絶世の悪女と呼ばれる公爵令嬢【完】

mako

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エミリアの心

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エミリアは王宮に戻ると無言で執務に没頭した。側で見守るリロイは寒気がするほどエミリアは冷たい表情であった。



…泣いては駄目。


エミリアは己を奮い立たせていた。この感情は二度目である。信じていた者の裏切りは初めてではない。エミリアは涙でぼやける書類が自分の心を写しているようで悔しかった。



…大丈夫。こんな事慣れている。



エミリアが執務の山を片付け、正気に戻った時は既に夜がふけていた。



翌朝、エミリアは仮面を付けた。ジルベルトが仮面などリア王国では必要が無いと言っていた仮面を。
そう、エミリアが仮面を付けるのは虚勢なのだ。仮面が無ければ弱い心をさらけ出してしまいそうになるのだ。


仮面を付けたエミリアは氷のように美しいがもはや表情は無い。これぞ絶世の…悪女である。





ニコルは王宮へも頻繁に出入りしている。以前から良く顔を合わせていたがまさかジルベルトと会っていたとは思っても居なかった。


2人で視察に出掛け時間をみてお茶を飲んだりしているのだろう。


…どうりで私の視察は反対するのね。


全てを察したエミリアは覚悟を決めた。


…どのみち、お飾りの王太子妃になる運命なのね。


開き直った女は強い。エミリアは完璧なまでの王太子妃となるべく執務に没頭し誰にも文句など言わせない覚悟であった。




『妃殿下。』


久々の声を聞いてエミリアは大きく息を吸って振り返るとそこにはハロルドが立っていた。ハロルドに向ける冷たい視線にハロルドは全てを察知した。



『どうされましたか?』


仮面を付けて美しく微笑むエミリアにハロルドは唇を噛み締め


『少し、後少しだけ時間を下さい。』


…。


押し黙るエミリアにハロルドが尚も話を続けようとした時であった。エミリアは目の前がぐるぐると回りやがて真っ暗になった。エミリアは意識を手放し倒れ込んだ。



『妃殿下!』


ハロルドはエミリアに駆け寄るとすぐにリロイに王宮医師の手配をさせ、エミリアを私室へと運んだ。






ハロルドがエミリアの部屋を出るとジルベルトか飛んできた。ハロルドは静かに首を振るとジルベルトを連れて外に出た。



『エミリアは?』


目を見開くジルベルトにハロルドは


『大丈夫だ。今はぐっすり休んでいる。』 

安堵するジルベルトにハロルドは


『何て言っていいか…』


ジルベルトは立ち上がるとハロルドを睨みつける


『妃殿下は懐妊しているそうだ…』 


ジルベルトか目を見開き固まる。



『なんだってこんな時期なんだよ…』


吐き捨てるように言うハロルドにジルベルトはまだ放心して動けないでいた。


『どうする?』


ハロルドの言葉にジルベルトは黙って首を振った。



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