貴方に嫌われたくなくて【完】

mako

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初夜

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出来る侍女らがテキパキとリディアンネを初夜に送り出すべく仕上げていく。リディアンネはお人形のように大人しく、されるがまま侍女らの仕事ぶりを眺めている。そして自らの姿をマジマジと見て赤面していく…。


…これが王宮ならば恥ずかしさを茶化したりするんだけど…ここでは無理よね。


この状態を茶化さず大人しく突っ立つ程恥ずかしいものはない。


ルイザはリディアンネを促しアルフォンスの部屋の扉を開けると

『素敵な夜を…』


まるでテンプレートがあるかのように語ると侍女を連れて出て行った。


リディアンネはアルフォンスの部屋を見渡すとソファに腰を降ろすものの…


…この格好でソファはアンバランスだわ。


静かに立ち上がると奥のベッドに腰を降ろした。



リディアンネはそもそも初夜については無知である。姉2人から1から10まで根掘り葉掘りと尋ねるつもりであったはずが、何故だが自分が初っ端になってしまったのである。


…マズイわ。何にもわからないわ…


動揺しながら頭を巡らせているとガチャリと扉が開きアルフォンスが入ってきた。アルフォンスはリディアンネを見ると

『っすまない!』


さっとリディアンネに背を向けた。


…なに?


リディアンネはたちまち不安になる。



…。


しばらくの沈黙の後



『いきなり申し訳ない。その、えっと…初夜は…リディアンネとはまだ2回しか会っていないだろ?』



…私は何度も見てましたけど…


『だからリディアンネの気持ちを尊重したいんだ。リディアンネが本当の意味で私の妻となった時に初夜を迎えたいと思う。』


…?本当の意味で?って私は妻ではないのか?



リディアンネはアルフォンスの言う意味かわからず頭を捻るも


…あぁそうですかって部屋に戻るのかしら?私。



どうすべきか思案していると



『その、そうゆう事になる前に一緒に眠るのは、私も男だから…』


…?


リディアンネはよくわからないが、初夜について学べる時間ができたのだと捉えてわからないまま静かに部屋を出た。



…良かった。って良かったのかしら?


…とりあえず今夜は寝よ♡



リディアンネは笑顔でふかふかのベッドに飛び込んだ。




…。


アルフォンスは頭を抱えたまま明け方までベッドに座り込んでいた。

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