貴方に嫌われたくなくて【完】

mako

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怒涛の日々を越えて【完】

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『さてフレディック。お前は皇族として残るか否か。どう考えている?』

ユリウスは真っ直ぐにフレディックを見据えた。

フレディックは先ずはユリウスの隣に座るリディアンネに視線を流し、その後ゆっくりとユリウスに視線を向けると小さく頭を下げた。


『私は、皇族からの除籍を…お許し頂けるのであればどこかの領地を』

フレディックの言葉を、聞き終える前までにユリウスは嬉しそうに微笑むと目の前の地図を広げ

『望みはどこだ?』

希望に満ちた眼差しで地図に食い入る様子にユリウスとリディアンネは嬉しそうにそれを見守っていた。


やがてフレディックが指さした領地は壮大ながら前領主が音を上げ他程の土地であった。ユリウスは満足そうに


『フレディック、お前なら敢えてここを選ぶと思ってたよ。継承権第2位のお前の希望だ。そこでまずは己を磨き鍛錬を重ねるのだ。』


フレディックは納得の表情でユリウスを見ると


『兄上、ご配慮痛み入ります。必ずや頂いた御恩に報いるよう力を付け必ずやまたここに戻ってまいります。』


フレディックは最上級の礼を取ると静かにそこを後にした。その後も次々と皇族との面談を重ねフレディック同様領主となる者、田舎にある皇族が運営する宮へと移るもの、縁談で他国へと嫁ぐ者、それぞれの道を定めようやく全てが片付くまでに2年の月日を要した。


皇宮は本来の姿となり皇太子であるユリウスが即位したのもその頃であった。


皇帝となったユリウスは生涯リディアンネだけを愛し五人の子どもに恵まれ己の子どもにも皇太子以外は早い段階で領地を与え皇族からの除籍を行った。

推し活生活を満喫していた第3王女が嫁いだ帝国大公妃としての椅子。その椅子にしがみつく事なくあっさりと捨てたはずが、いつしか帝国皇后としての椅子に座り隣で微笑む推しでは無く夫であるユリウスと共に歩んできた道のりは、今も尚帝国では多少の脚色もプラスされ語り継がれているのである。



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