たまたま王太子妃になっただけ【完】

mako

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揺れるオリヴィアの心

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オリヴィアは私室に戻り、激しく打つ心臓に手を置き落ち着きを待っている。


…側妃。


アレクセイはオリヴィアに日頃から愛情表現を惜しみなく出している。オリヴィアもそんなアレクセイを想い幸せを感じている。揺るぎない関係性に安堵していたはずが、オリヴィアの心は今、揺れに揺れている。



確かにあまりアレクセイはオリヴィアを抱かない。ということは、子どもが出来る可能性は極めて低い。拙いオリヴィアの思考で子づくりについて考えるも…。


…よく分からないわ。



このままの状態では、ヴァレンシアの言うように側妃が置かれるのは必然である。アレクセイは皇帝陛下なのだ。何よりも世継ぎは絶対。



オリヴィアはヴァレンシアを思い浮かべながら己の未成熟な体を見下ろした。


…あらら


オリヴィアは顔を顰めながらベッドに入ったものの、眠れない。


そうしているうちにアレクセイが寝室に入ってくると何やらソファに座り書類を確認している。普段ならばオリヴィアは必ず声掛けるが今夜は声を掛ける事が出来なかった。


ぎゅっと目を閉じてたぬき寝入りをしていると、隣に入ってきたアレクセイの寝息まで確認出来た。オリヴィアか眠りに付いたのは明け方であった。







『レオナルド…』


…出たよ。またかい!ってか俺はあんたの悩み相談じゃないけどね?



『どうされました?』


『…。』


『また色恋ですか?』


『違うわ!』


被せるオリヴィアに驚きながら


『では?』


『…。』



オリヴィアの言葉をゆっくりと待つレオナルド。


…妃殿下だからね。待つよ。


『ここでは何だから外に出ましょう』


…?ここでは駄目な話しって何?


レオナルドは黙って従うとオリヴィアはレオナルドを連れて馬車に乗り込んだ。


…宮を出るの?


『妃殿下、外に出られるのであれば報告が必要ですよ?』


『緊急事態なの。』


…いやいや後でどうなっても知らないよ?ってかヤバいって。


『わかりました。私がチョチョいと報告して来ますので少しだけお待ち下さい。』


レオナルドはオリヴィアの返答を待つ前に走り出した。



…何て申請するか?ってか何なんだ?


レオナルドは頭を巡らせながら長い廊下を走って行った。


…勘弁してくれよ。


 



レオナルドが馬車に戻ると直ぐに馬車は走り出す。


…。


押し黙るオリヴィアを眺めながらレオナルドは馬車の行く先を窓から確認していた。


馬車は静かな路地裏に停められると、馬車から降りる事なくオリヴィアは話しだした。


『レオナルド、やはり胸は大きい方が魅力的よね?』


レオナルドは呆気にとられ口をポカンと開けた。


『ねえ、レオナルド。事は緊急事態なの。答えて』


…緊急事態?


『そりゃあ、まあ?』


オリヴィアの殺気溢れる視線を浴びながら


『いや、人それぞれですからね?』




オリヴィアは小さく息を吐き出し尚も


『でも、お腹がポコンと出てるから…胸よりお腹が出ていては駄目よね?』


レオナルドは何が何だか分からぬまま


『そりゃあ、腹より胸は出ていた方が…って何の話しです?』


首を捻るレオナルドを横目にオリヴィアが窓から合図を送ると馬車は再びは走り出した。


…どこへ行くんだ?目的地はどこだよ。


レオナルドは窓からの景色を確認しながらもオリヴィアを見るとオリヴィアは俯いたままであった。


再びオリヴィアが顔を上げると馬車は宮へ戻ってきていた。


レオナルドは目を見開き


『妃殿下、よろしいのですか?大事なお話しがあったのでは?』


オリヴィアは寂しそうに呟いた。


『もう済んだわ…』



執務室に戻るオリヴィアの後ろを追いながらレオナルドは不思議そうに呟いた。


『…なに?』

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