貴方に嫌われたくなくて【完】

mako

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不器用な2人

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アルフォンスはリディアンネとの時間を重ねていく中で自分に好意を持ってもらえるように尽力するつもりであった。はずが…朝は早くから登城し夜はあの日からリディアンネは自分の部屋で休んでいる。


…リディアンネとの時間が無い!


そうなるとリディアンネからの好意どころかいっこうに距離は縮まらないのである。



『アル、どうした?』


ユリウスの言葉にハッと顔を上げるとユリウスはアルフォンスの顔を覗き込み


『新婚の夫の顔ではないぞ?』


痛い所をついてくる。

『ところで夫人は元気にしてるのか?一度私もお祝いがしたいから登城するように伝えてくれ』


…。


押し黙るアルフォンスに



『なに?もう崩壊してるの?早くない?』



アルフォンスは八つ当たりするかのように


『崩壊も何もまだ何も積み上げられてませんよ。こう執務が立て込んでいるのですから!』


ユリウスを睨みつけると全てを察したかのように



『話してみろ』


ユリウスはアルフォンスをソファに座らせると自分もその前に腰を降ろした。








アルフォンスからの話を聞いたユリウスは眉を下げてアルフォンスを見つめる。



『何?その目は!』



憤るアルフォンスにユリウスは呆れたように



『それで?そのまま追い返したの?』


『追い返してはいない。』



『一緒だよ!それから会えてないんだろ?』



…。



『初夜の為に準備され送り出された王女は用無しとばかりに返された。悲劇のヒロインものにありそうだな。』


関心するユリウスに


『用無しとは違う!リディアンネはとても妖艶に仕上げられていたよ!』


『だろうね。大公家の一流の侍女らだもんね。だけど実際指一本触れず追い返したんだろ?王女はもちろん侍女らも落胆しただろうね?』


…。



『大切にするのと蔑ろにするのとではわけが違うからね?』


『蔑ろだなんて!』


『そう思われても仕方ないって事。仮にも王女だぞ?それなりに教育はされているし初夜の重要性も理解しているはずだ。それがだ。お前は王女のプライドまでも傷つけたって事。』


ユリウスはそれだけ言うと言いっ放しでアルフォンスの執務室を出て行った。









一方のリディアンネはあれから初夜について学びたくてもまず教えを乞うものが見当たらない。


…困ったわ。


何日も悩むも答えは出ず、仕方なくリディアンネは今出来る事を考え一つの名案に辿り着いた。


…まずはとにかく使用人たちを取り込む事だわ!



リディアンネはエリート集団を前に先ずは自らが歩み寄る戦法を取ることにした。







エリートたちは表情を隠したかのように揃ってリディアンネの前に立ち背筋を伸ばしている。


…。


リディアンネもまた凛と背筋を伸ばしてその視線を受けていた。





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