貴方に嫌われたくなくて【完】

mako

文字の大きさ
4 / 47

サエラ王国

しおりを挟む
リディアンネは窓を開け大きく息を吸った。

サエラ王国へ一人だけで戻ったリディアンネは姉ら2人の執務までも背負いぐったりとしていた。


『王女、お2人は今頃熾烈な争いに挑まれているのです。我が国の為に!』


『わかってる、わかってるわよ!だからやっているでしょう!』


リディアンネは側近であるジュールを睨みつけるとジュールは気にする事もなく通常の3倍程になる書類をリディアンネのデスクにしれっと置いた。


『どころで今日は朝から騒がしいけど何かあるのかしら?』

ジュールはあからさまにため息を一つ。


『今日は帝国からの遣いが我が国に入られますので。先日殿下がお話になっておられましたよね?』


…そんな前の事忘れたわよ。せめて前日に話してもらいたいわよね。


『で?何しに来んの?』


ジロリと睨みつけるジュールに


『で?何をしにいらっしゃるのかしら?』



『それはわかりませんよ。』


…わからんのか~い!



リディアンネは2人の姉を思いながら山の様な書類と格闘することにした。






廊下が騒がしくなり執務室の扉がノックされる事もなく開かれると弟のフレディックが駆け込んできた。



『リディ!』


息を切らすフレディックに


『全くもっと軽やかに走りなさいよ。ドタバタと走り込んで…みっともないわよ?』

顔を顰めるリディアンネにジュールは

『廊下は軽やかでも走り込んではなりませんが?



『そんな事はよい!すぐに謁見の間へ!兄上がお呼びです!』 


リディアンネとジュールは顔を合わせると急いで言われた通り謁見の間へ向かった。




大きな両開きの扉の前で2人は息を整えると扉が開かれた。


国王陛下と王太子であるアドルフが帝国からの遣いとにこやかに話していると、リディアンネに気づいたアドルフが立ち上がりリディアンネを遣いに紹介する。


『こちらが我が国第3王女のリディアンネでございます。』


リディアンネは困惑しながらも王女らしく膝を折り


『リディアンネ・サラエでございます。以後お見知り置きを』


リディアンネが顔を上げると立ち上がっていた遣いの中央には、あのアルフォンスがにこやかに微笑んでいた。





リディアンネは驚きアドルフを見るとアドルフはにこやかに微笑んでから


『このアルフォンス殿は帝国大公殿下のご子息だ。』



…んな事知ってるわよ!



『お前との縁談の為に自ら遥々来られたのだ。』



…。


『えっと…今は帝国では皇太子妃選定の最中では?』


アルフォンスは優しく微笑むと

『はい、段取りだけ付けて、こちらに参りました。』


…な、なるほど。で?誰と誰?



固まるリディアンネに代わりアドルフは


『申し訳ありません。このような名誉が信じられないのかこの通りです(笑)こちらは喜んでお受けしますよ!』


放心するリディアンネにアルフォンスは


『王女、貴女はどうですか?』


黙って頷くリディアンネの前に跪くとリディアンネの手を取り


『私、アルフォンス・ワイオットは生涯貴女だけを愛する事を誓います。』

アルフォンスはリディアンネの手の甲にキスを落とすとリディアンネは真っ赤になったかと思えば緊張のあまりその意識を手放した。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております

紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。 二年後にはリリスと交代しなければならない。 そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。 普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

今さらやり直しは出来ません

mock
恋愛
3年付き合った斉藤翔平からプロポーズを受けれるかもと心弾ませた小泉彩だったが、当日仕事でどうしても行けないと断りのメールが入り意気消沈してしまう。 落胆しつつ帰る道中、送り主である彼が見知らぬ女性と歩く姿を目撃し、いてもたってもいられず後を追うと二人はさっきまで自身が待っていたホテルへと入っていく。 そんなある日、夢に出てきた高木健人との再会を果たした彩の運命は少しずつ変わっていき……

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

処理中です...