貴方に嫌われたくなくて【完】

mako

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2人の距離

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アルフォンスは毎日忙しく、あまりリディアンネとの時間を持てなくなっていた。

その一つにユリウスの妃選定が難航している事があった。何故かユリウスは妃選定に乗り気では無くなり先ずはサエラ王国の2人の王女を国に返したのである。




『どうされました?』


リディアンネはアルフォンスの顔色を案じると


『ユリウスが勝手な事を言い出してね。皇太子妃との婚儀の時期は決まってるんだ。逆算しても、もう決まっていなければ間に合わないよ。』


乱暴に引き出しを閉めるアルフォンスにリディアンネは少し驚きながらも


『殿下にも殿下のお考えがあるのでしょう。』


リディアンネは小さく笑ってみせたその時、アルフォンスの顔色が明らかに変わり


『君は殿下の何を知ってるの?』


『…。』


『殿下はね、君が思ってるような人間ではないよ?』



…私が思ってる人間って?



リディアンネは頭を巡るも答えは出ない。


『疲れた。もう休むよ。』


アルフォンスは1人ベッドに入るとリディアンネは私室に戻り息をついた。



…最近のアルフォンス様はどうしたのかしら?






リディアンネは舞踏会からは毎日のように宮で開催されるお茶会とやらに参加を強いられていた。

流石のリディアンネも心が折れそうにもなる。この日も散々の言われようにも笑顔で応対し辟易としていた。

お茶会が終わるとそのまま帰宅をすれば、チームリディアンネに心配を掛ける事になるリディアンネはお茶会の後は宮に有る温室で花を見るわけでもなく、心を落ち着かせていたのである。



時に涙を流す事もある。この日も折れた心を何とか支え温室を後にすると、温室の手前のベンチにユリウスが腰を降ろしていた。


『殿下、奇遇ですね。』

リディアンネはすかさず笑顔を作るも


『無理に笑う事は無い。』


ユリウスは呆れたようにリディアンネに視線を投げた。


『…。』


ユリウスは立ち上がると奥にある温室の通りから人目のある通りまで来るとわざわざそこにあるベンチへと座り直した。


『私もね、時々温室で心を落ちつかせる時があるからわからないでもない。最近はもっぱら先客がありなかなか行けないんだ。』


リディアンネに対する嫌味であるが、ユリウスの口から出た言葉には棘は無かった。



『君は少し無理をし過ぎでは?』


リディアンネは小さく笑うと


『こんな事くらい対した事ありませんわ』


『対した事は無いって顔ではないぞ?』


リディアンネは頬を膨らませ

『元よりこういう顔なのです!』


ユリウスは嬉しそうに笑うと


『さぁ、空いた温室でゆっくりしてくるよ。』


ユリウスは踵を返して温室へ向かった。



その様子を嬉しそうにリディアンネは見送った。



…そうね。妃選考が滞っているって言ってたから殿下も大変なのね。


心をが僅かに軽くなったリディアンネは待たせてある馬車へ急いだ。


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