貴方に嫌われたくなくて【完】

mako

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帝国に存在する意味

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リディアンネは足早に会場を出ると先程までの賑やかな騒がしさとは裏腹に静まり返っていた。

会場ではアルフォンスとマーガレットの祝賀。この静まり返る廊下はまるで今のリディアンネのようだ。ぽっかりと穴が空き中身がどこかへ逃げを出した、そうこれから先のリディアンネのように。

リディアンネは辺りが涙で滲むのを感じながら、宛もなくただ走った。


『リディアン!』


懐かしい呼び名にリディアンネはピタリと足を止めるも振り返ること無く前に進んでいく。しかしその手をしっかりと掴まれ振り返った。


リディアンネの溜まりに溜まった思いは滝のような涙となり止まることなく流れ出した。


リディアンネは何度も何度も首を振り続けた。


…私にはここに居る意味が無いのよ。ユーリ。


ユリウスはリディアンネの手を引くがリディアンネは断固として譲らない。


『どうした?』



リディアンネの涙はリディアンネが言葉を発する事を禁ずるように止まらない。しゃっくりあげるリディアンネを落ち着かせるべくユリウスは静かに待ち続けた。


『何も話さなくても良い。とにかく落ち着こう。』


ユリウスはリディアンネを控室に連れて行くと、リディアンネの前に自らも腰を降ろした。


『頑張ったね。』


予想外の言葉にリディアンネはユリウスを見るとユリウスは辛そうな表情でリディアンネの頭を撫でた。


『恥ずかしい話だが、皇宮には私の敵も味方も居る。君を迎える前にそれらを整理することが必要だからね。今宵はあちらこちらに私の遣いが紛れているんだ。おかげで色々見えてきた所だから。』


…。


『リディアンネ、君が辛い思いをしているのは知っている。もちろんただ見ているだけのつもりは無いが、君は守られるよりも自らそれらを越える力があるだろう?それを頼もしく思ってたんだ。だけどね?それをも越える時には私は躊躇う事無く君を守るつもりだし守る力も持っている。』


…違う。そんな必要は無いのよ。


言葉に出来ない思いをリディアンネは胸に秘め小さく微笑んだ。


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