッピーエンドです。  痛めつけられた足がもつれて、前には進まない。  爪を剥がされた足に、力など入るはずもなく、その足取りは重い。  執行官は、苛立たしげに私の首に繋がれた縄を引いた。  だから前のめりに倒れても、後ろ手に拘束されているから、手で庇うこともできずに、処刑台の床板に顔を打ち付けるだけだ。  ドッと、群衆が笑い声を上げ、それが地鳴りのように響いていた。  広場を埋め尽くす、人。  ギラギラとした視線をこちらに向けて、惨たらしく殺される私を待ち望んでいる。  この中には、誰も、私の死を嘆く者はいない。  そして、高みの見物を決め込むかのような、貴族達。  わずかに視線を上に向けると、城のテラスから私を見下ろす王太子。  国王夫妻もいるけど、王太子の隣には、王太子妃となったあの人はいない。  今日は、二人の婚姻の日だったはず。  婚姻の禍を祓う為に、私の処刑が今日になったと聞かされた。  王太子と彼女の最も幸せな日が、私が死ぬ日であり、この大陸に破滅が決定づけられる日だ。 『ごめんなさい』  歓声をあげたはずの群衆の声が掻き消え、誰かの声が聞こえた気がした。  無機質で無感情な斧が無慈悲に振り下ろされ、私の首が落とされた時、大きく地面が揺れた。

蔑ろにされた王妃と見限られた国王

奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています 国王陛下には愛する女性がいた。 彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。 私は、そんな陛下と結婚した。 国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。 でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。 そしてもう一つ。 私も陛下も知らないことがあった。 彼女のことを。彼女の正体を。

【完結】偽物聖女は冷血騎士団長様と白い結婚をしたはずでした。

雨宮羽那
恋愛
 聖女補佐官であるレティノアは、補佐官であるにも関わらず、祈りをささげる日々を送っていた。  というのも、本来聖女であるはずの妹が、役目を放棄して遊び歩いていたからだ。  そんなある日、妹が「真実の愛に気づいたの」と言って恋人と駆け落ちしてしまう。  残されたのは、聖女の役目と――王命によって決められた聖騎士団長様との婚姻!?  レティノアは、妹の代わりとして聖女の立場と聖騎士団長との結婚を押し付けられることに。  相手のクラウスは、「血も涙もない冷血な悪魔」と噂される聖騎士団長。クラウスから「俺はあなたに触れるつもりはない」と言い放たれたレティノアは、「これは白い結婚なのだ」と理解する。  しかし、クラウスの態度は噂とは異なり、レティノアを愛しているようにしか思えなくて……?  これは、今まで妹の代わりの「偽物」として扱われてきた令嬢が「本物」として幸せをつかむ物語。 ◇◇◇◇ お気に入り登録、♡、感想などいただければ、作者が大変喜びます! モチベになるので良ければ応援していただければ嬉しいです♪ ※いつも通りざまぁ要素は中盤以降。 ※完結まで執筆済み ※表紙はAIイラストです ※小説内容にはAI不使用です。 ※「小説家になろう」「エブリスタ」「カクヨム」様にも掲載しております。

【完結】 私を忌み嫌って義妹を贔屓したいのなら、家を出て行くのでお好きにしてください

ゆうき
恋愛
苦しむ民を救う使命を持つ、国のお抱えの聖女でありながら、悪魔の子と呼ばれて忌み嫌われている者が持つ、赤い目を持っているせいで、民に恐れられ、陰口を叩かれ、家族には忌み嫌われて劣悪な環境に置かれている少女、サーシャはある日、義妹が屋敷にやってきたことをきっかけに、聖女の座と婚約者を義妹に奪われてしまった。 義父は義妹を贔屓し、なにを言っても聞き入れてもらえない。これでは聖女としての使命も、幼い頃にとある男の子と交わした誓いも果たせない……そう思ったサーシャは、誰にも言わずに外の世界に飛び出した。 外の世界に出てから間もなく、サーシャも知っている、とある家からの捜索願が出されていたことを知ったサーシャは、急いでその家に向かうと、その家のご子息様に迎えられた。 彼とは何度か社交界で顔を合わせていたが、なぜかサーシャにだけは冷たかった。なのに、出会うなりサーシャのことを抱きしめて、衝撃の一言を口にする。 「おお、サーシャ! 我が愛しの人よ!」 ――これは一人の少女が、溺愛されながらも、聖女の使命と大切な人との誓いを果たすために奮闘しながら、愛を育む物語。 ⭐︎小説家になろう様にも投稿されています⭐︎

とっていただく責任などありません

まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、 団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。 この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!? ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。 責任を取らなければとセルフイスから、 追いかけられる羽目に。

【長編版】この戦いが終わったら一緒になろうと約束していた勇者は、私の目の前で皇女様との結婚を選んだ

・めぐめぐ・
恋愛
神官アウラは、勇者で幼馴染であるダグと将来を誓い合った仲だったが、彼は魔王討伐の褒美としてイリス皇女との結婚を打診され、それをアウラの目の前で快諾する。 アウラと交わした結婚の約束は、神聖魔法の使い手である彼女を魔王討伐パーティーに引き入れるためにダグがついた嘘だったのだ。 『お前みたいな、ヤれば魔法を使えなくなる女となんて、誰が結婚するんだよ。神聖魔法を使うことしか取り柄のない役立たずのくせに』 そう書かれた手紙によって捨てらたアウラ。 傷心する彼女に、同じパーティー仲間の盾役マーヴィが、自分の故郷にやってこないかと声をかける。 アウラは心の傷を癒すため、マーヴィとともに彼の故郷へと向かうのだった。 捨てられた主人公がパーティー仲間の盾役と幸せになる、ちょいざまぁありの恋愛ファンタジー長編版。 --注意-- こちらは、以前アップした同タイトル短編作品の長編版です。 一部設定が変更になっていますが、短編版の文章を流用してる部分が多分にあります。 二人の関わりを短編版よりも増しましたので(当社比)、ご興味あれば是非♪ ※色々とガバガバです。頭空っぽにしてお読みください。 ※力があれば平民が皇帝になれるような世界観です。

完】異端の治癒能力を持つ令嬢は婚約破棄をされ、王宮の侍女として静かに暮らす事を望んだ。なのに!王子、私は侍女ですよ!言い寄られたら困ります!

仰木 あん
恋愛
マリアはエネローワ王国のライオネル伯爵の長女である。 ある日、婚約者のハルト=リッチに呼び出され、婚約破棄を告げられる。 理由はマリアの義理の妹、ソフィアに心変わりしたからだそうだ。 ハルトとソフィアは互いに惹かれ、『真実の愛』に気付いたとのこと…。 マリアは色々な物を継母の連れ子である、ソフィアに奪われてきたが、今度は婚約者か…と、気落ちをして、実家に帰る。 自室にて、過去の母の言葉を思い出す。 マリアには、王国において、異端とされるドルイダスの異能があり、強力な治癒能力で、人を癒すことが出来る事を… しかしそれは、この国では迫害される恐れがあるため、内緒にするようにと強く言われていた。 そんな母が亡くなり、継母がソフィアを連れて屋敷に入ると、マリアの生活は一変した。 ハルトという婚約者を得て、家を折角出たのに、この始末……。 マリアは父親に願い出る。 家族に邪魔されず、一人で静かに王宮の侍女として働いて生きるため、再び家を出るのだが……… この話はフィクションです。 名前等は実際のものとなんら関係はありません。

【連載版】婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
短編では、なろうの方で異世界転生・恋愛【1位】ありがとうございます! 読者様の方からの連載の要望があったので連載を開始しました。 シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます! ※連載のためタイトル回収は結構後ろの後半からになります。

処理中です...